びじゅつ

【アートのおしごと・美術館編(びじゅつかんへん)】    美術館学芸員(がくげいいん)

2015.01.28

サントリー美術館展示室展覧会を企画するのも学芸員のお仕事。 撮影:木奥惠三

 美術館にはいろいろな人が働(はたら)いていますが、今回紹介(しょうかい)するお仕事は「学芸員」です。学芸員というのは、美術館や博物館(はくぶつかん)などで資料(しりょう)をとりあつかう専門(せんもん)家のこと。日本では、大学などで資格(しかく)をとってから美術館や博物館に就職(しゅうしょく)します。学芸員は、資料を調査(ちょうさ)・研究し、展覧(てんらん)会を企画(きかく)したり、所蔵(しょぞう)品を管理(かんり)したりしている、美術館や博物館のいわば中心となるお仕事をしている人なんです。サントリー美術館の学芸部には10人のスタッフがいて、それぞれの専門分野で活躍(かつやく)しています。

 学芸員のお仕事は、とてもたくさんあります。例(たと)えば、美術館に行くと展覧会が開かれているよね。学芸員は展覧会を開くために、どんな展覧会をしようかな、と考えることから始まって、展示(てんじ)する作品を決めたり、その展示のしかたを考えたり、見る人がわかりやすいように解説(かいせつ)文を書いたり、何年も前から準備(じゅんび)をしているんだ。作品を借(か)りたり、返したりするのも大切なお仕事。それに、雑誌(ざっし)やテレビなどで展覧会の見どころを紹介することもあります。たくさんの人に展覧会を見てもらえるように、工夫(くふう)しているんだよ。

 また、作品を守るのもお仕事のひとつ。展示室や、専用(せんよう)の倉庫(そうこ)で大切に保管(ほかん)している作品が、ずっと未来(みらい)の人にもひきつがれていくように、環境(かんきょう)を整えたり、傷(きず)がついたりしていないか調べたりします。みんながいつも入ることができる展示室は、美術館のほんの一部。美術館の奥(おく)の見えないところでは、貴重(きちょう)な作品を見て楽しんでもらうために、日々(ひび)、調査や研究がなされているんだよ。

 2015年3月18日からはじまる展覧会「生誕(せいたん)三百年 同い年の天才絵師(えし) 若冲(じゃくちゅう)と蕪村(ぶそん)」展を担当(たんとう)している石田佳也(いしだよしや)学芸部長にインタビューしてみました。

 学芸員というお仕事の魅力(みりょく)はどんなところでしょうか。

 「美術作品などの資料に触(ふ)れて、じっくり研究することができます。そして、その研究の成果(せいか)を展覧会としてたくさんの人に見てもらえるのは、とてもやりがいのあることですし、お客様によろこんでもらえると、とてもうれしいです。」

 では、学芸員になるにはどうしたらよいのでしょうか。

 「まずは自分が興味(きょうみ)をもっていることを勉強し続(つづ)けて、その分野の専門家になることです。美術館は美術作品をあつかう施設(しせつ)ですが、博物館や科学館などにも専門の学芸員がいます。いつもアンテナをはって情報(じょうほう)を集め、自分のすきなものの魅力(みりょく)を語ることならだれにも負けない!という人には、ぴったりの仕事だと思いますよ。」

 あちこちに調査(ちょうさ)に行ったり、ねばり強く交渉(こうしょう)したり、こまやかな心づかいが必要(ひつよう)で、時には体を動かして作業することもある大変(たいへん)なお仕事だけど、たくさんの人に作品の魅力を伝(つた)えたい!というあつい思いが、大きな力になっているんだね。そんな思いがつまった展覧会だからこそ、みんなもルールを守って楽しく、じっくり見てみよう。きっと、いろんな発見があるはずだよ。

学芸員による見どころトークサントリー美術館では、学芸員が直接(ちょくせつ)解説をする「見どころトーク」もおこなっています。(おとな向け)
撮影:加藤英明