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All for the Quality Story

デジタルが進化しても、 デジタルが進化しても、 品質保証の要は「人」

香田 将明

サントリープロダクツ株式会社

天然水北アルプス信濃の森工場

品質保証部

妥協が許されない、天然水の品質保証

サントリーの「お客様品質」と「飲用時品質」

私は入社以来、一貫して天然水の品質保証を担当しています。天然水は、自然に磨かれた清らかな水をそのままにお客様へお届けする製品です。だからこそ、一切の妥協が許されず、品質そのものが問われます。わずかな違和感、設備の変化、香り移り──すべてが品質に直結する。そういう製品です。殺菌や無菌管理の精度はもちろんですが、大切なのは“わずかな変化を見逃さない目”を持つこと。その感覚は、一朝一夕で身につくものではありません。私は毎日、「これは本当にいつもと同じか?」と自分に問いかけ続けています。

私は鳥取の「奥大山ブナの森工場」で品質保証のキャリアをスタートし、中味工程では殺菌や無菌管理、充填工程ではボトルやキャップの滅菌など、天然水の品質保証に関わる業務を幅広く経験してきました。キャリア初期に特に印象的だったのが、「培地充填テスト※1」です。あえて菌が繁殖しやすい栄養豊富な液を用いて、無菌設備が正しく機能しているかを検証するこの工程は、わずかな異物や菌の混入も許さないという緊張感があります。そのような状況で、お客様の安全安心につながるひとつひとつの工程に対し、丁寧・確実に向き合う姿勢を学びました。
※1:製品の品質保証で重要なPETボトルに中味を充填しキャッピングをする工程における、無菌化技術が正しく機能しているかの検証

私が品質保証の本質を改めて考えるきっかけとなったのは、2015年の「ライン増設プロジェクト」でした。これは、フレーバータイプの天然水と通常の天然水を同じ生産ラインで製造するという試み。最大の課題は、他品目の香りが通常の天然水に移らないようにする“着香防止設計”でした。

研究所と協働で試行錯誤を行いながら、パッキンの材質や洗浄方法を一つひとつ検証していきました。その過程で、蒸気と水を組み合わせることにより、脱臭させる技術を構築させることに成功しました。この取り組みは、まさに研究所と現場が一体となった総力戦。幾度となく検証を重ね、ようやく設計通りに設備が稼働したあの瞬間の達成感は、今でも忘れられません。

天然水北アルプス信濃の森工場に異動してからは3年目になりますが、今でも “わずかな変化を見逃さない目”を大切にしています。特に機械のメンテナンス後など少しでも設備に変化があった際は、確認を怠らず、安心して製造へ移行できるよう慎重に対応しています。

また天然水の安定した品質を維持するには、水源自体の健全性も不可欠です。サントリーでは「天然水の森」プロジェクトを通じて地下水の涵養活動に取り組んでおり、井戸から揚水する以上の水量を森に蓄えることを目指しています。ラベルに記載されている成分が実際の商品とずれていないか、その確認も私たち品質保証の大事な仕事のひとつです。

デジタル化が進んでも、人が支える品質保証

2021年に新設された信濃の森工場は、サントリー初のスマートファクトリーです。設備も最新、品質保証もデジタルの活用が進んでおり、私自身、こうした環境で品質保証を担うことに、大きな手応えとやりがいを感じています。

たとえば、リアルタイムで出荷可否に関する必要な情報を自動収集・可視化できるシステムや、製造した日時や場所を追跡できる一本トレースなど、デジタルの力で必要な数値の「見える化」が飛躍的に進みました。これにより、人為的なミスや確認漏れは大幅に減りましたし、承認作業も大幅にスピードアップしました。

そして、だからこそ私たち人間が担うべき役割が明確になったとも感じています。システムは数値を教えてくれますが、「なぜこの数値になったのか」「いつもと何が違うのか」を読み解くのは、やはり現場の経験が必要です。

データが示す“意味”を捉える力、数値だけでは説明できない“違和感”に気づける力──そうした感覚こそが、スマートファクトリーの品質保証を支えています。

「おいしい」は人が判断する。
感覚を大切にし、人が育つ現場に

信濃の森工場では、数値データに加えて「官能検査」も重視しています。これは製品の「味・香り」を人の五感で判定する検査で、私も“優秀官能員”として毎年社内試験を受け、継続的に認定されています。

この検査には、非常に高い感度が求められ、たとえば、25メートルプールに1滴垂らしたレベルの香気成分を嗅ぎ分けるような精度が必要です。そのためには体調管理も大切ですので、花粉症の時期は薬の量に気を配ったり、前日の食事を調整したりしながら、感覚を研ぎ澄ませています。

経験や感覚に頼らず、作業プロセスを言葉やノウハウとして共有できるようにすることも、今後の品質保証に欠かせない取り組みです。環境に配慮した製造の推進、そして未来の品質を担う人材育成のために、品質保証の技術と知見を、次の世代にしっかりと引き継いでいきたいですね。

「All for the Quality」──それは、人が、お客様の“おいしい”を想い、形にしていく姿勢そのもの。スマートファクトリーの時代でも、主役は私たち自身だと思っています。

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