かきのもとの ひとまろ ぞう
和歌はわずか31文字という、世界的にも短い詩のひとつですが、限られた文字数だからこそ、さまざまな技法や工夫をこらし、自分の思いをより効果的に伝えることができたのです。だから和歌は日常のコミュニケーションや恋愛、はては出世にまで関わる重要なスキルであり、人々にとって古の和歌の名手は伝説の「アイドル」とも言える存在でした。 そんなアイドルのひとりが柿本人麻呂です。平安時代後期には、ポスターのように人麻呂の肖像画を飾って和歌の上達を願う儀礼も始まり、ついに人麻呂は和歌の神様にまでなりました。《柿本人麻呂像》(No.32)も、そうした儀礼のために描かれた鎌倉時代の画像を江戸時代に写したものです。 また、こうしたアイドル歌手は、グループがプロデュースされることもありました。そのひとつが平安時代に選ばれた三十六歌仙です。《佐竹本・三十六歌仙絵 源順》(No.33)は、36人のメンバー全員を描いた最古の絵巻を分割したものです。 両名ともまさに和歌を生み出そうと悩む姿が描かれていますが、これは人々の心を動かすほどの和歌を詠んだ、憧れのアイドルたちの姿でもあったのです。(『リニューアル・オープン記念展Ⅱ 日本美術の裏の裏』、サントリー美術館、2020年)
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