しょうちくばい かちょう まきえ いりょうきぐ いれ
吸玉療法と瀉血療法の道具を収める箱とされるが、正確な用途は不明。類品は1996年にオークションに出た一点が知られるのみ。大きさの異なるふたつの長円形を、それぞれ中途で切断して合体させたような形で、内部は接合部を境に大箱と小箱に仕切られ、蓋もそれぞれ別個につく。大箱のほうは内部がさらにふたつに分かれる。箱はどちらも底が浅く、身の半分ほどの深さしかない。これはその底のしたに、長い道具か引き出しをいれる空間を設えたためである。大箱の湾曲面の下側に金属製の扉があり、そのなかの上半分が大箱と同形の引出し、下半分が小箱まで筒抜けの空間となっているのである。蓋はふたつとも蝶番でとめ、甲を極端に盛りあげる。金具はすべて西洋製で、上述したオークションへの出品作とまったく同じ位置に取りつけられている。各面の縁を金平蒔絵の石畳文で飾り、四弁稜花形の絵窓を小箱側面にひとつ、大箱の蓋表にひとつ、前後面にひとつずつ、そして円形の絵窓を小箱の蓋表にひとつ設ける。絵窓のまわりは銀粉の梨地。窓のなかは黒地に金平蒔絵で花鳥図や竹の図、三つ蝶紋などをあらわす。大箱の蓋表には銀彫金の象嵌もみられ、引出し側面には金平蒔絵で「南蛮唐草」を描く。本品は南蛮漆器から紅毛漆器への過渡期(1640年代)の特徴をよく示している。平戸のイギリス商館長リチャード・コックスは、その1618年の日記に「外科医療箱10個」を蒔絵屋に注文したと記しているが、その箱もまた本品のような姿だったろうか。本品には革製の外箱が付属し、その底裏には外箱の制作者だろうか、19世紀パリの著名な製本職人であるレオン・グリュエル(1841-1923)の店のシールが貼られている。(『japan蒔絵―宮殿を飾る 東洋の燦めき―』、サントリー美術館ほか、2008年)
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