チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

六甲バター
Q・B・B スモークチーズ

第10回 2015年09月

六甲バター<br>Q・B・B スモークチーズ

チーズの味わい

袋を開けた瞬間に広がるスモークの煙の香り、キャンプファイヤーや焚き火、バーベキューなどを思い出す香りです。
チーズは乳の味わいがストレートに出てくるプレーンなタイプが使われており、その分素直にスモークの香りを楽しむ事が出来ます。
燻製はとても強いフレーバーを持つので、ワインと合うかどうかは、このスモークの香りと相性が良いかどうかがポイントになります。


よく合うワイン

カステル ブレサック ボルドー 白 2014

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

グレープフルーツ パッションフルーツ 青草

香りが最後まで混じりあわないマリアージュ。

ブレサックはボルドーの中でも果実のフレッシュさや爽やかさを楽しむタイプのワインです。グレープフルーツや青草を思わせる香りが特徴的なのですが、この香りがスモークの香りと混じる事で、「これは何だろう?」という不思議な香りになりました。近い香りは超浅煎りのコーヒーでしょうか。味わいはワインにコクを出して悪くないのですが、軽やかな青草を思わせる香りとヘビーな燻製香という相反する香りがどうやっても混じりあわず、最後まで違和感の消えないマリアージュです。

サンタ カロリーナ シャルドネ レセルヴァ 2014

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

洋梨 はちみつ バター

フレーバーが同調。お互いのコクを高めあうマリアージュ。

このワインはチリの中でも比較的あたたかなエリアからのシャルドネで、リッチでコクのある果実味と樽熟成によるコクが特徴的です。樽熟成しているからか(樽は内部を焦がすので)、スモークの香りとの相性が非常に良く感じられました。チーズのミルキーさもワインにあるバターの様な香りとうまく相乗して、全体の印象としてお互いのコクを高めあっているように思います。元々はなかったベーコンやエスプレッソコーヒーを思わせる香りも出てきて、味わいが複雑になったように感じるマリアージュです。ただ最後に少し強めに苦味が出るので、その分を0.5点減点しました。

サンタ バイ サンタ カロリーナ カベルネ・ソーヴィニヨン/シラー

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー 黒胡椒 スミレの花

新しい味わいが出てくる面白いマリアージュ。

2015年の9月15日に発売になったばかりの新商品。やわらかな果実味と、アクセントになるスパイシーさが特徴のカジュアルなチリワインです。このワインと合わせると、白ワインの時は非常に強く感じられていたチーズのスモークの香りが、とても穏やかに感じるられるようになりました。ミルクコーヒーのような香りと、柔らかでまろやかな香ばしさが中盤から口の中全体に広がります。元々のワインとチーズの香りはどこかへ行ってしまい、新しい味わいに変化する感じで、結構面白いマリアージュでした。しかし、スモークの香りが消えてしまうので、スモーク好きには物足りないかもしれません。

カーニヴォ 2013

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

カシスリキュール ドライプルーン クローブ

チーズがワインに塗りつぶされてしまうマリアージュ。

カーニヴォは「お肉を食べる」ための赤ワインです。濃い色調と煮詰めたような濃厚な果実味の強い味わいが特徴です。このマリアージュは結論としては、ワインの方が強すぎて、チーズの味わいが殆ど出てこないという結果になりました。サンタの時のような、あたらしい味わいが出てくるという事もなく、チーズの味わいはワインを飲んだ瞬間から塗りつぶされてしまう感じです。ただ、ワインの味わいが単体で飲んだ時よりもまろやかに感じられるのは、チーズの乳脂肪のおかげかと思います。

チャレンジまとめ

チーズの中におけるスモークチーズの独特さを実感する事が出来たテイスティングでした。これまでの9回のテイスティングでは、どのチーズの場合もマリアージュによる味わいの変化をレポートして来ました。しかし、今回書き終わった後のコメントを改めて見直してみると、マリアージュによる香りの変化についてのコメントが殆どである事に驚きました。それだけ、スモークチーズはマリアージュの際に香りの占める比重が大きいという事がわかります。実際の結果も、スモークの香りと相性の良かったワインが高評価となりました。特に樽熟成した白ワインは、スモークチーズとの相性が非常に良い事が良くわかりました。これは、ワインの熟成に使われるオーク樽は使用する前に中を焼いてから使われるという事が、スモークチーズの同じく木を焼いて燻製するというところとフレーバーの共通点を生み出しているからだと思われます。他に同じようなフレーバーを出してくるワインというと、シラー種の赤ワインからもベーコンの様な香りを感じる事もあったりするので、良く合うのではないかと思います。サンタが好相性だったのも、40%含まれるシラー種が効いているのかも知れません。スモークチーズに樽熟成のワインというのは定番の組み合わせなのですが、やはり定番には定番の納得性があるというのを、感じさせられたマリアージュでした。

■ 関連サイト
スモーク チーズ(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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