従業員のメタボ改善・予防に向けた健康習慣と企業ができる取り組み
従業員の健康は、企業の持続的な成長を支える重要な基盤とされています。従業員の健康に関する課題として挙げられるのが、「メタボリックシンドローム(メタボ)」です。
メタボは自覚症状が乏しい一方で、放置すれば脳卒中や心臓病といった重大な疾患につながる恐れがあります。その結果、治療や休業が必要となり、企業にとっては医療費負担の増加や労働力不足につながることがあります。
本記事ではメタボの基礎知識から企業に与える影響、具体的な対策まで解説します。
目次
メタボとは?健康経営®担当者が知っておくべき基本知識
「メタボ」という言葉は一般的によく使われていますが、ここでメタボリックシンドロームの基本的な考え方や診断基準を改めて確認しておきましょう。
メタボリックシンドロームの定義と問題点
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満を必須項目として、高血糖・脂質異常・血圧高値の3項目のうち2項目以上を満たす場合と定義されます。
厚生労働省の健康日本21アクション支援システムではメタボが疑われる人の割合について以下のように記載されています。
「40歳~74歳の男性で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者は約3割、その予備群と考えられる者もあわせると、2人に1人が該当すると、令和5年国民健康・栄養調査により報告されています。」
出典:厚生労働省 「肥満・メタボリックシンドローム予防の食事」 健康日本21アクション支援システム
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-009
メタボは複数のリスクが影響し合い、動脈硬化を急速に進行させます。動脈硬化が進むと、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気のリスクが高まります。また、糖尿病や脂肪肝なども合併しやすくなり、発症すると完治が難しく、長期にわたる治療が必要になるのが大きな問題点です。そのため、早期の発見と対策が非常に重要です。
メタボの診断基準と判定方法
メタボの診断基準について厚生労働省が運営する健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~では以下のように記載されています。
日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。
日本では、2005年に日本内科学会などの8つの医学系の学会が合同してメタボリックシンドロームの診断基準を策定しました。下記の通り、内臓脂肪の蓄積があり、かつ血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れている状態を指します。なお、海外では下記とは異なる基準を用いている点に注意が必要です。また、メタボリックシンドロームの診断基準と特定保健指導の基準は少し異なります。
表.メタボリックシンドロームの診断基準[1]
*CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことが望ましい。
*ウエスト径は立位・軽呼気時・臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。
*メタボリックシンドロームと診断された場合、糖負荷試験がすすめられるが診断には必須ではない。
*高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症・高血圧・糖尿病に対する薬剤治療を受けている場合は、それぞれの項目に含める。
*糖尿病、高コレステロール血症の存在はメタボリックシンドロームの診断から除外されない。
図. メタボリックシンドロームの診断基準[1]を参考に作成
出典:「メタボリックシンドロームの診断基準」(厚生労働省健康づくりサポートネット)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-01-003
従業員のメタボが企業に与える影響
メタボは従業員本人の健康課題であると同時に、企業活動にも影響を及ぼす問題です。医療費だけでなく、労務や組織活力の観点からも、早期に手を打つ必要があります。
従業員の健康リスクと医療費増加
メタボを放置すると脳卒中や心臓病などの重大な疾患につながる恐れがあり、通院や入院が必要になる可能性が高まります。治療が始まると、通院・検査・服薬などで時間的コストも増え、業務パフォーマンスの低下が懸念されます。
日本の健康保険制度において、従業員やその家族の医療費が増大すれば、企業が負担する健康保険料も増加します。特に、糖尿病の人工透析や心血管疾患の手術などは高額な医療費が発生します。
さらに、企業側が意識しておきたいのが次の2つです。メタボや関連疾患は、プレゼンティーズムやアブセンティーズムを引き起こす要因となり得ます。
・プレゼンティーズム:出勤しているものの、体調不良などでパフォーマンスが下がっている状態
・アブセンティーズム:欠勤や休業により、業務に従事できない状態
健康経営との関連性
健康経営優良法人の認定要件は複数ありますが、生活習慣病のリスクが高いメタボへの対応は、「制度・施策の実行」として評価の対象となるケースがあります。
一般に、特定保健指導の受診率向上や、健診結果を活用した生活習慣改善施策は、企業が健康課題に基づいて実効性のある行動を取っていることを示す代表的な取り組み例とされています。
メタボ対策は健康経営優良法人認定において必須項目ではありませんが、健康課題に基づいて施策を実施し、その効果を振り返りながら改善につなげていく姿勢は、健康経営の考え方そのものと深く関わる要素です。
従業員のメタボ改善・予防に役立つ基本対策
メタボ対策を成功させるには、「従業員個人」の自律的な努力と、それを無理なく継続させるための「企業の仕組み」が両輪となって動く必要があります。
個人ができる生活習慣改善
食事面では、まず「主食・主菜・副菜」のバランスを整えることから始めましょう。いきなり完璧を目指すより、週の半分だけでも整える、夕食だけ意識するなど小さく始めるほうが続きやすくなります。加えて、スマホアプリなどを活用して食事記録をつけることで、食べる量やタイミングの癖が分かり、改善の打ち手が見つけやすくなります。
運動面では、有酸素運動が有効です。ウォーキングやジョギングなど、体への負担が少ない運動を30分以上継続して行うことが推奨されます。さらに、筋力トレーニングを組み合わせることで筋肉量の維持・向上につながり、基礎代謝の底上げも期待できます。
企業ができる生活習慣改善
従業員に健康行動を促すだけでは不十分で、企業側が「健康的な選択をしやすくする」環境を整えることが大切です。社員食堂やオフィスコンビニで、野菜が取りやすく適量が選びやすい設計にするのもその一つです。社内自販機の飲料をトクホや機能性表示食品、無糖飲料へシフトするのもいいでしょう。
同様に、運動についても個人の意識に委ねるだけでなく、自然と行動につながる仕掛けを用意することが重要です。階段利用を促進したり、自然と歩数が増えるような動線設計にしたりする方法があります。運動イベントを開催して参加のきっかけを作るのもおすすめです。
こうした環境や仕掛けづくりに加えて、従業員が自分の健康状態を理解し、行動を継続できるよう支援することも欠かせません。その役割として、産業保健師や産業医が健診結果の見方や食事・運動のポイント、継続のコツを定期発信していくことも大切です。
また、従業員が「一人では難しい」「何から始めたらよいか分からない」と感じている場合、特定保健指導の対象となる従業員には、産業医や産業保健師による支援を活用できることを周知し、参加しやすい環境を整えることが有効です。なお、特定保健指導とは、対象となる被保険者に対して保険者が生活習慣のアドバイスなどを行う制度です。
特定保健指導についてはこちら
https://www.suntory.co.jp/softdrink/jihanki/solution/column/suntoryplus_09.html
企業が取り組むべき2つのメタボ対策施策
企業が取り組むメタボ対策には前項で解説した環境づくりのほかに、「ハイリスクアプローチ」と「ポピュレーションアプローチ」の2つの角度から行える施策もあります。前者は「健康リスクが高い人を対象に重点的に支援する」、後者は「全体の健康リスクを下げることを目的に、環境を整えて従業員全体の生活習慣の底上げを狙う」方法です。両者は対立するものではなく、組み合わせて成果を上げていくものです。
ポピュレーションアプローチについてはこちら
https://www.suntory.co.jp/softdrink/jihanki/solution/column/suntoryplus_05.html
ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチからみるメタボ対策
ハイリスクアプローチは、健診結果などからリスクが高い層を抽出し、個別の指導や治療勧奨を行う方法です。短期的な改善が期待できる一方で、対象者が限られるため、組織全体の健康づくりにつながる仕組みも同時に整えておく必要があります。
ハイリスクアプローチの施策例
・健診結果でリスクが高い従業員への面談や、生活習慣改善支援の実施
・有所見者に対する産業医・保健師によるフォロー体制の構築
・特定保健指導の実施率向上に向けた対象者への働きかけ
ポピュレーションアプローチは、全従業員(健康無関心層・未病層を含む)を対象に、健康行動が選ばれやすい環境や機会を作る方法です。組織全体の行動変容が徐々に進んでいけば、長期的な医療費削減や生産性向上が期待できます。
ポピュレーションアプローチの施策例
・社員食堂やオフィスコンビニなどによる健康的な食環境の整備
・全社員を対象としたウォーキングイベントやラジオ体操の実施
・社内での運動啓発コンテンツの配信や掲示
次に、企業のメタボ対策につながるサービスをご紹介します。
サントリープラスで実現するメタボ対策支援
サントリープラスは、従業員の健康行動の習慣化を後押しするためにサントリーが提供する健康経営サービスです。アプリを通じて従業員の日々の健康管理を支援するとともに、ハイリスク層からポピュレーション層まで幅広くアプローチできる点が特徴です。
[ハイリスクアプローチによるメタボ対策支援]
生活習慣病リスクのある従業員の行動変容を後押しする、健診前集中プログラムの概要をご紹介します。
1週間分の飲料クーポンを週初めにまとめて配布し、健康タスクの実施を対象者へリマインドします。健康飲料は①体脂肪対策(特茶/黒烏龍茶)②血圧(胡麻麦茶)③食後血糖(伊右衛門プラス血糖値対策)の3コースから選択できます。再検査対象者や特定保健指導対象者など、任意の従業員に対して実施可能です。
プログラム対象者には無料で健康飲料と交換可能なクーポンが定期的に届き、飲料の引き換えは、職場に設置されたサントリープラス専用自販機で行います。対象の飲料は会社負担で配布します。サントリープラスを毎日続けることで健康習慣を醸成するのが目的です。サントリープラスのアプリ内にある健康タスクは「肩甲骨を寄せて広げる」ことや「朝食に1杯牛乳を追加する」など、誰でも簡単に実践できるものから3つ以上設定します。いずれのタスクも科学的根拠に基づき、体脂肪・血圧・血糖・コレステロールにそれぞれ効果があるとされているものです。毎日の実施が推奨され、施策期間は1ヶ月または3ヶ月です。
[ポピュレーションアプローチによるメタボ対策支援]
全従業員を対象に、楽しみながら健康意識を高める仕組みが充実しています。
サントリープラスのアプリから参加できる「歩こうフェス」は、個人やチーム対抗で歩数を競う社内ウォーキングイベントで、歩数が増えて運動習慣づくりのきっかけとなります。
また、健康タスクは日常の行動変容を促します。「腹八分目に抑える」「いつもより速く歩く」など誰でも簡単に実行可能な健康行動が約60種類用意されています。健康タスクを週3回実施することで抽選くじを引くことができます。抽選結果に応じてポイントが獲得でき、そのポイントを利用してサントリープラス対応自販機で健康飲料と交換できる仕組みです。アプリの告知や自販機のポスターで自然な行動を促進します。
サントリープラスについてはこちら
https://www.suntory.co.jp/softdrink/jihanki/solution/suntoryplus/
問い合わせはこちら
https://www.suntory.co.jp/softdrink/suntoryplus/inquiry-form/
まとめ
メタボ対策は一朝一夕に結果が出るものではありません。しかし、生活習慣の改善という「従業員個人の努力」と、それを支える「企業の仕組み」が噛み合ったとき、将来のリスクは減少していくでしょう。
健診後のフォローや社内プログラム、特定保健指導の活用は健康意識を高め、健康維持や医療費抑制につながります。一方で、これらの施策を運用するには担当者の負担が生じやすい点も課題です。サントリープラスは歩数やタスク実施のデータを活用しながら、効果の見える健康経営をサポートします。
資料請求はこちら
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