大正10年(1921)10月23日(日)、東京袖ヶ崎の島津邸で「薩摩硝子陳列会」が開催され、当時薩摩切子と鑑定された128点が出品された。本作もそのうちの一点で、展覧の際にスケッチされた16作品中にも確認される。そこには、幕末の薩摩生まれで鉱山学者の山田直矢氏が所有していたことも記されている。薩摩切子の中でも緑色被せガラスは非常に希少性が高く、現在確認されているものは、本作も含めてわずかに2点のみである。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)