しんひながた ちよ の そで
小袖雛形本とは小袖の意匠見本集のこと。元々は呉服屋の見本や注文控えであったが、江戸時代に木版刷りの冊子として出版されると、現在のファッション誌に近い感覚でも読まれるようになった。染織の中枢であった京都の版元など、上方の書肆(しょし)による刊行が多く、現在しられているだけでも120種以上あり、人気の出版物であったことが分かる。形式としては、一頁に一点、小袖の背面型を配し、その中に様々な模様を描き、余白には模様の題名や配色の説明、加工法などを記すのが主流となっている。 No.141(《新板小袖御ひいなかた》)は浮世絵師の菱川師宣による雛形本。小袖の意匠に加えて、小袖を着用した人物の姿も登場し、実用書としてだけでなく、絵本としても楽しめる趣向になっている。小袖のデザインは動きのある大胆なモチーフが多く、前の時代である寛文年間(1661~73)に流行した寛文小袖の影響が強く感じられる。No.142(《諸国名所雛形》)は全国各地の名所に着想を得た意匠を紹介するもので、登場するモチーフに合わせて、四季などで分類されている。元禄時代(1688~1704)には小袖全体に刺繍や絞りを施すデザインが流行しており、No.142(《諸国名所雛形》)の精緻な表現からもその特徴がうかがえる。No.143(《新雛形千代の袖》)は京都で出版された雛形本で、多色摺りで細かい描写が多く、手間がかかっている。着物の上前襟下あたりから前身ごろ、あるいは後裾の部分に向かって斜めに模様を入れる江戸褄のデザインが多く採用されており、時代による好みの変化が見て取れる。(『リニューアル・オープン記念展Ⅰ ART in LIFE, LIFE and BEAUTY』、サントリー美術館、2020年)
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