16世紀後半からのポルトガルとの交易で生まれたのが南蛮漆器である。蒔絵と螺鈿で西洋風の意匠を施した漆器は人気を博し、輸出されるようになった。書見台は聖書をのせる台。書見台と脚がそれぞれ一枚板からなり、両方の板を合わせて折りたためるようになっている。黒漆塗に平蒔絵や螺鈿によってイエズス会のIHSの文字と、その周囲に植物文を埋め尽くすように描くことはほかの南蛮漆器と共通するが、植物文が桜、橘、桐など日本的なもので、より和風色が強い作例となっている。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』、サントリー美術館、2018年)