背景(Context)
容器包装には、お客様のもとに商品が届くまで、商品を守り、より良い品質を保持する役割があります。しかし、その多くはお客様が中味を消費したあと、廃棄物になっていました。中でも、使用済みプラスチックの不適切な取り扱いによって引き起こされる環境汚染が、大きな社会問題になっています。
日本では環境省が、プラスチック製品の利便性を認めつつ、資源循環を総合的に推進するための戦略として「プラスチック資源循環戦略」を策定しました。2024年8月には第五次循環型社会形成推進基本計画が策定され、プラスチック資源循環やバイオマスプラスチックの使用を促進するとともに、拡大生産者責任(EPR)の強化やサプライチェーン全体での取り組みが一層求められるようになっています。
グローバルでみても、多くの国や地域でワンウェイプラスチックの使用を制限する動きが加速しています。EUでは「プラスチック戦略」に基づいてワンウェイプラスチック製品に対する規制が強化されており、2024年12月にEU理事会で「包装・包装廃棄物規則案」(Packaging and Packaging Waste Regulation, PPWR)が採択されました。
サントリーグループは、循環型経済の実現を目指し、商品設計から輸送、消費後のリサイクルまで、商品のライフサイクル全体での環境配慮を実践し、多様なステークホルダーと、問題解決に向けた取り組みを推進しています。
基本方針
サントリーグループは容器包装におけるさまざまな課題において、プラスチック問題への対応を喫緊の課題と認識し、循環型かつ脱炭素社会への変革を強力に先導すべく、2019年に「プラスチック基本方針」を策定しました。
サントリーグループ「プラスチック基本方針」
サントリーグループは、商品の源泉である自然の恵みに感謝し、多様な生命が輝き響きあう世界の実現にむけて、循環型かつ脱炭素社会への変革を強力に先導します。プラスチックはその有用性により、われわれの生活にさまざまな恩恵をもたらしています。
当社が使用するプラスチック製容器包装が有用な機能を保持しつつも、地球環境へネガティブな影響を与えないよう、多様なステークホルダーと、問題解決に向けた取り組みを推進していきます。また、問題解決に向けサントリーグループ従業員の一人ひとりが責任ある行動に努め、持続可能な社会を率先して実現します。
- 1.Recycle & Renewable:
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- ①2030年までに、グローバルで使用するすべてのペットボトルの素材を、リサイクル素材あるいは植物由来素材等100%に切り替え、化石由来原料の新規使用ゼロの実現を目指します。
- ②すべての事業展開国において、各国の国情に応じた効率的なリサイクルシステム構築のために必要な施策を、政府機関や業界、環境NGO、NPOなどとともに積極的に取り組みます。
- 2.Reduce & Replacement:
資源の有効活用のために、容器包装のデザイン変更などにより、プラスチック使用量の削減を推進するとともに、環境にネガティブな影響を与えない代替となる容器包装の導入の検討をすすめます。 - 3.Innovation:
リサイクル率向上、環境影響を最小限におさえる素材領域などにおけるイノベーションに積極投資します。 - 4.New Behavior:
人々の行動変容を促す啓発活動を実施するとともに、サントリーグループ従業員一人ひとりが、ライフスタイルの変革に努め、分別収集の促進、河川、海岸の清掃活動などの社会貢献活動にも積極的に参加します。
ガバナンス
グローバルサステナビリティ委員会
サントリーグループでは、グローバルサステナビリティ委員会(GSC)を中心に、環境経営の推進体制を整えています。GSCは、サステナビリティ担当役員の管掌のもと、水、気候変動、原料、容器包装、健康、人権、生活文化のサステナビリティに関する7つの重要テーマに関する戦略を立案し、その進捗を監督するとともに、事業のリスクや成長機会を分析し、四半期ごとに取締役会へ報告しています。
また、容器包装に関しては、事業や機能部門の実務者を中心に、より具体的な戦略や取組みを議論する場として、容器包装タスクフォースを年6回開催しています。
戦略とリスク管理
使用済みプラスチックの不適切な取扱いによって引き起こされる環境汚染や廃棄時のGHG排出量の増加などは大きな社会課題になっており、ワンウェイプラスチック関連課税によるコスト増加等のリスクがある一方で、新規技術の開発・導入により化石由来原料の使用量の削減が可能となる機会と認識しています。
戦略
サントリーグループでは、循環型社会の実現に向けて、「プラスチック基本方針」のもと、グローバルで使用するすべてのペットボトルの素材を、リサイクル素材あるいは植物由来素材等100%に切り替え、化石由来原料の新規使用ゼロにするという「ペットボトルの100%サステナブル化」を2030年目標として掲げて活動を行っています。
使用済みペットボトルを新たなペットボトルに生まれ変わらせる、「ボトルtoボトル」水平リサイクルを積極的に推進するとともに、植物由来素材などで代替する技術開発に取り組んでいます。さらに、世界初の「FtoPダイレクトリサイクル技術※」を開発するなど、GHG排出量削減に向けた技術革新にも取り組んでいます。
- ※協栄産業(株)など4社で共同開発
リスク管理
EUでは、「包装・包装廃棄物規則案」(Packaging and Packaging Waste Regulation, PPWR) を採択するなど、ワンウェイプラスチックへの規制が強化されています。こうした動きに対応した製品設計変更や環境対応を行わなければ、製造コストやサントリーグループのレピュテーションに対し、直接的な影響があるものと認識しています。
こうした認識のもと、サントリーグループでは、GRMCとGSCが連携しながら、リスクの把握及び対策の実行を進めています。
また、サントリーグループは、クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)やグローバルプラスチック アクションパートナーシップ(GPAP)など、プラスチックによる環境課題の解決に取り組むアライアンスやイニシアチブに積極的に参画しています。イニシアチブへの参画は、環境リスクマネジメントの重要な要素と考えており、グローバルレベルでの情報交換やベストプラクティスの共有に加え、多様な業界や政府や国際機関との協力を通じて、広範囲にわたる問題への対応を可能にすると考えています。
指標と目標
| 目標 | 目標値 | 実績 |
|---|---|---|
| ペットボトルのサステナブル素材使用率※ | 2030年:100% | 2024年:35% |
- ※ペットボトル重量のうちサステナブル素材(リサイクル素材あるいは植物由来素材等)の比率
取り組み
プラスチックに関する取り組み
「プラスチック基本方針」と「2R+B(Reduce・Recycle + Bio)」戦略のもと、2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルをリサイクル素材あるいは植物由来素材等100%に切り替え、化石由来原料の新規使用をゼロにすることで、100%サステナブル化を目指しています。
缶・びん・樽・紙パック・段ボールに関する取り組み
3R(Reduce・Reuse・Recycle)の考えのもと、環境に配慮した容器包装への取り組みを推進しています。
Reduceの観点では軽量化を、Reuseの観点では容器の回収や再利用を、そしてRecycleの観点では容器のリサイクルを促進しています。