アーティスト・インタビュー

京都市交響楽団70周年&サントリーホール40周年記念
沖澤のどか指揮 京都市交響楽団

沖澤のどか メッセージ

2026年は京都市交響楽団創立70周年サントリーホール開館40周年という二つの節目が重なる年。4月14日(火)、その記念公演として沖澤のどか指揮による演奏会が開催されます。
常任指揮者として楽団と演奏を重ね、「京響は今、乗りに乗っている」と確かな手応えを語る彼女が今回取り上げるのは、リヒャルト・シュトラウスの大曲『家庭交響曲』。さらに、戦後の日本音楽史に大きな功績を残し、今年没後50年を迎える矢代秋雄による『チェロ協奏曲』では、1960年の初演者である堤 剛をソリストに迎え、日本の演奏史に残る瞬間を刻みます。意欲的なプログラムに込めた意図と、初演から66年の時を経て渡される「バトン」、そしてサントリーホールの響きでこそ伝えたい作品の真価について、メッセージをご紹介します。

ライブで際立つ、"今こそ挑む"名曲
~リヒャルト・シュトラウス:『ドン・ファン』『家庭交響曲』

2023年に常任指揮者に就任して 2年半経ちます。京都市交響楽団(以下、京響)とのリヒャルト・シュトラウスは、録音にも残した『英雄の生涯』しか取り上げたことがないのですが、その時の出来がすごく良く、常任指揮者2年目にして京響の集大成になったと強く感じました。この手応えからリヒャルト・シュトラウスを継続的に取り上げていきたいと思い、今回『家庭交響曲』に挑みます。
プログラミングの意図の一つは組み合わせです。『ドン・ファン』は初期の交響詩(1888年)で、『家庭交響曲』(1903年)と、作風の違いも楽しんでもらえると思います。
もう一つはオーケストラの現在(いま)ある位置とその先を見据えた想いです。練習環境の面で京響は本番と同じホールにおけるリハーサルが増えてきました。『英雄の生涯』も 3日間ホールで取り組むことができて、その結晶としてオーケストラの音色に伸びや統一感が出て良い結果を残しました。そして、今年9月には7都市8公演のツアーを実施しましたが、特徴が異なる7か所のホールを同じプログラムで演奏する中でオーケストラは響きに対する敏感さに磨きがかかったと感じています。この経験以降、音が明らかに変わり、京響は今、乗りに乗っています。前向きにある今だから難曲に挑む。「今の私たちだからこそ、この作品の魅力を充実した演奏で楽しんでいただくことが出来る」そういう想いも込めて、東京で披露したい。
そして、この作品は名曲に間違いないのですが、なかなかライブで取り上げられる機会が少ないと思います。でもライブだからこそ、この作品の際立つオーケストレーションの良さが絶対あると思うので、サントリーホールの卓越した音響でこそ味わえる良さが出ると思います。

©京都市交響楽団
©京都市交響楽団

口伝のように伝わる「何か」
~矢代秋雄:チェロ協奏曲

邦人作曲家の作品を再発見したいという思いは、京響の常任指揮者になることが決まってから持ち続けていて、定期演奏会の全体のプログラムを構成する中で、就任した2023年のシーズンでは太田弦さんに尾高尚忠の交響曲をお願いしましたし、私自身は来シーズンで林光さんや吉松隆さんの作品を取り上げます。
2026年は矢代さんのメモリアルイヤーに当たります。今回のプログラムは京都の定期演奏会でも取り上げますが、リハーサルの3日目は没後50年のその日であること、初演者であり今も第一線で活躍されている堤剛先生とご一緒させて頂けるということは、またとない機会であると思っています。調べたところ、先生が19歳になる直前の1960年6月に初演をされたということで、それから約66年!という年月を経て先生の中でどのような変化があるのか、聴衆の皆さんにとっても受け取り方が当時とどういう風に変わるのか、そういうことにもとても興味があります。
先日、中世から続く京都の和歌の宗家である冷泉家の後嗣になられた冷泉渚さんとの対談で伺ったのですが、伝承の基本は口伝だそうです。矢代さんの楽譜は今こうして残っていますが、 初演から半世紀を超え66年、堤先生が今の世代、そしてこれから出てくる次の世代に伝えてくださる「何か」というのにも期待しています。そして、海外に目を向けると国際的に活躍する若手チェロ奏者が増えたことは大変喜ばしいことです。初演者の演奏に触れることで「バトンを引き継ぐ」とともに、日本人チェロ奏者としての「ルーツ」を発見してもらえたらと思います。そういった意味においてもこの公演は日本の演奏史に残る機会になると思います。

リヒャルト・シュトラウスが亡くなったのが1949年。矢代さん(1929-1976)がチェロ協奏曲を書きあげたのが1960年。リヒャルト・シュトラウスの没後から11年後にこの曲が書かれています。後期ロマン派の名作と邦人作曲家、西洋音楽といわゆる日本の現代音楽のその交わりが感じられるプログラムをお楽しみください。

©Naruyasu Nabeshima
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