そうひつ ごじゅうさんつぎ しながわ
《双筆五十三次》は三代豊国が人物、広重がこま絵に東海道の風景を描くシリーズで、東海道の出発地である日本橋と到着地の京都、およびその間に設けられた五十三の宿場に、目録一点を加えた五十六枚揃から成る。本作はその内の一枚で、最初の宿場である品川を取り上げている。目録では「品川 身仕舞部屋」となっているため、品川にあった遊郭の遊女が身支度をしている場面だと分かる。鮮やかな赤い鹿の子絞りの着物を着た遊女が鏡台の前に座り、髪を結ってもらっている。左手に煙管を持ち、右足の脇には煙草盆が置かれ、すっかりリラックスした様子である。鏡の前に浄瑠璃本が広げられているため、顔は分からないが、粋な着物を着こなすセンスの良さがうかがえる。背景には品川沖の景色が配され、海に面した開放的な品川の雰囲気を伝えている。構図や船の描写には保永堂版《東海道五拾三次之内 品川》と類似する所があり、版元が保永堂版の人気を意識していた可能性をうかがわせる。(『リニューアル・オープン記念展Ⅰ ART in LIFE, LIFE and BEAUTY』、サントリー美術館、2020年)
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