なんばん びょうぶ
右隻に南蛮船が日本の港へ入港し荷揚げする様子を描く。一方、左隻にはテラスのような場所に集う南蛮人たちの儀式を描き、下方に馬を調教する様子を描く。したがって基本的にはサントリー美術館所蔵の狩野山楽様式の南蛮屛風(絵画1)と左右隻の構成をほぼひとしくするが、左隻左端の異色の形態の楼門がこちらの屛風では描かれない。左隻の異国的要素もさらに希薄になっており、絵画1と細部において少しずつ相違点を見出せる。右隻の南蛮人の行列ではカピタンたちの後ろ姿が印象的である。同じく狩野派が描いた九州国立博物館の《唐船・南蛮船図屛風》と共通する点も指摘されているが、とくに画面右上に配置された南蛮寺の描写が、九州国立博物館本では屋根に十字架が描かれるなどキリスト教の教会らしさをまだ残すのに対して、こちらの南蛮屛風の同じ箇所にはイエズス会の宣教師以外にキリスト教を思わせる描写はなく、全体的に宗教色を消し去る方向へ進んでいることがわかる。慶長19年(1614)以降の徳川幕府による厳しいキリスト教の布教への弾圧に対して、画面を変更させて行く過渡期に描かれた屛風とみなすことができる。(『南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屛風の謎』、サントリー美術館ほか、2011年)
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