おんがく

「こども定期演奏(えんそう)会」7月公演(こうえん)のききどころ ※終了しました

2016.07.05

2016年7月9日(土) 11:00開演(かいえん)(10:30開場)
「風にそよぐメロディー」
<出演(しゅつえん)>
指揮(しき):藤岡幸夫(ふじおかさちお)
ピアノ:松田華音(まつだかのん)
司会(しかい):坪井直樹(つぼいなおき)(テレビ朝日アナウンサー)
オーケストラ:東京交響(こうきょう)楽団(がくだん)
<曲目>
吉松 隆(よしまつ たかし): 鳥は静(しず)かに・・・
ラフマニノフ: 鐘(かね)
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲(きょうそうきょく)第2番 第1楽章
ハチャトゥリアン:『仮面舞踏会(かめんぶとうかい)』から 「ワルツ」
シベリウス:交響曲第5番 第3楽章

79日(土) 「風にそよぐメロディー」では昨年4月、東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」ではなやかにデビューした藤岡幸夫さんが再(ふたた)び登場。美しいメロディーの作品をならべた今回のプログラムのききどころや、シベリウスの魅力(みりょく)について聞きました。

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58回(79日)指揮者の藤岡幸夫さん ©Megu

-----今回のテーマは「風にそよぐメロディー」ですね。プログラムについてお話ししていただけますか?

「鳥は静かに・・・」は、吉松隆さんの最高(さいこう)傑作(けっさく)の一つだと思います。鳥が悲しく鳴いているところや羽ばたいているところをイメージしやすい曲です。吉松さんはシベリウスの影響(えいきょう)を受けていて、「トゥオネラの白鳥」みたいなところもあります。いまもっとも再演(さいえん)される邦人(ほうじん)作品の一つだと思います。ぼくも今年になってから札幌(さっぽろ)交響楽団や静岡(しずおか)交響楽団でも演奏しました。弦楽器(げんがっき)だけによる美しい名曲。和太鼓(わだいこ)が鳴ったりするのではなく、日本人にもこういう美しい曲を書くクラシックの作曲家がいることをこどもたちに知ってほしい。

-----藤岡さんは、吉松さんの作品をたくさん初演(しょえん)され、また吉松さん自身とも親交がおありですね。

吉松さんは情熱的(じょうねつてき)でとてもやさしい人。吉松さんの仲(なか)のよかった妹さんが若(わか)くして天国に行く直前に『もしうまれかわれるなら、鳥になりたい』と言ったのです。だから吉松さんの作品には鳥に関(かん)する作品が多い。

-----そのあとは、ラフマニノフ、ハチャトゥリアン、とロシア音楽がつづきます。

ラフマニノフの「鐘」はなつかしい曲です。渡邉(わたなべ)暁雄(あけお)先生の弟子になったときに、毎日先生の家に行っては、この「鐘」とベートーヴェンのピアノ・ソナタばかりひかされました。そして「鐘」をオーケストラ曲に見立てて、『ここは何の楽器(がっき)で演奏する?』というような、勉強の仕方をしていました。

今回こども定期に出演(しゅつえん)する松田華音さんはすごくおとなしいのですが、音楽はすごいパワーを持っている。彼女は6歳(さい)からロシアに行っているんです。『趣味(しゅみ)は?』ときくと『本を読むこと』。『何読んでいるの?』。『古い小説(しょうせつ)です。トルストイとか』。『ロシア語で?』。『もちろんです』って(笑)。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の冒頭(ぼうとう)も鐘の音です。鐘が鳴って、ネヴァ川の広大な流れがおしよせてくる。

20160705_こども定期_1ヴァイオリン協奏曲ソリストの松田華音さん

ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」のワルツは、浅田(あさだ)真央さんがフィギュアスケートで使っていた曲です。メロディーがグロテスクで野生的(てき)なところもあります。

-----最後(さいご)は、フィンランドを代表する作曲家、シベリウスですね。

シベリウスの「交響曲第5番」はぼくのもっとも愛(あい)するシンフォニーです。この曲はまさに自然(しぜん)ですよね。山がそびえ立っているし、風がふきあれる。それから、シベリウス自身がかつて見た人生最高(さいこう)の光景(こうけい)と語った、16羽の白鳥が空中を旋回(せんかい)して、太陽の光に照らされて、銀色のリボンのようになり、白鳥たちがものすごく高貴(こうき)な姿(すがた)で飛(と)んでいったというのが、音楽で描(えが)かれていますから、それをイメージしてもらえたらうれしい。そういうところを演奏の前に実際(じっさい)に音を出して説明(せつめい)できればいいなと思っています。

-----藤岡さんはシベリウスの第5番をもっとも愛するシンフォニーと言われましたが、その理由を教えていただけますか?

美しいからでしょうね。シベリウスの音楽って、ウソや芝居(しばい)がありません。恨(うら)み辛(つら)みもない。優(やさ)しい。交響曲第4番を書いていたころは、ノドに腫瘍(しゅよう)ができて、死ぬかも知れないという恐怖(きょうふ)とたたかっていました。結局、それは完治(かんち)して、自分も生きられると第5番を書きました。第一次世界大戦(たいせん)後に現在(げんざい)演奏されている改訂版(かいていばん)を書いたのですが、その間、祖国(そこく)フィンランドはロシアからの独立(どくりつ)を果(は)たしました。それで、病気は治(なお)ったし、ロシアからも独立したし、ということで、第5番は生きる喜(よろこ)びに満(み)ち溢(あふ)れています。生きられてよかった、自然(しぜん)ってなんて美しいんだろうという、神や自然に対する感謝(かんしゃ)の気持ちが深く描かれています。シベリウスの音楽には、人間の負の部分が一切ありません。シベリウスを尊敬(そんけい)するヴォーン・ウィリアムズの音楽にもありません。シベリウスやヴォーン・ウィリアムズは、自分のことよりも、自然や音楽を愛しているような感じがします。だからぼくはヴォーン・ウィリアムズも大好(だいす)きなのです。

-----最後(さいご)にこども定期演奏会のお客様にメッセージを。

すばらしいメロディーにあふれた作品を集めました。お子さんだけでなく、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさん、みんなに『クラシックっていいよね!』と思ってもらえるようなコンサートにしたいと思っています。吉松隆、ハチャトゥリアン、シベリウスなど、あまり知られていないけれどすばらしい作曲家を知ってもらう良(よ)いチャンスでもあります。

「美しい自然の光景を描いた音楽を楽しんでほしい」山田治生(はるお)(音楽評論(ひょうろん)家)インタビューより

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開演(かいえん)前の1040分から、オーケストラやホールのスタッフがわかりやすくお話してくれる「プレトーク」(約(やく)10分間)が始まります。今回はホールやオーケストラの良(よ)いところを広く伝(つた)える仕事=「広報(こうほう)」のお仕事についてのお話です。こちらもお楽しみに。

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保護者のみなさまへ

この公演は小学1年生よりご入場いただけます。
年齢にかかわらず、チケットはお一人様1枚ご用意ください。
1回券:3,000円(全席指定) 
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サントリーホールチケットセンター 0570-55-0017
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