ふしみ ときわ えまき
源義朝の死後、追手から逃れるため、常磐御前は今若、乙若、牛若の三人を連れて、清水で祈った後、大和へと向かう。途中雪の山道をさまよい、ようやく伏見木幡の里にたどりつき、一夜の宿を求めると、里の老夫婦はあわれに思い、暖かく迎え入れてくれる。また、里の女たちも各々民謡を踊って、常磐らを慰めた。登場人物の姿勢や表情が、人形のようにあどけなく愛らしい佳品である。絵と詞が入れ込みになり、絵は挿絵式の簡略なもので、伝統的な大和絵の画風を抜け出た、稚拙で素朴な表現ながら、情緒にあふれている。また、雪山をさまよい麓に辿りつくまでの場面などには異時同図法を使用している。全体的に無雑作ともいえるような描写に御伽草子絵の特色が顕著に表れている。幸若舞「ふしみときは」と同材で、語り物から始まり、奈良絵入りの絵巻から奈良絵冊子、さらに絵入り版本へと読み物としての展開を遂げていったものの一つと考えられる。(『絵巻小宇宙―絵の中に生きる人々―』、サントリー美術館、2000年)
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