サントリー ワイン スクエア

カベルネ・ソーヴィニヨン 比率が初めて85%を超えた年

シャトー ラグランジュの桜井楽生です。

今年もアッサンブラージュが終了しました。※

伝統的なボルドーのシャトーでは、この時期に「アッサンブラージュ(Assemblage)」と呼ばれるブレンド作業を行います。私たちは1月からテイスティングとブレンドテストを繰り返し、2022年の「シャトー ラグランジュ」、セカンドワイン「レ フィエフ ド ラグランジュ」、そして白ワインの「レ ザルム ド ラグランジュ」のブレンドが決まりました。

まずは、2022年の気候を振り返ってみましょう。

穏やかで乾燥した冬、温かく湿った春。芽吹きの時期は平年並みでしたが、5月以降は気温上昇によって成長が急速に進みました。開花は例年よりも早く、非常に暑く乾燥した夏が続きました。7、8月は、気温が30℃を超えた日が31日もあり、雨はわずか35mm。2022年は間違いなく、我々が過去経験したことがない「暑く、乾燥した年」でした。収穫中も雨はほとんど降らなかったため、果実の完熟をしっかり待って収穫することができました。

夏の暑さと乾燥によって、カベルネ・ソーヴィニヨンの粒は記録的に小さくなり、ワインに素晴らしい凝縮感をもたらしました。

シャトー ラグランジュのブレンド比率を経年で見ると、カベルネ・ソーヴィニヨンが年々高まってきているのをご存じでしょうか。今からちょうど40年前、サントリーがシャトー ラグランジュの経営権を取得した1983年、今ある118haのぶどう畑の多くは耕作放棄されていました。使われていたのは半分以下の56ha。しかも、そこには栽培しやすいメルロが多く植えられていました。そのため、過去のシャトー ラグランジュはメルロの比率が今よりも高かったのです。

サントリーは1985‐86年の2年間で約60haもの畑にぶどうを植えたのですが、その時に私たちのテロワールに最適だと信じ、高割合で植えたのがカベルネ・ソーヴィニヨンでした。樹が若いうちは果実の品質が劣るため、そのほとんどはレ フィエフ ド ラグランジュに使用されていました。しかし、樹齢上昇に伴って高品質のぶどうがとれるようになり、その結果シャトー ラグランジュのカベルネ・ソーヴィニヨン比率は長い時間をかけて徐々に高まってきたのです。

2022年のカベルネ・ソーヴィニヨン比率は過去最高の86%となりました。40年前の人々の想いと努力が、さらなる高品質のワイン実現に結びついています。

気候変動により、ぶどう栽培の適地や、最適品種が変わるといった心配の声も聞かれますが、私たちのテロワールとカベルネ・ソーヴィニヨンの相性に今のところ不安はありません。樹齢の上昇に伴って品質は益々高まり、2022年のような過去にないほど暑く乾燥した年であっても、適度な酸を保った、凝縮感とフレッシュ感を併せ持つすばらしいワインができました。シャトー ラグランジュにとって2022年は、間違いなく過去40年の中で5本の指に入る偉大なビンテージの一つと言えるでしょう。

まもなく4月になると、2022年産ワインをプリムール販売するための試飲が始まります。皆様に素晴らしい2022年のワインを披露できるその時を、心待ちにしております。

シャトー ラグランジュのFacebook、Instagramでも、日々情報発信をしていますので、ぜひご覧ください。

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写真1:アッサンブラージュの様子
写真1:アッサンブラージュの様子
写真2:セラーマスターのステファン・ルブシェール
写真2:セラーマスターのステファン・ルブシェール
写真3:社長のマティウ・ボルド(左)とコンサルタントのエリック・ボワスノ(右)
写真3:社長のマティウ・ボルド(左)とコンサルタントのエリック・ボワスノ(右)

※アッサンブラージュ(Assemblage):「組み立て」や「集合」を意味するフランス語で、ワイン業界では「別々に醸造された原酒をブレンドして、一つのワインをつくり上げる作業」のことを指します。