身は肩を張って腰を緩やかにすぼめ、高台を円形とする以外は八角に面取りする。胴に窓を設けて梅樹と桃樹の図様を交互に配して、その間に亀甲地にパルメットによる四弁花文を置き、蓋・肩・頸・裾には唐草や龍と鳳凰の円文などを描く。中国美術の影響が色濃く見られるこれらの文様は、黒の細線と赤・黄・緑・紫と金彩で描き、染付を使用していない。ヨーロッパ輸出用の金襴手大壺のうちでも早い時期の作で、最上手の色絵を施した名品である。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)