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サントリーグループのサステナビリティ

環境マネジメント

考え方・方針

サントリーグループにとっては、地球環境そのものが大切な経営基盤です。お客様に水と自然の恵みをお届けする企業として、美しく清らかな水をはじめとする生態系を守り、持続可能な社会を次世代に引き継ぐことは、企業としての重大な責任であると認識しています。
豊かで持続可能な社会を実現するため、サントリーグループは、グループ全体で自然環境の保全・再生と環境負荷の低減への取り組みに最大限取り組んでいます。その指針として「サントリーグループ環境基本方針」を定め、自社の従業員はもちろん、バリューチェーン(ビジネスパートナーを含むステークホルダー)への浸透を進め、持続可能な社会の実現に向けて協働しています。

サントリーグループ環境基本方針

サントリーグループでは、「水のサステナビリティ」「生態系の保全と再生」「循環経済の推進」「脱炭素社会への移行」など、サントリーグループの重点課題が明確に見える環境基本方針を定めています。この方針(1997年制定、2022年改定)に基づき、具体的な環境目標と行動計画を策定しています。また、社会とのコミュニケーションを大切にし、ステークホルダーとともに持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

サントリーグループ環境基本方針

サントリーグループは、環境経営を事業活動の基軸にし、バリューチェーン全体を視野に入れて、生命の輝きに満ちた持続可能な社会を次の世代に引き継ぐことを約束します。

  1. 1.
    水のサステナビリティの追求
    水は、私たちのビジネスにとって最も重要な資源です。サントリーは、自然界における水の健全な循環に貢献するため、事業活動において最も重要な資源である水を大切に取り扱い、使用する量以上の水を地域で育むことに努めます。
  2. 2.
    多様で豊かな生態系の保全と再生
    水や農作物に依存する企業として、その価値の源泉である水源や原料産地などの生態系を守るため、水源涵養活動や持続可能な農業への移行を通じて、生物多様性の保全と再生に努めます。
  3. 3.
    循環経済の推進
    限りある資源を有効活用するため、原材料などの3R(reduce, reuse, recycle)の推進、再生可能資源の利用、効率的な循環システムの構築を多様なステークホルダーと協働し、商品ライフサイクル全体での環境負荷の低減に努めます。
  4. 4.
    脱炭素社会への移行
    気候変動の要因である温室効果ガスの排出を実質ゼロにするため、バリューチェーン全体での排出量の削減に努めます。
  5. 5.
    社会とのコミュニケーション
    豊かな地球環境を未来に引き継ぐため、ステークホルダーと共に持続可能な社会の実現に取組み、地域社会との対話を深めるとともに、積極的な情報開示に努めます。

推進体制

グローバルサステナビリティ委員会

サントリーグループでは、グローバルサステナビリティ委員会(GSC)を中心に、環境経営の推進体制を整えています。GSCは、サステナビリティ部門担当役員が委員長、各事業の執行役員が副委員長を務め、各機能部門の担当役員、国内外事業会社及び機能部門長等がメンバーとして参加しています。サステナビリティ経営に関わる各重要テーマ(水、気候変動、原料、容器包装、健康、人権など)をGSCで議論し、環境や社会課題に関わる戦略や取り組み進捗、および事業のリスクや成長機会を、四半期に一度の頻度で取締役会に報告を行っています。また、取締役会では、外部有識者を招いて勉強会を実施するなど、サステナビリティ経営に対するアドバイスを受ける機会を設けています。また、役員報酬の決定に用いる目標には「サステナビリティ」の項目が設定されています。

サントリーグループのサステナビリティ経営推進体制

サントリーグループのサステナビリティ経営推進体制

環境方針の実行体制

さらに、環境方針の実行にあたってはグループ各社に環境管理責任者を配置し、事業所単位では環境担当者が日々の法令順守状況や環境パフォーマンスを管理しています(各工場で排水や大気排出に社内基準を設け厳格管理)。重大な環境事故や法令違反が発生した場合はただちに経営層に報告する体制で、2024年現在、環境関連の重大インシデントはありません。

環境マネジメントシステム(ISO14001)

また、国内外の主要生産拠点ではISO14001に基づく環境マネジメントシステムを導入し、定期的な内部監査・第三者認証を通じて運用の有効性をチェックしています。国内グループ会社※1では統合認証を取得済みで、2017年以降、小規模拠点については認証対象外とする代わりに順法管理を強化し効率的な運用に移行しました。こうした体制の下、各事業部門が連携してバリューチェーン全体で環境配慮を推進しています。

  • ※1日本版SOX法対象のグループ会社

サントリーグループISO14001認証取得一覧

目標と進捗

サントリーグループでは、サステナビリティの課題の中でも特に事業への影響が大きいと想定している水および気候変動については、2050年を目標年とする長期ビジョン「環境ビジョン2050」に加え、2030年を目標年とする「環境目標2030」を設定しています。また、2030年に向けて容器包装に関する目標も設定し、活動を推進しています。

中長期目標

「環境ビジョン2050」および「環境目標2030」
  • ※1
    製品を製造するサントリーグループの工場
  • ※2
    2015年における事業領域を前提とした原単位での削減
  • ※3
    コーヒー、大麦、ブドウ
  • ※4
    2019年の排出量を基準とする
  • ※5
    ペットボトル重量のうちサステナブル素材(リサイクルあるいは植物由来素材等)の比率

進捗

重要課題 2030年目標 2024年実績

工場節水
自社工場の水使用量の原単位をグローバルで35%削減※1
特に水ストレスの高い地域においては、水課題の実態を評価し、水総使用量の削減の必要性を検証
  • 原単位2015年比30%削減
水源涵養
自社工場※2の半数以上で、水源涵養活動により使用する水の100%以上をそれぞれの水源に還元
特に水ストレスの高い地域においてはすべての工場で上記の取り組みを実施
  • 全世界の自社工場の36%で水源涵養を実施。
  • 水ストレスの高い地域にある工場においては、その31%で活動を実施
原料生産
水ストレスの高い地域における水消費量の多い重要原料※3を特定し、その生産における水使用効率の改善をサプライヤーと協働で推進
  • 再生農業による大麦生産の取り組みの一環として、土壌の保水性向上による水使用効率の改善に関する検証をサプライヤーと協働して継続
  • ブラジル・セラード地域のコーヒー農家に対して、再生農業を通じた水利用の評価・支援などを行うパイロットプログラムを実施
水の啓発・安全な水の提供
水に関する啓発プログラムに加えて、安全な水の提供にも取り組み、あわせて500万人以上に展開
  • 累計175万人に展開
    <内訳>
    • 次世代環境教育「水育」などの水啓発プログラム:133万人
    • 安全な水の提供:42万人
気候変動
Scope 1,2
自社拠点でのGHG排出量を50%削減※4
  • 基準年比32%削減
Scope 1,2,3
バリューチェーン全体におけるGHG排出量を30%削減※4
  • バリューチェーン全体におけるGHG排出量
    基準年比13%削減
容器包装
ペットボトルのサステナブル素材使用率
グローバルでのペットボトルのサステナブル素材使用率※5を100%にする
  • グローバルでのペットボトルのサステナブル素材使用率:35%
  • 日本国内清涼飲料事業でのペットボトルのサステナブル素材使用率:58%
  • ※1
    2015年における事業領域を前提とした原単位での削減
  • ※2
    製品を製造するサントリーグループの工場:国内24工場、海外45工場
  • ※3
    コーヒー豆、大麦、ブドウ
  • ※4
    2019年の排出量を基準とする
  • ※5
    ペットボトル重量のうちサステナブル素材(リサイクルあるいは植物由来素材等)の比率

取り組み

商品ライフサイクル全体での環境負荷低減

サントリーグループでは、多岐にわたる事業活動を通じてさまざまな副産物や廃棄物を排出しています。一つの商品が企画・開発されて、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通じて、環境に与える影響を定量的に把握し、環境負荷の低減に取り組んでいます。
また、海外における事業拡大に伴い、グローバルでの環境負荷を捕捉するため、海外生産拠点の環境負荷の把握などを進めています。サプライチェーン全体での環境負荷低減のため、サントリーグループと取引を行っているサプライヤーをはじめとしたビジネスパートナーにも環境情報開示と環境負荷低減アクションを働きかけています。
こうした包括的アプローチにより、製品あたりのGHG排出や水使用原単位の継続的低減を実現しています。

商品のライフサイクル

環境関連法規の遵守と自主基準

サントリーグループの各工場では環境関連法規 (日本の場合は温対法や省エネ法等) の遵守はもとより、 排水処理やボイラー設備等の環境設備に関しても法規制と同等、もしくはより厳しい自主基準値を設定して、環境管理に努めています。
2024年現在、環境汚染に影響する重大な事故および違反は発生していません。
万一問題が見つかった場合は原因究明と再発防止策を徹底し、グループ全体で知見を共有します。

社内啓発への取り組み

従業員の環境意識やサステナビリティへの理解を深め、持続可能な社会の実現に向けた行動を自発的に取れる人材の育成を目指し、計画的な啓発活動に取り組んでいます。サントリーグループでは、全従業員を対象に毎年サステナビリティをテーマにしたe-ラーニングを実施し、企業を取り巻く社会課題や自社の取り組みを学ぶ機会を提供しています。
2024年度は国内グループ社員に対し、サステナビリティ経営に関する啓発研修(e-ラーニングなど)を実施し、延べ21,237名が受講しました。さらに、全世界のグループ社員が参加できるオンライン研修プログラムやe-ラーニングもの受講も拡充しています。また、職種・職階別の専門研修(例:工場担当者向け環境法令セミナー、商品開発担当向けLCAワークショップなど)も定期的に開催し、各業務に必要なスキルの習得を支援しています。

廃棄物管理基礎セミナー

廃棄物管理基礎セミナー

サステナビリティ・環境教育研修受講実績の詳細は「データ一覧」をご覧ください。

森林整備体験で従業員の意識を啓発

サントリー「天然水の森」では、従業員による森林整備体験への参加を進めており、2013年まで多くのグループ従業員とその家族がボランティア活動として参加しました。
2014年からは、サントリーの「水と生きる」を従業員一人ひとりが自ら体感し、理解することを目的に、食品事業・酒類事業を中心にのべ12,000名以上の従業員を対象とした森林整備体験研修としての活動を行ってきました。現在も新入社員研修のプログラムにて実施しています。

従業員の森林整備研修

従業員の森林整備研修

グリーンボンド

脱炭素社会の実現や水使用量保全に向け、サントリーグループはサステナブルファイナンスにも取り組んでいます。サントリーホールディングス(株)は、2022年に策定したサステナブルファイナンス・フレームワークに基づき、SDGs債のうち環境課題の解決に貢献する事業を資金使途とするグリーンボンドを発行しました。

詳細は「グリーンボンド」をご覧ください