いろえ おんな にんぎょう
型を用いて着物姿の女性の立ち姿をかたどり、鮮やかな色絵を施した人形です。同じ大きさ、顔立ち、ポーズで着物の柄のみ異なる例がいくつも残っています。目の位置にあらかじめ薄く線彫りを施し、その上から黒で涼やかな切れ長の目を描きます。堂々とした大きい鼻、微笑みをたたえて開いた口元、豊かなほほから少し引いた顎の輪郭は、どの視角からも優雅に、艶麗に映えます。ゆったりとした打掛の襟先を黒い帯の下に挟み、右手は帯下に当て、左手は襟元に添え、左足を小さく前に踏み出した状態でやや後ろに傾いています。柿右衛門人形の女性像における一つの見どころは着物の絵柄で、打掛の背中に描かれた八重桜に熨斗や額の文様、間着を彩る七宝つなぎ文と紅葉文がたいへん華やかです。文化4年(1807)の『睡余小録』には、同形の品を挿絵入りで「徳子吉野の像なり。伊満里柿右衛門の作るところ」としており、京都・島原の遊女、吉野写したものと理解されていたようです。(『IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器』サントリー美術館ほか、2014年)
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