ボヘミアン・グラスの台頭は、17世紀後半、光の屈折率の高いカリ・クリスタル素地が開発されたことに始まる。光との共鳴が引き立つ彫りの技術が発展し、透明性を生かした古代技法も再興された。二つの相似形のカップの間に金箔模様を挟み込むゴールドサンドイッチ技法は後者の好例である。本作では聖ニコラスとマグダラのマリアが聖心を支えあう場面を中央に、寓話的な絵柄が展開される。真摯な宗教心に寄り添う役目を担ったのだろう。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)