サステナブル調達

考え方と方針

サステナブル調達基本方針

サントリーグループでは、お客様に高品質な商品・サービスをお届けするため、安全・安心はもとより環境や社会にも配慮するなど、サプライチェーン全体においてサステナビリティを推進していくことが重要だと考えています。
そして、児童労働および強制労働の禁止、結社の自由や団体交渉の権利の尊重・支持、長時間労働の削減、生活賃金の保障など、国際的に重要性が認められている事項に関し、調達におけるサステナビリティをより一層強化するため、2011年に法令遵守、人権・労働基準、品質、環境、情報セキュリティ、社会との共生の6項目を柱とした「サントリーグループサステナブル調達基本方針」を制定しました。ビジネスパートナーと連携してサステナビリティを推進するため、取引先に周知し、理解を求めています。
そのなかで、当社の購買活動がサプライヤーでの人権に負の影響を与えないように、サプライヤーと予め合意したリードタイムの遵守や年間需給計画の事前共有などを行っており、サプライヤーへの支払いに関してはあらかじめ合意したタイムラインでの実行となるよう、社内での必要な仕組みや手続きを徹底しています。
また、人権リスクの高い原料があると確認した場合、購買プラクティスを見直し、リスクの軽減に努めます。その一例として、一部のグループ会社では、人権リスクと環境リスクを最小限に抑えるために、サステナブル認証のパーム油に切り替えています。

サントリーグループサステナブル調達基本方針(2011年制定)

サントリーグループは、企業理念と企業倫理綱領に基づき、安全・安心で高品質な商品・サービスをお届けするために、公正・公平な取引を実施し、サプライチェーンのお取引先とともに、人権・労働基準・環境などの社会的責任にも配慮した調達活動を推進します。
お取引先との良好なパートナーシップを構築し、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。

  1. 1.
    法令遵守と国際行動規範の尊重
    各国の法令を遵守し、国際行動規範を尊重した公正・公平な調達活動を推進します。
  2. 2.
    人権・労働・安全衛生への配慮
    基本的人権を尊重し、労働環境や安全衛生に配慮した調達活動を推進します。
  3. 3.
    品質・安全性の確保
    「サントリー品質方針」に準拠し、品質・コスト・供給の最適な水準に基づく高い品質と安全性の確保をめざした調達活動を推進します。
  4. 4.
    地球環境への配慮
    「サントリーグループ環境基本方針」に準拠し、地球環境に配慮した調達活動を推進します。
  5. 5.
    情報セキュリティの保持
    調達取引に関わる機密情報および個人情報は厳格に管理します。
  6. 6.
    社会との共生
    社会との共生に向けた社会貢献への取り組みを推進します。

さらに、人権方針でも表明しているように、自社と同様にサプライヤーにもILO(国際労働機関)「多国籍企業宣言」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」の理解・遵守を求め、現地法においてILO原則が十分に保護されていない場合においてもサプライヤーの自主的な取り組みを通じて順守を期待します。

サプライヤーガイドライン

サントリーグループは「サステナブル調達基本方針」のもと、サントリーグループ内でサステナブル調達を加速させるとともに、持続可能な社会の実現に貢献すべく、「サントリーグループ・サプライヤーガイドライン」を制定しています。本ガイドラインはサントリーが国内外サプライヤーに対して人権・法令遵守・環境などの分野において要請する具体的な遵守事項で構成され、サントリーグループとサプライヤー間で同じ倫理的価値観が共有されていることを確認するものです。人権コミットメント項目への遵守が取引上の必須条件となっており、新規取引のサプライヤーだけでなく取引中のサプライヤーにおいても署名を求めています。仮に法に違反する重篤な人権侵害が発見され、かつコミュニケーションを行ってもサプライヤーの改善の意志がないと認められた場合は契約終了につながる可能性があります。サプライヤーガイドラインの遵守に向けて、サプライヤー説明会でサプライヤーガイドラインについて共有することやSedexを通じて情報共有を行うなど、サプライヤーとの共同取り組みを推進しています。また、サプライヤーが自らのサプライヤーに対してもコミットメントについて遵守いただくことを要望しています。

サントリーグループ・サプライヤーガイドラインPDF

グリーン調達の推進

グリーン調達とは、原材料・資材・設備などの購入に際し、有害物質を含まない、資源が有効に活用されている、など環境に配慮した物品・サービスを優先的に選択することです。
サントリーグループでは「サントリーグループサステナブル調達基本方針」のもとに「サントリーグループグリーン調達基準」(2011年改定)を定め、ビジネスパートナー各社とともに環境負荷低減に向けた調達活動を進めています。

サントリーグループグリーン調達基準(2011年改定)

  1. 1.
    基本的な考え方

    持続可能な社会の構築のために、サントリーグループ全体で使用する物品・サービスについて、環境負荷ができるだけ小さい原材料・資材・設備等の購入をめざします。

  2. 2.
    重視する事項
    • ア)
      環境汚染物質などを使用しないことに配慮する。
    • イ)
      再生資源の使用や小型化などによる省資源や省エネルギー化に配慮する。
    • ウ)
      生態系を壊さない資源採取に配慮する。
    • エ)
      修理・部品交換などにより長期間使用可能である。
    • オ)
      再使用が可能である。
    • カ)
      リサイクル設計がなされている。
    • キ)
      廃棄処理や処分が容易である。
    • ク)
      対象物品に関する環境情報を公開している。
    • ケ)
      ISO14001を取得する等、環境保全に積極的な事業者により製造・販売されていることに配慮する。

推進体制

グローバルサステナビリティ委員会

水、GHG、原料、容器・包装、健康、人権、生活文化のサステナビリティに関する7つのテーマに対して、取締役会の諮問委員会であるグローバルサステナビリティ委員会(GSC)で、サステナビリティ経営推進のための戦略立案や取り組みの推進、進捗確認を行っています。

グローバルサステナビリティ委員会の詳細は「環境マネジメント」をご覧ください

取り組み

サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスの実施

サントリーグループは「サステナブル調達基本方針」を制定し、ビジネスパートナーと連携しながら、サプライチェーン全体での人権尊重への取り組みを進めています。
2019年には、世界最大のサプライヤーエシカル情報の共有プラットフォームである「Sedex」に加入し、サプライヤーに対してSedexへの加盟、SAQへの回答など情報共有の要請を行い、課題特定を進めています。

  • Self-Assessment Questionnaire

サプライチェーンのリスクアセスメントの詳細は「人権の尊重」をご覧ください

原料安定調達の取り組み

当社製品に不可欠な自然の恵みである農作物やその他原料は、気候変動による平均気温の上昇により、干ばつ、洪水といった異常気象が発生することで、収量の変動、栽培適域の移動など、生産活動に大きな影響を及ぼすと推測されています。また企業活動のグローバル化が進むとともに、サプライチェーンで働く人々の人権への配慮など社会的な課題への適切な対応が求められてきています。
サントリーグループでは、お客様に高品質な商品・サービスをお届けするため、安全・安心はもとより環境や社会にも配慮するなど、サプライチェーン全体においてサステナビリティを推進していくことが重要だと考えています。そうした考えに基づき、安全・安心でサステナブルな原料調達を進めるための長期戦略策定と活動推進を実施しています。

長期戦略の概要

戦略策定にはTCFDのフレームワークを活用し、国連気候変動に関する政府間パネル(以下、IPCC)によるRCP2.6(2℃未満シナリオ)、RCP8.5(4℃シナリオ)および国際エネルギー機関(以下、IEA)によるシナリオなどを参照しながら、リスクと機会の把握を進めています。なお、その際に参照した文献、情報、データなどは検討時点のものであり、これらに基づいて実施した分析や試算内容は不確実性を伴っています。
さらに、「環境ビジョン2050」や「サントリーグループサステナブル調達基本方針」などの自社方針と原料に関わる中長期トレンドに焦点をあて、そこから将来世界における原料調達のありたい姿を描き、現状とのギャップに基づいて対策を見出すことで、より広範囲の環境・社会的なサステナビリティ課題にも対応していくことを目指しています。

活動概要

戦略策定は以下のステップに基づいて実施しています(図1)。

長期戦略策定に向けての4つのステップ

1.重要原料選定

  • サントリーグループの事業活動において特に重要となる原料品目把握のため、取り扱い原料に対してリスク評価を実施
  • 評価結果に基づき関係者協議の上、長期戦略策定を実施する原料カテゴリーを選定

<リスク評価のプロセス>

  • (1)
    重要原料品目の抽出
    原料供給に問題が生じた場合に事業が受ける売上ロスをインパクトとして設定し、大麦、トウモロコシなどの農産物、砂糖やビタミンCなどの一定の加工工程を経る原料、木材のオーク材などを、インパクトの大きい重要原料品目として抽出しています。
  • (2)
    リスクアセスメント
    抽出された重要原料品目の供給に問題が生じる可能性を評価するために、将来的な供給影響が最も大きいと考えられる気候変動影響による収量・生育適域影響を文献および統計的な観点から調査・評価をしています(表1)。その際、一定の加工を経る原料については、もととなる原料の産地への気候変動影響や工程における使用比率などを考慮した上でリスク評価を実施しています(例:砂糖はサトウキビ・テンサイの2つの原料品目に関する気候変動影響評価の結果を参照)。
    以上の考え方に基づき、酒類・飲料共通で使用される大麦、トウモロコシなどの農産物原料品目、酒類事業で使用されるオーク材、ホップ、また飲料で使用されるコーヒー豆について複数の産地で大幅に収量が減ることが分かりました。
(表1)気候変動影響調査結果(2023年)
2050年 4℃シナリオ:主要原料品目・産地への収量・生育適域影響調査
凡例:-/+インパクト
10%未満
10%以上50%未満
50%以上
下矢印/上矢印
下矢印2個/上矢印2個
下矢印3個/上矢印3個
事業 原料 北米 中南米 アジア 欧州 オセアニア
酒類・飲料* 大麦 カナダ
収量:下矢印2個
    イギリス
収量:下矢印2個
フランス
収量:下矢印2個
 
酒類・飲料* トウモロコシ アメリカ
収量:下矢印
ブラジル
収量:下矢印2個
中国
収量:下矢印2個
   
酒類・飲料* サトウキビ   ブラジル
収量:上矢印2個
タイ
収量:上矢印2個
  オーストラリア
収量:上矢印2個
酒類 オーク材 アメリカ
木材量:上矢印2個
  日本
生育適域:下矢印3個
スペイン
生育適域:下矢印3個
 
酒類 ホップ アメリカ
収量:下矢印
    ドイツ
収量:下矢印
チェコ
収量:下矢印
 
飲料 コーヒー豆   ブラジル
収量:下矢印2個
コロンビア
収量:下矢印2個
グアテマラ
収量:下矢印3個
     
  • 加工原料用の原料産地も含む
  • (3)
    活動計画策定
    調査結果を参考に関係各部署と協議し、総合的な判断から長期戦略策定を実施する原料カテゴリー
    (下図参照)を選定し、活動を推進しています。
活動計画策定
  • 注)
    コーヒーはコーヒー豆、砂糖はサトウキビなど、果糖ぶどう糖液糖・ビタミンC・クエン酸はトウモロコシの気候変動影響調査結果(表1)を参照

気候変動影響調査結果

2.タスクフォース組成

  • 活動計画に基づき選定された原料カテゴリーに関して、研究、開発、調達、品質保証などグループ内のさまざまな部門に所属する専門家からなるタスクフォースを組成

3.戦略策定

  • タスクフォースによる市場・自社・トレンドの分析
  • 将来世界のシナリオ分析とその中におけるありたい姿の描写
  • 将来世界から現在に遡って課題を設定するバックキャストによる活動設計

4.戦略モニタリング

  • シナリオ変化の予兆をモニタリングし、変化を事前に想定した戦略修正を実施
  • 将来世界のシナリオ分析とその中におけるありたい姿の描写
  • 重要原料品目の定期的な再評価と活動計画見直し
長期戦略の実行体制

タスクフォースによって策定された長期戦略は、各事業会社と協議の上、活動推進が図られます。また取締役会の諮問機関であるグローバルサステナビリティ委員会でも定期的に協議がなされています。

2023年の活動内容

1.2022年に策定したロードマップに基づいた戦略の実行
タスクフォースを組成した原料カテゴリーについて、時間軸を2050年に設定し、IPCC、IEAなどの公開シナリオを参照の上、その時点での世界において気候変動影響をはじめとした環境的な観点と人権などの社会的な観点での変化が事業へ与える影響を想定し、原料調達のありたい姿をトレンド分析や自社の目標などを基に描き、到達の道筋を検討しました。
また、タスクフォースの議論の中で、将来の気候変動がもたらす事業に対する影響について、S&P Global社が提供するクライマノミクス(Climanomics) プラットフォームを活用し、再評価を実施しました。
昨年は、3つの重要原料(コーヒー、烏龍茶、トウモロコシ)の影響額を算出しましたが、今年はタスクフォースでの議論を踏まえ、新たに大麦、サトウキビ、テンサイを分析対象に追加し、計6つの重要原料に関する影響額を算出しました。
2023年12月時点での分析では、表2の通り、2050年における4℃シナリオに基づく事業への影響額の総額は80億円の見込みです。コーヒー、烏龍茶、トウモロコシ、大麦については、生産量の減少に伴い価格上昇し、調達コスト増加が見込まれる一方、サトウキビおよびテンサイについては生産量増加に伴い、価格が下落し、事業にはプラスの影響がある見込みです。

(表2)2050年 4℃シナリオにおける事業に対する影響
(表2)2050年 4℃シナリオにおける事業に対する影響
  • サントリー、ビームサントリー、サントリー食品インターナショナルを対象に試算
  • 為替は、1ドル=145円
  • トウモロコシは加工原料含む酒類・食品用途の試算
  • 大麦は酒類用途のみを対象に試算
  • クライマノミクスは、TCFDフレームに沿って開示推奨事項を網羅的かつ科学的なデータに基づいてカバーしており、企業情報(原料の場合、購買金額)をサービス内に入力することで、2100年までのどの時期に企業資産や農作物産地が気候変動影響を受ける可能性があるか、リスクの可能性があるエリアはどこかなどの情報が一覧で把握することが可能です。

3.具体的な活動事例
(1)持続可能な農業への取り組み
農作物原料栽培の持続可能性をより高める必要性を認識し、持続可能な農業を目指し2002年に設立された国際的な団体であるSustainable Agriculture Initiativeプラットフォームにサントリーグループとして加盟しました。なお、同プラットフォームへの参加は日本企業としては初めてとなります。

詳細は「持続可能な農業を目指す『SAIプラットフォーム』に加盟」をご覧ください

(2)再生農業の試験的な実施
化学肥料や農薬使用の削減によるGHG削減や土壌中の生物多様性が再生されることで土壌が肥沃になり、水の有効利用ができるなど気候変動の緩和・適応効果が期待される再生農業の取り組みを、イギリスの大麦やメキシコのアガベについて試験的に開始しました。

詳細は「再生農業により生産された麦芽用大麦の調達に向けた取り組みを開始」をご覧ください

持続可能な砂糖調達に向けた取り組み
砂糖の戦略内容に基づきサトウキビを主とした農産品の持続可能な調達を支援する国際団体「VIVE」に8月に加盟しました。なお、同団体への加盟は日本企業初となります。

詳細は「持続可能な砂糖調達を支援する国際団体『VIVE』に日本企業で初めて加盟」をご覧ください

今後の予定

戦略策定の活動計画および継続的な事業との対話に基づき、重要原料におけるタスクフォース組成、長期戦略の立案およびサントリーグループ内で策定された原料戦略の共有を進めていきます。
また策定された戦略に基づき、将来的に気候変動影響を受ける可能性がある原料やGHG排出量が課題となりうる原料については、その緩和・適応効果が期待される再生農業への取り組みを検討・推進していきます。
さらに戦略のモニタリングでは、複数考えられるシナリオの分岐点や、ありたい姿を達成するために必要な技術革新の成功などのイベント発生有無を定期的に確認し、重要な変化をできるだけ事前に捉え、重要な変化を織り込んだ戦略へ修正していくことを目指していきます。
なお重要原料については定期的に再評価を実施し、必要に応じて戦略策定の活動計画の見直しを行います。

サプライヤーとの協働

再生農業により生産された麦芽用大麦の調達に向けた取り組みを開始

サントリーグループは、原料由来の温室効果ガス(GHG)排出削減に向け、麦芽サプライヤーのマントン社(Muntons)、農業コンサルティング会社のフューチャーフードソリューションズ社(Future Food Solutions)、大麦農家と協働し、イギリスで再生農業※1により生産された麦芽用大麦の調達に向けた取り組みを開始しました。再生農業の手法で整備した農地での大麦生産を2023年春より開始予定です。
カバークロップ※2の活用や不耕起栽培などの農法により、農業由来のGHG排出量を5年以内に従来比で50%削減することを目指すと同時に、土壌中の生物多様性が再生されることで土壌が肥沃になり、化学肥料や農薬使用の削減、水の有効利用などの効果も期待されます。

  • ※1
    農地の土壌に着目し、その生態系を再生させることにより土壌の肥沃度(ひよくど)を高め、農作物の生産を持続可能にするための農法
  • ※2
    土壌中への有機物の供給や土壌浸食の防止等により、土壌改良効果が期待できる被覆作物
再生農業により生産された麦芽用大麦の調達に向けた取組みを開始

ワイン用ぶどうの副梢栽培による気候変動への挑戦

サントリー登美の丘ワイナリーでは、地元の山梨大学と共同でワイン用ぶどうの「副梢栽培」という新しい栽培技術を導入しています。7月中旬ごろから最低気温が下がることで寒暖差が大きくなると、ぶどうの糖度が上がり成熟が進みますが、近年の温暖化の進行により成熟が進みにくいという課題に直面するようになりました。副梢栽培とは、4月ごろに芽吹く新梢の先端をあえて切除し、そのあとに芽吹く脇芽を育てることにより、ぶどうの成熟開始時期を7月中旬から気温の下がり始める9月上旬ごろまで遅らせて、11月中旬ごろに成熟したぶどうを収穫できるようにする栽培方法です。
このほかにも、ぶどう畑を下草を生やした状態にすることで生物多様性に富む豊かな土壌にする「草生栽培」や、剪定した枝を炭化して土壌に混ぜ込み炭素を貯留する「4パーミル・イニシアチブ」と呼ばれる取り組みなどを行っています。

  • ワイン用ぶどうの副梢栽培による気候変動への挑戦
  • ワイン用ぶどうの副梢栽培による気候変動への挑戦

緑茶産地と協働した取り組み

サントリーグループは緑茶飲料の原料となる茶葉の調達におけるサステナビリティを推進するため、茶産地と連携した長期的な取り組みを開始しました。
球磨地域農業協同組合(JAくま)と協働し、JAくまの茶葉製造工程において環境に配慮したプロセスを導入することで、一般的な製造工程に比べてGHG排出量を30%以上削減することが可能になりました。
高品質なお茶づくりの追求をすることに加え、今後も茶産地における茶農業の継承、後継者の育成にも貢献したいと考えています。

  • 緑茶原料の製造における生葉から荒茶までの工程における製造重量あたりの排出量
緑茶産地と協働した取り組み

カシス農家に対するサステナブル農業支援

サントリー食品イギリス社(Suntory Beverage & Food Great Britain and Ireland)は、ヨーロッパで多くの方に愛されている飲料「Ribena」を生産・販売しています。イギリスで栽培されたカシスの90%が「Ribena」の製造に使用されており、サントリー食品イギリスは2004年よりカシス農家に対してサステナブル農業の支援を始めました。 農家に対して直接アドバイスする栽培現場の専門家(アグロノミスト)の雇用や、各農場とその周辺にある個々の生息地にあわせた生物多様性計画を立て、河川や湿地の生態系保全活動を進めています。
また、気候変動に強い新種のカシスの研究などを進めており、2020年の7月に、農業研究施設であるジェームズ・ハットン研究所との、長年にわたる研究の成果が実り、「ベン・ロウワーズ(Ben Lawers)」という気候変動に強い新種の収穫をすることができました。

  • カシス農家に対するサステナブル農業支援
  • カシス農家に対するサステナブル農業支援

~サステナビリティ ストーリーズ~ 生産者とともに守っていくイギリス産カシス――サステナブル農業支援プログラム

上流サプライチェーンにおけるサステナブル調達の推進ーコーヒー農家への支援ー

<グアテマラ>

サントリーグループは、グアテマラのコーヒー輸出会社ウネックス社(Unex)のプログラム「ファーマー・エイド」を支援しています。このプログラムは、さまざまな環境・社会問題に取り組み、自らが生産するコーヒー豆のサステナビリティを高めようと努力するコーヒー農家を支援することを目的とし、このプログラムは、健康、教育、サステナビリティ、気候変動の四つを柱としています。2022年、サントリーグループはファーマー・エイドの2つの取り組みについて資金援助を行いました。

farmer aid
(1)アロテナンゴ・チャイルドケアセンター

このチャイルドケアセンターは学校が休みの期間(10月から1月)に開設されます。コーヒー農家の子どもたちに無料教育やレクリエーションを提供する場として使用されるほか、収穫シーズンに子どもたちを預かることで児童労働のリスクを最小限に抑えることにも役立っています。また、保育所では子どもと親の両方に医療サービスを提供しています。

アロテナンゴ地区のチャイルドケアセンター
(2)サンタバーバラにおけるコーヒー農家研修

小規模農家のコーヒー生産と家族の生活向上に役立つ研修を実施し、サステナブル農業に取り組んでいる農家を支援しています。また、女性と家族のより良い暮らしの実現に役立てるために、農業実習を行い女性の能力向上を図っています。サントリーグループはファーマー・エイドへの財政支援を通じて、グアテマラの子どもを含む約300世帯にポジティブな影響をもたらしています。

サンタバーバラ地区のコーヒー農園における営農指導
<ブラジル>

人権デュー・ディリジェンスの取り組みをサプライチェーンの上流へ拡大するため、サントリーグループは伊藤忠商事および伊藤忠の現地パートナーサンカフィーナ社(Sucafina)とともに、セラード地域のコーヒー農家を評価・支援するパイロットプログラム構築を進めています。
このパイロットプログラムは、サンカフィーナ社(Sucafina)のサステナブル調達プログラム「IMPACT」を活用し、GHG排出、森林破壊、人権、生活収入、再生農業の5つを評価します。IMPACTでは、グローバル・コーヒー・プラットフォームの「サステナビリティ参照コード」をモデルに設定された社会・環境・経済に関する80の基準を検証し、その基準を確実に満たすように運用されます。また、3年ごとに第三者監査が実施されます。人権に関しては、IMPACTには健康やウェルビーング、強制労働、児童労働、結社の自由、苦情対応、労働時間、差別・ハラスメント、土地の権利などの主要指標があります。サントリーグループは今後、このパイロットプログラムの当初3年間、対象農家の労働環境をモニタリングし、改善していきます。

ブラジル

詳細は「Sucafina社」Webサイトをご覧ください

地域課題解決に取り組むコーヒー農園とのエンゲージメント

サントリーグループは、コーヒーの主要原料として高品質なコーヒー豆の安定供給およびサステナビリティを推進するために、その一部をブラジル・ミナスジェライス州セラード地区にある同国有数のスペシャルティコーヒー農園である「Bau農園」と契約しています。同農園は、国際的なサステナブル認証を取得しており、徹底した品質管理と労働環境面で大変高い評価を受けています。

Bau農園

Bau農園はサステナビリティを推進するために、さまざまな活動を行っています。労働慣行に関しては安全労働に関する講座、職場におけるモチベーションと人間関係に関する講座、朝のラジオ体操など、同農園の労働環境に目を配っています。環境保護活動に関しては、ゴミ分別、取水の徹底した管理、植林活動など、環境へのインパクトを意識しています。さらに、地域社会への貢献を目的に、2011年からBau農園周辺にある学校で支援プロジェクトを行っています。

  • 地域課題解決に取り組むコーヒー農園とのエンゲージメント
  • 地域課題解決に取り組むコーヒー農園とのエンゲージメント
  • 地域課題解決に取り組むコーヒー農園とのエンゲージメント

サプライヤーエンゲージメント・啓発活動

サントリーグループでは、サプライチェーンのビジネスパートナーとともに、サステナビリティの推進に取り組んでいます。社内の担当者への教育をはじめ、原材料サプライヤー・製造委託先・物流協力会社の主要なビジネスパートナーに対して毎年方針説明会を行い、サントリーグループの取り組み紹介やアンケートなどを通じて、各社内またはサントリーグループと協働でのサステナビリティの取り組みに向けた啓発・支援を推進しています。

物流協力会社との連携

物流協力会社と連携して発足した「安全推進委員会」には、2022年末で76社325人が参加し、安全確保・環境配慮・リスクマネジメントなどの取り組みを推進しています。また、配送センターや物流協力会社の倉庫、輸配送事業など全国150拠点の責任者が集まり「安全推進大会」を毎年開催しています。この大会では、勉強会やコンテスト実施などによる安全教育の徹底と優れた事例を紹介して情報を共有するほか、優秀なドライバーや拠点を表彰するなど、各社の安全に対する取り組みの意欲向上や強化につなげています。また、物流協力会社の安全管理体制を常に一定水準以上に保ち、継続的に改善していくため、国土交通省が主導している「安全性優良事業所」の認定取得を推進しています。サントリーグループの物流協力会社のうち、輸配送事業所全1047拠点中、2022年末時点で635拠点が認証を取得済、2023年に98拠点が取得予定であり、取得率は70%に到達する見通しです。また、2008年からは対象範囲を直接業務委託会社から2次協力会社まで拡大し、輸配送の安全管理体制の強化を図っています。

業界連携の取り組み

サントリーグループでは、サプライチェーンの環境負荷低減を消費財流通業界横断で推進するため「日本TCGF」に参加しています。

  • 日本TCGFは、消費財流通業界の企業が主体となり、日本国内での非競争分野における共通課題の解決に向けて、製・配・販の協働取り組みを行う組織です。

サプライヤーとの公正・公平な取引の徹底

サプライヤーとの取引にあたっては「サントリーグループサステナビリティ調達基本方針」に基づいた「購買管理規定」や「取引先選定基準」に則り、各社に公平な競争機会を提供しています。同時に、各社の商品・サービスの品質や供給力、財務状況、安全確保、環境保全、社会貢献などへの取り組みを公正に評価し、ビジネスパートナーの選定あるいは取引継続の可否を判断しています。
ビジネスパートナーとは、お互いに信頼できるパートナーとして力を合わせ、お客様に喜んでいただける商品・サービスの提供を目指しています。

サントリーグループ企業倫理綱領