Liqueur & Cocktail

カクテルレシピ

翠ジン・ソニック Recipe 1 SUI Gin Sonic

ジャパニーズジン翠 45ml
トニックウォーター 適量
ソーダ水 適量
ビルド/タンブラー
氷を入れたグラスに「翠」を注ぎ、トニックウォーターとソーダ水を1対1の分量で満たし、ミントの葉を飾る

翠ジン抹茶ソーダ Recipe 2 SUI Gin Matcha Soda

ジャパニーズジン翠 30ml
奏<抹茶> 15ml
ソーダ水 適量
ビルド/タンブラー
氷を入れたグラスに「翠」と「奏<抹茶>」を注ぎ、ソーダ水を満たす

翠ジン桜ソーダ Recipe 3 SUI Gin Sakura Soda

ジャパニーズジン翠 30ml
奏<桜> 15ml
ソーダ水 適量
ビルド/タンブラー
氷を入れたグラスに「翠」と「奏<桜>」を注ぎ、ソーダ水を満たす

アメリカ禁酒法から100年

アメリカが禁酒法を施行したのは1920年1月16日。ちょうど100年前の出来事である。それから1933年までのおよそ14年にわたりアメリカではドライの日々がつづいた。

100年前の春のいま頃は、施行前に買い求めた酒のストックの底がつきかけて、人々は暗澹(あんたん)とした気分であったことであろう。つまり、法律として酒類の製造、輸送、売買などは禁止したが、飲むことはできた。禁酒法でありながら飲酒を禁止しなかったために、社会的なほころびがさまざまに生まれた。

象徴はアルフォンス・ガブリエル・カポネ。ご存知アル・カポネは、都市型犯罪組織の典型とされるギャング組織を構成し、酒の密売で影のシカゴ市長的存在にまでのぼりつめた。「わたしはビジネスマンだ」というのが彼の口癖だった。

通常ならば、市民がやるべきことをギャングがやっていた。大衆の需要に応えることで金儲けをする、それのどこが悪い。禁酒法に対するカポネの言い分だった。

禁酒法時代の様子はさまざまに語られている。ギャング間の抗争、犯罪の増加、もぐり酒場の乱立、女性の飲酒人口の増加、パーティーでの乱痴気騒ぎなど。人々は法を犯すという罪の意識はなく、禁酒法をゲームのように楽しむようになってしまった。

この時代、密造が盛んにおこなわれた。名高い密造酒にバスタブ・ジンがある。密輸されるジンは高価過ぎて手が出せない人々は、密造の純度の低い粗悪なスピリッツを入手する。次にジュニパーベリーの代用として、似た香りである松の樹脂から抽出したテレピン油を粗悪なスピリッツに混ぜてジンとした。

18世紀前半のイングランド、ジン・クレイズ(Gin Craze/狂気のジン時代)にはびこった悪酒をよみがえらせたものであり、これを大量につくる者たちがいた。彼らはバスタブの中に入れて混ぜ合わせたのだった。ここから密造ジンをバスタブ・ジンと呼ぶようになったといわれている。

人間はそこまでしてアルコールを求めるのか、と驚愕してしまうが、深く考えもせず禁じてしまったことによる反動が悪を呼ぶのだろう。

我々日本人は100年前のアメリカの出来事を、時に笑い話として語ってしまう。これもまた仕方ない。ただし、戦後の日本でも悪酒がはびこった時代があった。その歴史を忘れがちである。

100年後のいま、ジンは進化する

さてアメリカ禁酒法施行から100年後の2020年春の日本では、極めて挑戦的で軽快なジン、「サントリージャパニーズジン翠(SUI)」が発売された。このジン、ジュニパーベリーの香味は抑えられている。よくぞここまで主張を和らげたものだ。開発者の勇気を讃えたい。

最初から「マティーニ」「ギムレット」「ホワイトレディ」といったザ・スタンダードカクテルに仕立てるベースにする意識がない。

おすすめの飲み方は「翠ジンソーダ」。しかも居酒屋をはじめとした料飲店で、料理を味わいながらグビ、グビっと飲むことに特化して開発されたジンである。クセのあるジン特有の香味が苦手という人でも、飲めばスーっと口中を駆け抜けていく爽快な心地に魅了されることだろう。バーで飲むジンがあるならば、居酒屋メシとともに飲むジンがあってもいいじゃないか、という考えから生まれたものだ。

この「翠」は、ジュニパーベリーはもちろんのことベーシックなボタニカル(草根木皮)8種を使ったジン原料酒と柚子、緑茶、生姜の和素材3種の蒸溜酒や浸漬酒をブレンドして生まれたものだ。ジンは一般的には蒸溜酒のみでつくられるのだが、素材の旨味を引き出すために浸漬酒を巧みにブレンドしている。

「翠ジンソーダ」はまず柚子の香りが鼻をくすぐる。よくノージングすると、ジンの香りが穏やかに調和しており、とても爽やかな感覚を放っている。味わうとジン特有の苦味は控えめで、緑茶の旨味が伝わってくる。これが食中酒としての魅力ではなかろうか。そして後味。ジンらしいキレ味とともに、ほのかに生姜の辛味が感じられる。この余韻がまた箸を誘い、またまたグビっと口中に清々しさを送り込むことになる。

とはいえ、飲み方は「翠ジンソーダ」だけではない。他にライムを搾り入れた「翠ジン・トニック」もいける。わたしのお気に入りは「翠ジン・ソニック」である。トニックウォーターとソーダの1対1で割る。スッキリとしたなかに柔らかい甘みと酸味も感じられて心地よい。

居酒屋でメニューに入れて欲しいな、と思うのは「ジャパニーズクラフトリキュール奏<抹茶>」を加えた「翠ジン抹茶ソーダ」。これ、抹茶の甘みがまるくなって食中酒としてかなりいい。もうひとつは「奏<桜>」を加えた「翠ジン桜ソーダ」。桜の風味はジンのアルコール感と調和する、ということがよくわかる一品である。


「翠」のアイコンはカワセミ。ボトルには羽を休めた姿が描かれている。清らかな水辺にしか棲息しない鳥である。水面近くを猛スピードで飛ぶ姿は、清々しく香る、爽やかな味わいに通じる。

今後はジンがより身近な存在になっていくような気がする。料理とともにグビ、グビっと飲む、清涼感、スピード感が「翠」にはある。

「翠」よ、ジンの進化のために、そして次の100年に向けて、飛べー!

イラスト・題字 大崎吉之
撮影 児玉晴希
カクテル 新橋清(サンルーカル・バー/東京・神楽坂)

ブランドサイト

ジャパニーズジン「翠(SUI)」
ジャパニーズジン
「翠(SUI)」

ジャパニーズクラフトリキュール 奏kanade
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