しゅんじゅう かちょう ず びょうぶ
水辺の土坡に桜と楓が生え、周りを鳥たちが飛び交っている。桜の花弁は胡粉で一枚一枚丁寧に彩色され、楓の葉は繊細な朱色のグラデーションで表現されるなど、細部まで神経の行き届いた表現が見られる。両隻はたなびく金雲で埋め尽くされ、雲の間からのぞく岩や土坡の鮮やかな緑青が画面を引き締めている。作者の土佐光起は土佐派中興の祖とされ、永禄12年(1569)より失われていた宮廷の絵所預職を再興した。伝統的な土佐派の手法に狩野派や中国・宋元画学習の成果を取り入れ、江戸時代の土佐派に新たな展開をもたらした。本作には両隻に「土佐左近衛将監光起筆」の署名と「光起之印」の白文方印があり、光起が従五位下左近衛将監に叙任された承応3年(1654)以降の作であることが分かる。また、本作と同じく各隻に桜と楓を描いたものに「春秋花鳥図屛風」(頴川美術館蔵)、「桜花楓樹図屛風」(シカゴ博物館蔵)がある。特に後者は東福門院の好みで制作されたとの伝承があり、それは後水尾院の息女で近衛基煕夫人となった常子内親王(1642-1702)の日記『无上法院殿日記』の記述からも蓋然性が高いとみられている。本作もそうした東福門院周辺の好みを受けて制作されたのかもしれない。(『寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽』、サントリー美術館、2018年)
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