サンゴリアスの魂を受け継ぐ、次世代育成への情熱2025.09.05

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東京サントリーサンゴリアスは、未来のラグビー界を担う子どもたちの育成にも情熱を注いでいます。その核となるのが「東京サンゴリアスアカデミー」です。2015年のみなとラグビースクール(東京都港区・青山)との連携協定に始まり、2023年4月に同校のアカデミー部門を継承する形で「東京サンゴリアスアカデミー」が誕生しました。

育成を牽引する平浩二氏とアカデミーの指針

アカデミーの活動を牽引するのは、元サンゴリアス選手であり、現在はアカデミーの部門長を務める平浩二氏です。現役引退後、サントリー営業部門で業務経験を積んだ後、ラグビーへの尽きない情熱から指導の立場で現場に戻り、スクール・アカデミーおよび地域連携の両部門を統括しています。

東京サントリーサンゴリアス スクール・アカデミー兼地域連携担当 平浩二氏
東京サントリーサンゴリアス スクール・アカデミー兼地域連携担当 平浩二氏

サンゴリアスが追求する、観る者を魅了する“アグレッシブ・アタッキング・ラグビー”。アカデミーでも、サンゴリアスらしさの代名詞とも言える「リスクを恐れずに攻め切る超攻撃的なプレースタイル」を、フィジカルとメンタルの両面で体現できる選手の育成が実践されています。

理念と約束:アカデミーが掲げるミッションとビジョン

東京サンゴリアスアカデミーは、単にラグビーを教えるだけの場所ではありません。アカデミーの活動は、明確なMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)によって支えられています。

東京サンゴリアスアカデミーMVV
東京サンゴリアスアカデミーMVV

アカデミーのミッションは、単に競技力を高めるだけでなく、ラグビーを通じて子どもたちの可能性を広げることにあります。日本ラグビー全体の競技レベルの底上げに貢献することに加え、ラグビーを通じて豊かな人間性を育み、社会でも活躍できる人材を育成することを目指しています。さらに、地域と共に成長し、地域社会の活性化に貢献することも、重要な使命です。

理想は、未来のラグビー界を担う子どもたちが、トップチームや日本代表、さらには世界の舞台で戦える選手へと成長する場となることです。子どもたちがラグビーを心から楽しめるよう、ワクワクするような練習やイベントを企画・提供しています。技術を学ぶ場であると同時に、アカデミーが子どもたちにとっていつでも“原点に帰れる場所”となり、心の支えになってほしいと考えています。

トップチームと繋がる“本気の育成環境”:実践的な指導と先進的サポート

このようなミッション・ビジョンを基に、平氏をはじめサンゴリアスのDNAを受け継いだコーチ陣による一貫した指導が日々提供されています。月に一度は現役トップ選手も練習に参加し、子どもたちは「本物」のプレーやプロフェッショナルとしての姿勢に直接触れることで、トップチームとの繋がりを肌で実感できる環境です。また、GPSを駆使したフィジカル測地などテクニカルな手段も活用した個人分析と個別指導の実践で、一人ひとりの成長をきめ細かくサポートしています。

ラグビーを通じて子どもたちの心と身体の両面から可能性を引き出す、“本気の育成環境”を実現するアカデミーは、活動拠点を広げています。2025年4月、東京サンゴリアスアカデミー2校目となる「府中校」が開校されました。府中校では、「将来、サンゴリアスや日本代表になりたいと強く願う選手にサンゴリアスの全てが集約されている環境のもとで自分自身の目標達成につながるクラブにする」というコンセプトを掲げています。

東京サンゴリアスアカデミー府中校コンセプト
東京サンゴリアスアカデミー府中校コンセプト

より本格的な指導を行う新たな拠点が設けられ、さらに多くの子どもたちにサンゴリアスの育成環境やラグビーを通じた成長機会が拡大されています。

主体性と仲間意識を育むサンゴリアス流指導:フィールドで育む人間性

東京サンゴリアスアカデミーの指導スタイルの根底には、クラブスピリッツである「PRIDE」「RESPECT」「NEVER GIVE UP」の精神が存在します。これら3つの価値観を土台に、技術指導だけでなく、人間性の育成にも重点が置かれています。

平氏は、「大人に言われてやるのではなく、自分たちで気づき、変わっていくことが大切」と語っています。日々の練習では、成功や失敗の要因を子どもたち自身が考察し、理解し、行動へと繋げるよう指導が行われます。この自ら考えるプロセスを通じて、主体的に取り組む姿勢が養われ、かつて苦手意識を持っていた練習にも前向きに取り組めるようになるなど、目に見える成長も生まれています。

仲間とトレーニングに励むアカデミー生たち
仲間とトレーニングに励むアカデミー生たち

仲間と励まし合いながら課題を乗り越える経験を積むことで、チームとしての一体感も自然と育まれます。アカデミー初年度、初めてリーグワンの他アカデミーとの交流試合が実施された際には、日頃の練習の成果を存分に発揮し、生き生きと輝く子どもたちの姿がありました。積極性や挑戦の姿勢も随所に見られ、指導の方向性が確かな手応えをもって実感される機会となりました。

このように東京サンゴリアスアカデミーでは、ラグビーを通して「考える力」と「仲間を思いやる心」を育み、競技を超えて将来につながる人間的な成長を支援しています。

地域や企業と連携した「育てる仕組み」:広がるサンゴリアスの輪

アカデミーの活動は、保護者や地域企業の協力によって支えられています。

例えば、森永製菓株式会社からは、子ども向けのプロテインやINゼリーといった栄養補助食品の提供、子どもたちと保護者の方に向けた栄養知識セミナーの開催を通じたサポートなどを実施いただいています。また笑顔道グループからはボディケアやケガ予防に関する専門的な知見をご提供いただき、成長期の子どもたちが安心して夢に向かって挑戦し続けられる環境が整備されています。

地域やパートナー企業と実現する豊かな育成環境
地域やパートナー企業と実現する豊かな育成環境

アカデミーが重視する人間性の成長という信念と、その姿勢に共感する企業や地域とのつながりが、より豊かな育成環境の実現を生み出しています。

“アグレッシブ・アタッキング・ラグビー”の精神を、次世代へ力強く継承するサンゴリアス
「未来の『サンゴリアス』輩出を目指して」子どもたちと向き合う平氏
「未来の『サンゴリアス』輩出を目指して」子どもたちと向き合う平氏

平氏は、アカデミーを通じてサンゴリアスのラグビーを「文化」として次世代に継承することを目指しています。「攻めることを恐れない」というサンゴリアスが大切にしてきた姿勢を、子どもたちが日常的に体感できる場を創出したいと語ります。

現役時代にピッチで観客を魅了した平氏。彼は今、未来のスターたちの成長を力強く後押ししています。サンゴリアスの情熱は、次の世代へと着実に受け継がれていきます。


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