ナッジ理論で“頑張らなくても続く”健康行動を
実現する方法
「従業員に運動などの健康行動を促しても、なかなか始めてもらえない、継続してもらえない」そんな悩みを抱える人事担当者は多いのではないでしょうか。健康診断の数値を見て「もっと運動しなくては」と考える従業員がいても、忙しさなどを理由に結局何もしないケースは多いはずです。
そこで近年注目されているのが、行動経済学に基づく「ナッジ理論」です。強制や罰則によらず“そっと後押し”するアプローチは、従業員が無理なく健康行動を始め、さらに続けたくなる仕組みづくりに最適です。この記事では、ナッジ理論の基本から企業での実践例、「サントリープラス」を活用した具体的な施策までを分かりやすく解説します。
目次
なぜ従業員は健康行動を継続できないのか
健康経営の取り組みを進める中で、「従業員が参加しても、結局長く続かない」という声はよく聞かれます。毎日歩いたり筋トレしたり、食事の内容を変えたりすることに高いハードルを感じる人は多いものです。従業員が健康行動を続けられない要因について、詳しく見ていきましょう。
健康行動が続かない心理的要因
健康行動が続かない要因の一つに、結果がすぐに出ないという点があります。体重や血液検査の数値などは、数日で変わるものではなく、長い目で見ていく必要があります。そのため「今日やらなくても変わらない」という気持ちが先立ち、行動の優先度が下がってしまいます。
また、心理的なハードルも存在します。忙しい業務の合間に運動の時間を確保することは容易ではありません。「面倒だ」「今日は疲れているから」といった感情的なバリアが積み重なり、健康行動は後回しになりがちです。こうした心理的ハードルは他にもあり、「ダイエットに失敗した」「ジムに数回行って辞めてしまった」といった記憶が、「どうせまた続かない」という気持ちにつながるケースもあるでしょう。
健康行動が続かない環境的要因
健康行動が続かない要因は心理的要因だけでなく、環境的要因も考えられます。ウォーキングやランニングは天候に左右されやすく、オフィスや自宅近くに運動施設がない場合はさらにハードルが高くなります。
職場の風土も、健康行動が続かない要因の一つとなります。社内に健康行動を続ける人が少なければ、「自分だけ頑張っても浮いてしまう」と感じてしまうでしょう。逆に同僚や上司が積極的に取り組んでいる環境では、自然とモチベーションが高まります。
つまるところ、健康行動は「自分事(ごと)化」できないと続かないとも言えます。「やらされ感」があると、さまざまなことが言い訳となり、続かなくなってしまうのです。主体的・前向きに取り組めるようになることが継続の一番のポイントだと言えるでしょう。
ナッジ理論とは
「やらされ感」に背中を押されるのではなく、自ら進んで健康行動に取り組めるようになるアプローチとして「ナッジ理論」があります。どのような理論なのか、詳しく見ていきましょう。
ナッジ理論の基本と特徴
ナッジ理論は、2008年にシカゴ大学のリチャード・セイラー教授とハーバード大学のキャス・サンスティーン教授によって提唱されました。ナッジ(nudge)とは「そっと後押しする」という意味で、人々が自ら望ましい選択を取りやすくなるように環境を設計する考え方です。
ナッジ理論のポイントは「強制や罰則によらない」「選択の自由を奪わない」という点です。例えば、社員食堂でサラダを手に取りやすい場所に置くのはナッジですが、「必ず野菜を取らなければならない」と義務化するのはナッジではありません。強制されずに、自分で選んでいる感覚を持ちながらも、意図した行動に導かれることがナッジだと言えます。
このアプローチは公共政策から企業の健康経営まで幅広く応用されており、日本でも特定健診の受診促進やエコ活動など、さまざまな分野で成果を上げています。
NUDGESフレームワークとは
セイラー教授らは、ナッジを設計するための6つの原則を「NUDGESフレームワーク」として整理しました。
iNcentives(インセンティブ)
対象者を動機付けする利益を与える。ただし、過度のインセンティブで行動を強制することはしない。
Understand mappings(マッピングの理解)
選択肢ごとのメリットとデメリットを分かりやすく提示し、意思決定を助ける。
Defaults(デフォルト)
あらかじめ最も推奨される選択肢を初期設定にして、自然な選択を促す。
Give feedback(フィードバックの提供)
選んだ行動に対する結果や評価を正確に伝えることで、改善や継続を促す。
Expect error(エラーの予期)
人はミスをするものと想定し、あらかじめ失敗を防ぐ仕組みを設計しておく。
Structure complex choices(複雑な選択の体系化)
選択肢が多く複雑な場合は整理し、比較検討しやすくすることで、適切な選択を促す。
EASTフレームワークの概要
ナッジ理論をより実践しやすくする手法として、イギリスの政府組織「The Behavioural Insights Team(BIT)」が開発した「EASTフレームワーク」があります。
Easy(簡単)
選択や行動を妨げる要素を除いて、誰でもすぐに始められる仕組みにする。例えば、ワンクリック申込やデフォルト設定の工夫(望ましい選択肢を初期設定にしておく)などがある。
Attractive(魅力的)
魅力的な選択肢だと感じるようなインセンティブやデザインを提示する。例えば、ポイント付与や遊び心のあるUIは、行動を継続する動機づけになる。
Social(社会的)
人の社会性に働きかけ、人間が他の人の行動に影響されやすい特徴を利用する。例えば、「8割の従業員が参加」といったメッセージは、行動を後押しする。
Timely(適時)
適切なタイミングで働きかける。例えば、昼休み前に水分補給をリマインドしたり、誕生日前に健康診断の受診を促したりする。
このように、ナッジ理論は「人は合理的に行動するとは限らない」という前提に立ち、実際の行動パターンに合わせた設計で成果を生み出していきます。
企業で実践できるナッジ理論を活用した健康施策
ナッジ理論を理解したら、次は実践です。ここでは企業が導入しやすい具体的な施策例を紹介します。
環境設定によるナッジ
職場環境そのものを工夫することで、従業員は自然に健康的な選択をしやすくなります。
・社員食堂で、健康的な料理を目立つ場所に置く
・階段にデザインを施して「こちらから行ってみよう」と思わせる
・オフィスの動線上にウォーターサーバーを置き、水分補給をしやすくする
・社内に健康行動を促すポスターを掲示する
・社内チャットで軽いリマインド通知を送る
情報提示の工夫によるナッジ
言葉や表現を変えるだけで、受け手の行動は変わります。
・健康診断の案内をする際に、「受診しないと不利益があります」などのマイナスの言葉より、「皆さんが健康診断を受診することで、会社全体の健康が守られています。ありがとうございます。」のようなプラスの言葉を添える
・社内報で健康行動を継続した成功事例を紹介し、ロールモデルを提示する
インセンティブによるナッジ
人は何らかのインセンティブに動かされやすい存在です。ナッジでは、過度な経済的インセンティブよりも「これをするとメリットがある」「あれをやるとチームや組織へ貢献でき、仕事にも良い影響がある」といったメリットやベネフィットを提示します。また、日々の即時的なフィードバックも継続効果を高めます。
・健康アプリで目標達成者にバッジや称号を付与する
・チーム対抗のウォーキングイベントでモチベーションを高める
・健康行動に対する即時フィードバックで達成感を高める
社会的影響を活用したナッジ
社内で健康行動を続ける人を紹介するのも効果的です。特に、同じ職場で働く仲間の実践例は共感を呼び、「自分もやってみよう」と思うきっかけになります。
・健康行動を楽しみながら続けている従業員を社内報で紹介する
・管理職が率先して取り組んでいる姿を見せる
・部署別の参加率を可視化し、競争意識を刺激する
ナッジ理論を手軽に導入できるアプリ「サントリープラス」とは
ナッジ理論を実践する際は、環境設定や情報掲示、従業員へのこまめな声掛けなどに手間が掛かると感じることもあるでしょう。そんな時は、健康施策の実施を支援してくれるサービスやツールを使うという選択肢もおすすめです。
サントリーでは、健康施策を実施するための便利なアプリ「サントリープラス」を提供しています。
サントリープラスは「小さな『できた』が楽しく続く」を体験コンセプトに据えた、従業員の健康行動を促進する健康経営サービスです。従業員が専用のスマホアプリを利用して、「簡単に・楽しく・自然に」健康行動を取り入れられるように設計されています。
EASTフレームワークとサントリープラス
サントリープラスのサービスを、前述のEASTフレームワークにのっとって見ていきましょう。
Easy(簡単):行動の手間をなくし、わかりやすくする
サントリープラスでは「よく噛んで食べる」「仕事の合間に水を飲む」など簡単な健康タスクをアプリ上で確認し、従業員一人ひとりが自分に合った健康行動を容易に実践できます。
Attractive(魅力的):インセンティブや見せ方で関心を引く
サントリープラスでは健康タスクを実践することで、実施したことを褒める機能を搭載しています。従業員が健康タスクを実践する度に褒めることで、健康行動に対してポジティブな印象を醸成することが可能です。
例えば毎日5回健康タスクをクリアすると、5回×30日=1カ月で約150回褒められます。アクションを起こす度に褒められることで、健康タスク実施へのモチベーションがアップします。また、健康タスクの実施でポイントが溜まり、飲料と交換が可能です。
「健康クエスト」という機能では、自販機にアプリをかざすことですごろくを体験できるようになっています。すごろくの体験をきっかけに自販機まで立ち上がり歩くことにより、ゲーム感覚で従業員の座りっぱなしを解消できます。
Social(社会的):周囲の行動に影響されやすい特徴を活用する
従業員の1か月後のアプリ継続率は89%と、多くの方が無理なく活用できていることが分かります。また、アプリ導入3カ月で、従業員の2人に1人がアプリをダウンロードしています。
Timely(適時):適切なタイミングで働きかける
日常的に見ているスマートフォンから、健康行動を思い出せる仕組みです。また、職場の自販機へのPOP貼付により、自販機がリアルでのリマインダー機能を果たします。デジタルとリアル双方からのリマインドで、従業員に健康行動を思い出すきっかけを与えることができます。
このようにサントリープラスではシンプルでハードルの低い健康行動タスクが用意されており、達成するとアプリ上で褒めのアクションやランクアップが行われます。週3日以上実践するとポイントやクーポンが当たり、職場の自販機で飲料と交換可能です。ほかにも、ウォーキングイベント「歩こうフェス」や各種セミナー、健康情報の発信などのサービスもあります。
利用データは個人情報を扱わずに可視化され、人事担当者は施策の効果を確認しながらPDCAを回すことができます。また、導入から効果的な活用までを伴走するサポートデスクもあり、初めての導入でも安心です。
サントリープラスを活用した、簡単に始められる健康施策事例
サントリープラスでは、日常の中にある簡単な健康行動を実施することで、健康行動を習慣化するための土台をつくります。また、健康習慣に関するセミナーや「歩こうフェス」の開催など、健康経営のための施策導入が手軽に行えます。
ここでは、サントリープラスを活用して従業員の健康行動を促進させた事例をご紹介します。
ブラザー工業株式会社
ブラザー工業株式会社では今の時代にマッチした新しい健康文化を作るために健康経営に取り組む中、2021年7月にサントリープラスの導入を開始いただきました。
サントリープラス導入の背景
ブラザー工業株式会社では2021年7月、サントリープラスを導入。従業員の健康行動をどう促進していくか、思案を重ねていたところサントリープラスを知り、「従業員が本当に楽しく続けられるアプリ」だと感じられたことがきっかけでした。
約60種類の健康タスクから自由に選択可能な上、自社の健康タスクを追加できるカスタマイズ性にもメリットを感じたといいます。すでに行っている他の活動ともうまく連動でき、例えば「Brother体操(グループ従業員向けのオリジナル体操)をやりましょう」などのタスクを追加しているとのことです。
サントリープラス導入の結果・効果
サントリープラス導入後、従業員からは「どれもハードルが低いからやりやすい」「ゲーム感覚で楽しくやれそう」と好意的な声が上がっているそうです。また、アプリ内の抽選くじがモチベーションの維持に貢献するなど、健康行動の継続が自然に促される仕組みが好評です。
サントリープラスでは簡単な健康タスクだけではなく、さまざまな健康施策を提供しています。
サントリープラスの導入は0円のため、健康行動が続く施策を簡単に始められます。従業員の健康行動が続かないと悩む人事担当者必見です。
まとめ
健康行動の継続には、従業員の心理や行動特性に寄り添ったアプローチが欠かせません。ナッジ理論を活用すれば「無理なく・楽しく・自然に」健康行動を促すことが可能です。
さらに、サントリープラスのようなサービスを導入することで、健康施策が「続けやすい仕組み」に変わり、参加率・継続率の向上や社内の健康意識醸成につながっていきます。
まずは小さな一歩から。“つい参加したくなる”健康経営を始めてみませんか?
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