75花・植物の水のあげ方 | 水やりの基本を押さえて上手なガーデニング!
ペチュニアは4月~11月にかけて花を咲かせるナス科ペチュニア属の花で、基本的に丈夫で育てやすい植物です。夏の暑さに強く、良い環境で育てれば春から秋まで花を長く楽しめますので、春のガーデニングで楽しむ花として人気が高い花の一つですね。赤、赤紫、紫、ピンク、青、白など多彩な花色があり、花模様や八重咲きタイプなど種類も豊富です。
和名は「衝羽根朝顔(ツクバネアサガオ)」で、日本には江戸末期に伝来されましたが、当時のペチュニアは湿気や寒さに弱く日本の気候では栽培が難しい花でした。ですが1989年、日本の気候に適応できるよう品種改良した「サフィニア」が誕生したことがきっかけで、園芸ユーザーの間に一気に人気が高まりました。現在は様々なガーデニング向けのペチュニアが開発され、ガーデニングの定番の花として愛されています。
目次
水やりの役割

植物は光合成によって成長します。光合成とは、植物が太陽の光を受けて、根から吸収した水と空気中の二酸化炭素から栄養分を作り出す働きです。植物の80~90%は水分で構成されており、水がなければ生きていけません。水やりはこの水分を補充する重要な役割を果たします。水は植物にとって栄養やエネルギーを運ぶために不可欠で、日中の水やりは光合成をサポートし夜の水やりは植物の回復を助けます。
日中の水やり
1. 吸収・運搬・蓄積
2. 蒸散の役割
昼間に植物が吸収する水分は、根から取り込んだ栄養素や光合成で作られたグルコースを植物全体に運び、必要な部分に蓄える役割を果たします。その働きにより夜間の成長と修復を支える基盤が整い、植物は昼夜を通して健康に成長し続けることができます。
夜間の水やり
1. 代謝活動
2. ミネラルの代謝と活用
昼間に蓄えた水を夜間に植物が吸収して、代謝活動や細胞の安定をサポートし、全体の水分バランスを維持する上で重要な役割を果たします。これにより、植物は翌日の成長や光合成に備え、健康な状態を保つことができます。
ガーデニングの上手な水やりは基本の3条から!
(1)土の表面が乾いたら
土が乾いていないのに水を与え続けると、水浸しの状況が続いて根が呼吸出来なくなります。そして根腐れの原因となったり、根や株が生長せず生育不良の原因となりますので、土が乾いてから水やりをするのが基本です。
土の乾き具合は植物の吸水量、株の大きさや生育状況、季節、置き場所や用土の質や量によっても変わってきます。土の表面を見たり触って確認するのも良いですが、鉢を持ち上げてみても分かりやすいです。土が乾くと鉢が軽くなります。水やり後にも鉢を持ち上げてみて、重さの違いを確認しておきましょう。
以上のことから水やりは何日おき等の目安ではなく、土が乾燥した時が目安になるのです。

土が乾いた状態

土が湿った状態
(2)鉢底から溢れるくらいにたっぷりと
植物の根は土中で呼吸をしています。水やりの時に水をたっぷりあげることで土中の古い空気が押し出され、新鮮な空気と入れ替わります。そして根が呼吸しやすい状態になり、スクスク育ってくれます。
鉢下にあふれた水は、そのままにしておくと過湿の原因になりやすいので、水が空になった状態の鉢皿に乗せましょう。

鉢下から水があふれるくらいに

鉢皿の水は空にしましょう
(3)葉や花に水がかからないよう土の表面に
上から植物や花にかけるような水やりは、土中の雑菌を跳ね返らせたり、花びらの色素を飛ばして白いシミを作る原因になります。正しくは、葉や花に水がかからないように土の表面に水をあげましょう。
育った植物が鉢を覆っている場合は、折れないように優しく持ち上げて、土に向けて水やりをしましょう。

水が葉や花にかからないように

折れないように優しく持ち上げて
水やりの時間帯は朝方がベスト。その理由は?
春・秋
花・植物の水やりは、極端に寒いとき以外はなるべく朝方に行いましょう。なぜなら、植物が光合成をする際に水分が必要だからです。
植物は太陽の光を浴びながら根から水分を供給し、気孔を開いて呼吸をしながら水分を蒸散させます。植物がスクスク育つために必要な活動です。
光合成が出来ない夜の水やりが繰り返されると、葉が徒長しやすくなってしまいます。夜の水やりは間に合わなかった場合などに留めてください。
夏場
夏場は気温が低い朝方の時間帯がベストです。日中に水やりを行うと暑さで土中の水がお湯になってしまい根を傷め、葉焼けや葉枯れの原因にもなりますので、朝に間に合わなかった場合は夕方になるのを待ってから行ってください。
冬場
冬場は、植物が凍えないよう気温の低い時間帯は避けて、午前中の気温が上がっている時間帯がベストです。
屋内で育てる鉢花・観葉植物の上手な水やり方法は?
室内で育てる鉢花や観葉植物なども、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりを行ってください。水のやりすぎは根や株が生長せず「根腐れ」などを起こし枯れる原因となりますので、土が湿っている時はあげなくてよいです。乾と湿のメリハリが大切です!
冬は午前中の暖かい時間が適しています。
鉢花を長く楽しむための水やりのコツ

(1)水が葉にかからないようにし、鉢底から流れ出るまでたっぷりあげます。

(2)鉢底から流れ出る水をきります。

(3)乾いたタオルを敷いて、約30分くらいそのまま置きます。

(4)約30分後にタオルを解放します。タオルを絞るとこんなに水がとれました。
このようにしてあげることで、鉢の中の水分量がちょうど良くなり、根腐れを防いでくれます。
鉢のウォータースペース

鉢植えの水やりは、鉢のウォータースペースを上手に使いましょう。ウォータースペースとは、土面を鉢の上端から数cm程度下にして、一時的に水を溜めるスペースのことです。プランターや鉢植えの場合は、縁から2~3cmの所まで土を入れてください。ウォータースペースに溜まった水は土にしみ込んで、鉢底から流れだすようにします。
失敗しないジョウロの選び方 大きさや形など
花・植物に水をあげる時は、ジョウロなどで株元に優しくあげるのが基本です。
たくさんの鉢植えや花壇に水やりをする為にどうしてもホースを使う場合は、花や植物の上からかけず、土の表面の植物が植わっている所にむけて水やりをしてください。
どんなジョウロを選べばいい?と迷われた場合は、こちらをご参考にしてみてください。


形状
水を入れたジョウロは重くなるので、持ち手が持ちやすい方がベターです。
ジョウロの先端は、細い形状のタイプと、蓮の実(シャワー)タイプのものが主流です。
先端が細いタイプは、葉や花に水がかからないよう、植わっている土に向けて水やりがしやすいです。植物が育って土を覆うようになった時には枝葉の隙間からじょうろの先端を入れて水やりができるのが便利なポイントです。水の勢いが一直線に出ますので、土に穴があいたり花を傷めたりしないように、水に手を添えて勢いを和らげてあげると良いでしょう。
また、蓮の実タイプは水流が柔らかいので植物を傷つけにくいのがメリットです。
蓮の実が取り外し可能なタイプもあります。目的に応じて使い分けができるのでおすすめです。
大きさ
大きめのサイズの方が、水を汲みに行く回数が減るのでおすすめです。育てる鉢数にもよりますが意外とたくさんの水が必要になります。
素材
水を入れたジョウロは重くなるので、軽い素材のジョウロの方が便利です。
その他
お洒落なデザインのジョウロを選ぶと、水やりを終えた後にガーデニングスペースに置いておくだけでも絵になりやすいです
季節ごとの上手な水のあげ方 花・ガーデニング
水やりの回数は、季節ごとに違います。春は暖かくなっていくので徐々に増やし、梅雨は過湿になりがちなので控えめに。夏は乾きやすいで多めにして、秋は涼しくなっていくにつれ徐々に減らしていきます。冬は乾きにくくなるので控え目にするのが一般的です。
では、具体的にどのくらいの目安が良いのか、季節ごとに詳しく説明いたします。
【春】の水やり方法は?
春は、芽生えた植物がすくすく成長していく季節です。人間の成長期と同じように、植物にも成長期は水や栄養を必要とします。
(1)土の表面が乾いたら
(2)鉢底から溢れるくらいにたっぷりと
(3)葉や花に水がかからないよう土の表面に
の基本の3条を守って水やりをしてあげましょう。
気温が高くなっていくにつれ、土が乾くまでの間隔が早くなっていきます。特に晴れた日は急激に土が乾くようになっていきます。早春と同じ間隔で水やりを行うとカラカラになってしまいますので、土が乾いていないかのチェックを習慣づけましょう。
花壇植えの場合は雨水のみで十分ですが、何日も雨の降らない日が続いた時は水やりが必要です。
【梅雨時】の水やり方法は?
梅雨の時期になると、雨や曇りの日が多くなり湿気が高くなることで、土がなかなか乾かない日が続きます。土が湿っている時は水やりはしなくてよいです。
水のやりすぎは根や株が生長せず根腐れの原因になりますので、水やりは土が乾くまで待ちましょう。
また、植物や花に雨が当たり続けると、土が湿った状態が続いたり、薄い花びらは傷んでしまうこともありますので、屋根下などの雨のあたらない場所に移動させてあげましょう。
根腐れしてしまったら
根腐れを起こしている植物に対して、水をたくさん与えることは逆効果です。土壌が湿っているのに植物が萎れたり葉が黄色に変色する場合は、根腐れの可能性があります。水のやりすぎは根腐れを引き起こし、根が水を吸収できなくなります。根は酸素を取り込むことで再び水を吸収する性質があるため、常に土が湿った状態だと根腐れを起こします。
根腐れの対処法
①日陰に移動:根腐れした植物は半日陰に移動させ、水分の必要量を減らします。
②鉢の排水が良好か確認し、土を全て落として根腐れした部分を取り除きます。新しい鉢と土に植え替えます。
③土が乾いたら水やりをし、葉が萎れている場合は霧吹きを使います。肥料は控えます。
④植物が元気になったら日なたに戻し、通常の水やりと肥料やりを再開します。
【夏】の水やり方法は?
夏の水やりは、気温が低い朝方のうちに行ってください。朝が難しい場合は夜に行ってください。日中に水やりを行うと暑さで土中の水がお湯になってしまい根を傷め、葉焼けや葉枯れの原因にもなります。
水をあげてもすぐ乾きますので、水切れに気をつけましょう。昼に土がカラカラになっていても日中の水やりは避け、慌てず気温が下がる夜になるのを待ってから水やりしてください。
ベランダなど乾燥しやすい場所では、時々株全体に水をかけてあげる(葉水=シリンジ)と、葉からの蒸散作用を抑制して根からの水分吸収とのバランスを保てます。また、ハダニの防止にも効果があります。
しかし、花に水をかけるとシミが出来る場合もあるので、なるべく花には直接水がかからないようにしましょう。
花壇植えの場合は雨水のみで十分ですが、真夏に何日も雨の降らない日が続いた時は水やりが必要です。
夏に数日間留守をする時には、水を張ったトレーやバットに鉢を置いたり、鉢ごと日陰に移動するなどしましょう。また、ペットボトルを利用した潅水装置や市販の自動潅水装置を利用するのも効果的です。
【秋】の水やり方法は?
秋は、気温が低くなっていくにつれ、夏よりは土が乾くまでの間隔が遅くなっていきます。真夏と同じ間隔で水やりを行うと過湿になってしまいますので、土が乾いていない時は水やりはしなくてよいです。
それでも、意外と夏の暑さが残っていたり、気温の高低差が激しい日もあったりします。特に晴れた日は急激に土が乾きますので、土が乾いていないかのチェックもしましょう。
【冬】の水やり方法は?
冬の水やりは、気温の低い夜を避けて、日中のうちに行ってください。夜に水やりを行うと土中の水が冷たすぎてしまったり、氷点下の場合は凍ったり霜が発生し、植物が凍えてしまいます。特に寒い日は水をあげる時に人肌程度のぬるま湯をあげると根にも優しいです。
冬になっていくにつれ土がなかなか乾かなくなります。植物もお休み状態になり、気温も低くなるため水が乾きにくくなるのです。秋の間隔で水やりを行うと過湿になってしまいますので、土が湿っている時は水やりはしなくてよいです。基本通り「土の表面が乾いたら」「鉢底から溢れるくらいにたっぷりと」を守りましょう。
真冬に数日間留守をする場合も、水が乾きにくいのであまり心配ないでしょう。
前もって計画的に水やりのタイミングを調整出来るなら、お出かけ前までには土が乾いている状態になるようにしておき、お出かけ直前に「鉢底から溢れるくらいにたっぷりと」水やりをしておくと尚良いでしょう。
栽培環境によって変わる、水やり方法は?

日当たりの悪い場所
建物の陰になっていたり、北側や木の下など、日当たりの悪い環境では、お日さまに当たりにくいので土の乾きが遅いです。特に過湿に気をつけながら水やり管理をしてあげましょう。
高層階のベランダ
高層住宅のベランダの環境では、地上よりも風が通るので、植物・花の土は想像以上に乾きが早いです。特に乾燥に気をつけながら水やり管理をしてあげましょう。
花壇・地植え
花壇・地植えの場合は、回りの土からも吸水できるため、基本的には雨水のみで十分です。
ですが何日も雨の降らない日が続いた時は水やりが必要です。特に真夏は土の状態を確認して、カラカラになっていたら水やりをしてあげてください。
水不足のサインと影響
■葉や茎がしおれる:水分が不足すると、細胞が張りを失い、葉や茎がしおれやすくなります。
■成長が停滞する:栄養分が運ばれにくくなり、成長が停滞します。
■葉の色が黄色に変色する:水不足の影響で、急速に葉がしおれて黄色くなります。乾燥で葉がカサカサになりやすく、古い葉や下葉から黄色くなることが多いです。また、土が乾燥し、葉が巻き上がったり縁から乾燥するのが見られます。
■乾燥による葉の縮みや変色:乾燥が続くと、葉が縮んだり、焦げたような変色が起こることもあります。
→■影響すること:水分不足は成長の停滞を招き、栄養分が行き渡りにくくなることで、葉が黄色くなることもあります。さらに、乾燥が続くと葉が縮んだり、焦げたような変色が生じることもあり、植物の健康を損なう原因になります。
水分過剰のサインと影響
■葉の色が黄色に変色や落葉する:根の機能が不安定になるため、葉が黄色く変色し、落ちることがあります。
■水分過剰による葉の黄色に変色する:湿っぽく柔らかい質感が特徴で、新しい葉や上の葉も影響を受けやすく、全体的に黄色くなることがあります。根が傷んで黒ずんだ斑点が葉に現れたり、土が常に湿った状態が確認できることもあります。
■病害虫が発生する:湿気が多い環境は、カビや病害虫を発生する原因になります。
■根腐れのリスク:土壌内の酸素が減少し、根が呼吸できなくなることで、根腐れが発生するリスクが高まります。
■葉:葉が茶色や黄色に変色する。葉がよく落ちる。育成が悪く、葉が垂れ下がって元気がない。
■根:根元から腐敗臭・悪臭がする。根が黒く変色する。
■土:土の表面にカビが生える。
→■影響すること:土壌中の酸素が減少し、根が呼吸しにくくなることでダメージを受けます。根が弱ると栄養吸収が不安定になり葉が黄色く変色したり、しおれや斑点状の変色が見られることもあります。さらに、根腐れを伴うことが多く、植物の健康に深刻な影響を与えることがあります。
水やり失敗で困った時は?トラブル解決法
植物に水をあげすぎてしまった!
受け皿を外し、鉢底と地面の間はフラワースタンドやレンガなどを使って空間が空くように置いて風通しを良くします。
その後は日当たりと風通しの良い場所に置いて様子を見てください。再び土が乾燥するまで水やりは控えてください。
植物が乾燥しすぎて萎れてしまった!
すぐに水やりをしてあげましょう、ただし、真夏の高温時は慌てず気温が下がる夕暮れ以降になるまで待ってから水やりをしてください。真冬も夜間時は避けて気温が上がる朝以降になるまで待ってから水やりをしてください。
鉢植えにキノコが発生してしまった!
キノコが生えるのは土中が過湿状態になっている証拠です。特に梅雨時などの湿気が高い時期や風通しが悪い環境の鉢植えにキノコが生えることがあります。よくあることですので慌てる必要はありませんが、キノコは傘が開くと周りに胞子をまき散らし、その胞子が新たなキノコ発生の原因になりますので、見つけたらすぐ取り除くことがおすすめです。
そして風通しを良くし、水やりは土が乾燥するのを待ってから行うことを心がけましょう。
なおキノコは食さないで下さい。品種が分からないキノコはもちろん、分かっているつもりでも似た別のキノコの可能性もあるからです。
鉢植えの土に発生した黄色いものは何?
水のやりすぎで土中が過湿状態になり、かつ日光不足の状態が続くと、土の表面や表面近くに黄色いものが発生することがあります。
カビの一種で、とても気になりますがこれも時々起こることで、自然の世界の中では細菌も共に共存しています。とはいえ鉢土の環境をよくするために、カビが生えた辺りの土を取り除き、鉢植えを直射日光の当たる場所に置いて様子を見てください。大抵は直射日光に当てると消滅します。
それでも消えずどうしても気になる場合は、土の植え替えをすることで解決できます。
土の植え替え方法は、鉢土に植わった植物を優しく土から抜き取り、根についた土も優しく丁寧にほぐすように落としていきます。根の腐っている部分や変色している部分があればハサミで切り取って下さい。その後、根もとを乾燥させるために風通しの良い場所に暫く置いて下さい。
根もとが乾燥したら、新しい土に植えこみ、基本の水やり方法を行いながら様子を見てください。