サントリーでは、「人」こそが最も重要な経営基盤であるという「人本(じんぽん)主義」の考えのもと、「すべての社員の活躍」を目指し、年齢・性別・役職などによらず、一人ひとりが個性と能力を最大限に発揮しながら、「やってみなはれ」の精神で挑戦・成長し続けられるための様々な取り組みを進めています。
その取り組みの1つが「戦略的ローテーション」です。
サントリーには、食品・酒類・ウエルネス・外食などの多様な事業と、基礎研究・商品開発・調達・生産・営業などのフルバリューチェン、そして国内外の幅広い事業展開エリアからなる、幅広い活躍のフィールドがあります。この幅広いフィールドを活かした「戦略的ローテーション」には、以下の目的があります。
「戦略的ローテーション」の目的
1. 多様な経験を通じた「個」の成長
異なる業務・環境を経験することで、キャリアの複数の武器(専門性)を磨き、人生100年時代を生き抜き、中長期的に活躍できる人財を育成する。また、幅広い視点を身に付ける、大きな環境変化のある経験を乗り越えることにより、将来の経営人財の育成に繋げる。
2. 組織の壁を乗り越える
多様な経験・価値観を持つ人財が集う多様性ある組織で、創造力を高める。組織を越えた知見の共有・協働を促進し、グループの総合力発揮に繋げる。
若手の人財育成の柱としての「10年3仕事」
「戦略的ローテーション」は、すべての社員を対象に、個人と組織の成長に資することを前提に実施しています。そのうち、入社10年目までの社員には、入社から10年目までに3つの異なる仕事を経験し、その過程で必ず一度は部門や領域をまたぐ異動を経験する「10年3仕事」を推進し、大きな視点の転換と幅広い業務の経験を通じて、飛躍的な成長に繋げることを重視しています。
本特集では、「戦略的ローテーション」を通じて成長を遂げるとともに、その多様な経験を活かして今後のキャリアを考える、社員のリアルな声をご紹介します。
#スタッフ → エリア営業 → 広域営業
掛け算のキャリアで、
お客様にとっての新たな価値を創りたい
掛け算のキャリアで、
お客様にとっての
新たな価値を創りたい
サントリー(株)広域営業本部 リテールAI推進チーム
加藤 哲史
CAREER
- 2019年
- サントリーホールディングス(株)
お客様リレーション本部(現サントリーホールディングス(株) お客様志向経営推進部) - 2023年
- サントリー(株) 東海広域支社
- 2025年
- サントリー(株) 広域営業本部
私のキャリアは「お客様リレーション本部」から始まりました。入社当初は「メーカー勤務者として最前線で商品を売る仕事がしたい」という思いから、漠然と営業職を希望していたのですが、まずはこの部署で、お客様からいただくご質問・ご意見への応対品質を高め、お客様の声を企業活動に活かす業務に携わりました。
お客様から寄せられるご意見や疑問・ご要望には、事業・生産・営業・開発などの関係部門と連携しながら最適な回答を組み立てていきます。どの立場の方が読んでも誤解や不快感が生まれないよう、誠実でフェアな対応を徹底していました。各部門が一つひとつの内容を真摯に検討し、お客様への回答に責任を持つ姿勢に触れるたび、「お客様志向」というサントリーの価値観が、日々の業務に息づいていることを実感しました。
また日々寄せられるお客様の声を蓄積・分析し、ブランド活動やコミュニケーション施策に反映することも重要な役割でした。個別のご意見に応えるだけではなく、そこから商品づくりやサービスに活かしていく――その一端を担えることに、大きなやりがいを感じていました。

その後入社4年目に、入社当時に希望していた営業職へ異動しました。希望していた異動でしたが、実際に現場に立つと分からないことだらけで、営業用語や商談の進め方、棚割(※陳列棚にどの商品をどのように配置するかを戦略的に設計する取り組み)の作り方、得意先との関係構築など、最初の数ヶ月は毎日が新しい学びの連続でした。そのような状況で、最終的に自分の大きな武器となったと感じるのは、前部署で培った「お客様の意図や期待を的確に読み取る姿勢」や「丁寧・誠実に説明する姿勢」でした。お客様リレーション本部では、日々寄せられるご意見を整理・分析し、そこから“何が求められているのか”を読み解くことが求められます。その経験を活かし、営業でもお得意様先が本当に知りたいポイントを想定しながら提案資料を作成し、先回りして伝えるべき情報を整理して、納得いただける説明に繋げていくことができました。「お客様の声を起点に考える」習慣が、営業での提案力に直結しました。
約2年間営業を経験し、現在は広域営業本部のリテールAI推進チームで、AIを活用したデータ分析や小売DXの知見を学んでいます。その一環として、お得意様の企業が提供する研修プログラムにも参加し、小売DXやAI分析に関する実務的な知識を体系的に身に付けています。研修で扱う購買データを読み解いていくと、営業時代には“感覚”で捉えていた顧客行動が数字などに可視化され、背景がより深く理解できるようになりました。現場での経験とデータ分析の視点が結びつくことで、より深い仮説づくりや課題設定ができるようになり、自分の視野が大きく広がっていることを実感しています。
これからは営業の現場にも、AIの実装がさらに進んでいくでしょう。AIによって効率化できる業務は多岐にわたりますが、どんな仕組みが必要で、どこに課題があるのかを見極める要件定義は、現場を知らないと難しい領域です。だからこそ、営業で積み重ねてきた現場感覚や、お得意様先との対話から得た洞察が、「現場で本当に使えるAI」を設計する力に繋がると感じています。
サントリーには様々な仕事のフィールドがあります。私は入社時に営業を希望していましたが、希望とは異なる部門においても得られる経験を通して、様々な知見を得ることができ、確実に自分の成長に繋がったと実感しています。また異動のたびに、周囲が前向きに送り出してくれたことや、「困った時はなんでも相談して」とサポートしてくれる雰囲気だったことも、自分の挑戦を支えてくれました。
今後はお客様リレーション本部で学んだ“お客様視点のものづくり”、営業現場で培った“現場の理解”、そして“AI領域の知見”。この三つを掛け合わせることで、営業現場に新しい働き方を生み出し、お客様にとって本当に価値ある製品や体験をつくっていきたいと考えています。そしてその先にある企業価値・ブランド価値向上に貢献していきたいですね。

#営業 → スタッフ → 工場事務
異動はキャリアを広げるチャンス。
営業・広報から、生産現場まで、
異動で見つけた「キャリアの軸」
異動はキャリアを
広げるチャンス。
営業・広報から、生産現場まで、
異動で見つけた
「キャリアの軸」
武蔵野ビール工場 事務長
神部 美香
CAREER
- 2002年
- サントリー(株) 埼玉支店
- 2007年
- サントリー(株) 営業推進部
- 2012年
- サントリー労働組合
- 2015年
- サントリーホールディングス(株) CSR推進部
- 2017年
- サントリーホールディングス(株)
コミュニケーション開発部
(現:コーポレートブランド戦略部) - 2020年
- サンリーブ(株) 東京事業所
(現:サントリーフィールドエキスパート(株)) - 2021年
- サンリーブ(株) 横浜事業所
(現:サントリーフィールドエキスパート(株)) - 2024年
- サントリー(株) 武蔵野ビール工場 事務長
私は入社以来、営業企画・営業推進、人財育成、労働組合、CSR推進・コーポレートブランド戦略、店頭営業活動チームのマネジメントなど、幅広い経験を積んで様々な業務にチャレンジしてきました。これだけのキャリアを歩んできた私でも、武蔵野ビール工場の事務長への異動を告げられたときは本当に驚きましたね。事務長がどんな仕事をしているのか、全く分かっていなかったですし、「自分が工場の事務長?」と思わず内示を聞き返したほどでした。
実際に武蔵野ビール工場へ異動してまず驚いたのは、これまで知っていたビジネスの世界とは、価値観が大きく違っていたことです。営業現場では売上を最大化すること等を評価すると思いますが、生産現場ではトラブルを起こさないこと、安定稼働を続けることが、最大の成果になります。毎日の稼働を支えるため、工場では品質指標などの細かなKPIが設定され、日々緻密にPDCAを回しています。営業などで数字を扱う場面はあったものの、ここまで細かい指標で管理を行うことはなく、現場感覚で判断することもありました。そのため赴任当初は工場での徹底した細かい管理指標に少し苦手意識があり、加えて専門用語が飛び交う朝のミーティングでは、議論の背景が読み切れないということもありました。
それでも「現場を知らなければ何も理解できない」と考え、なるべく現場に足を運ぶようにしました。気になる点はその場で担当スタッフに確認し、製造ラインで起きた小さな変化を自分の目で確かめていく。そうした積み重ねによって、細かい数値の裏付けや背景が少しずつ自分の中でつながり始めました。これこそが自分に足りていなかった視点だったと気づかされたのです。

こうして生産現場の理解を深めていく一方で、過去のキャリアで培った力が工場の仕事に役立っていることも実感しています。営業時代に培った“対外調整力”は、行政・地域企業との連携が求められる工場事務長の業務にそのまま繋がっています。また、立場の異なる社員の声を受けとめ、言葉を選んで合意形成を図ることが求められた労働組合での経験が、約150名の工場メンバーと向き合う際の大切な基盤になっています。さらにCSR・広報で身に付けた“情報を整理し、相手が理解しやすい形で発信する力”は、武蔵野ビール工場を訪れる一般のお客様向けのPRや、地域企業との共同活動、自治体との調整といった場面で、大いに力を発揮しています。前部署で得た専門性が異なる状況で必要とされる形に変換される、そんな手応えも感じています。
そして“最高の一杯”の裏側にある現場のメンバーの努力に触れるほど、サントリーのものづくりの魅力や価値を強く意識するようになりました。工場で働くようになって改めて、社外はもちろん同じ社内であっても現場の実態やプロセスが十分に知られていないことに気付かされました。だからこそ、今は事務長として工場の運営が滞りなく進むよう全体を支えながら、その魅力や価値を的確に言語化し伝えていくことも、自分の重要な役割だと考えています。
これまで部署が変わるたびに会社の新しい姿が見え、そのたびにサントリーの奥行きと魅力をより深く実感してきました。そうした気づきの積み重ねから、私はこの戦略的ローテーションの価値は異動を通じて視野が広がり、自分の可能性に気づき、キャリアの軸が育っていくことであると感じています。実は入社当初から、「工場広報として、サントリーのものづくりの魅力を伝えたい」という想いを持ち続けています。その日がいつ来てもいいように、今の現場で得られる学びを大切にしながら、サントリーの魅力を社内外へ誠実に、そして誇りをもって伝えていきたいと思っています。

広域営業本部
武蔵野ビール工場