DX TOP INTERVIEW
リアルアセット×デジタル&AIで、
私たちの商品やサービスをさらに磨き上げ、
お客様の生活をもっともっと豊かにする。
PROFILE

宮脇 潤治
サントリーホールディングス株式会社
常務執行役員・デジタル&AI本部長
CAREER
1990年サントリー株式会社(現:サントリーホールディングス株式会社)入社。国内酒類営業、人事部門、グローバル人事を経て、2015年よりシンガポールにて東南アジア飲料事業を統括。2021年よりヒューマンリソース本部長として人財戦略・組織変革を推進。2026年よりデジタル&AI本部長として、グローバル視点でのデジタル戦略・AI活用・事業変革を牽引している。
CHAPTER.01
「One Digital for the Future」
─ One Teamで事業と共に
未来を描く組織へ
2026年4月、サントリーはデジタル部門の名称を「デジタル&AI本部(以下本部)」に改め、デジタルマーケティング部門と情報システム部門を統合しました。その際に掲げたスローガンが「One Digital for the Future」です。このスローガンには、「事業やグループ全体の未来のために、本部に集う400名がOne Teamとして価値を生み出していこう」という思いを込めています。
AIの進化によって、事業に求められるスピードや変革のレベルは大きく変わっています。そうした中で、より質の高い価値を提供していくためには、部門ごとに分かれて動くのではなく、一つのチームとして事業に向き合う必要がありました。そこで私たちは、組織を縦割りから横断型へと組み替え、二つの部門を統合したのです。

また、本部では、グローバルを前提とした組織づくりを進めています。サントリーグループの売上のおよそ半分は海外から生まれており、最先端のテクノロジーやAI活用においても、世界の動きを常に捉えていく必要があります。私自身2026年1月にダボス会議に参加し、世界のテックジャイアントのセッションに参加する中で、日本のデジタル化が周回遅れであることを痛感しました。だからこそ、私たちがグローバルな視座を持って仕事をすること、そしてサントリーグループで働く人々の毎日にAIを根付かせることが喫緊の課題であると思っています。
目指すのは、単なるシステム導入や業務効率化ではありません。事業・現場・顧客を深く理解し、デジタル&AIの専門性を掛け合わせながら、サントリーの強みを進化させ、商品やサービスというリアルなアセットを磨き上げることです。その実現に向けて、三つのテーマに取り組んでいます。

一つ目は、事業や現場と一緒になって変革プランを描き実行する「共創パートナー」としての取り組み。二つ目は、グローバルに新しい技術や知見を探索し、継続的に学習すること。三つ目は、事業を支える基盤を進化させ、生産性やサービス品質を高めていくことです。
これらの三つを軸に、サントリーの強みを進化させながら、お客様に新たな価値を届け続けることを目指します。
CHAPTER.02
AIの「民主化」と、普遍の現場主義
私たちはAI活用を2つの階層で捉えています。まずはAI活用の「民主化」、つまりすべての社員が日常業務でAIを当たり前のように使いこなせる状態にしていくことです。これを「第1階層」と位置づけ、ホワイトリスト化した汎用AIを社内データと連携させて、全社員が安全に使えるよう整備を進めています。

そしてこの民主化を土台として、その先に目指すのが、「第2階層」と位置付けている「各バリューチェーンや機能の高度化」です。製造・開発・マーケティング・営業といったそれぞれの領域で、AIを活用して仕事の質そのものを引き上げていく。それが、民主化の先に私たちが目指す次のステージです。
たとえば商品開発のプロセスでは、世界中のSNS投稿データを取り込み、性別・年代・家族構成などの属性別に約1000体の「生活者AI」を生成して、新商品のアイデアに対する反応をシミュレーションする取り組みを始めています。これにより従来は実際の生活者を集めてインタビューを行っていた工程が、大幅に効率化・高度化されます。こうしたAI活用により、ほぼすべてのバリューチェーンにおいて、業務の効率化だけでなく、これまで踏み込めなかった領域にまで、価値創出につながる可能性が広がっていくと考えています。

CHAPTER.03
リアルな現場と人間の感性が、
AI時代の価値をつくる
AIをどこでどのように活用するか、それを考える土台になるのが、実際の現場で得られるリアルな感覚です。私たちが言う「現場」には、二つの意味があります。一つは、事業部門や営業・生産の担当者など社内の最前線の人々が働いている「現場」。そこに出向いてFace to Faceで話すことで、机上では分からない社員のリアルなニーズや課題が見えてきます。もう一つは、スーパーやコンビニ、飲食店といった最終生活者であるお客さまが購入・消費される「現場」です。どんな属性のお客さまが、どんな表情で私たちの商品を手に取っているのか。その光景を自分の目で見て肌で感じる。データだけでは見えてこない気づきが、現場にはあります。その生きた感覚こそが、新しい発想の源になるのです。

現場で五感を使って得た気づきが頭の中にあるからこそ、「このシーンにこの技術を組み合わせたら、もっと価値を高められるのではないか」という発想が生まれます。現場で感じたこととテクノロジーを掛け合わせ、考えに考え抜いて、はじめて新しい価値が生まれる。それが、私たちの目指すデジタル活用の姿です。
サントリーが変わらず追い求めているのは、私たちの商品やサービスというリアルなアセットによってお客さまの生活に潤いや豊かさをもたらすことです。そのために、リアルなアセットと体験・データ・AI・リアルな現場——それらを掛け合わせながら、新しい価値を自らつくっていける。それが、サントリーのデジタルの面白さだと思っています。
CHAPTER.04
お客様のためにテクノロジーで価値創造の可能性を広げていく
そしてこうした変革を実際に動かすのは、やはり『人』です。デジタル部門で活躍するメンバーに共通しているのは、技術スキルの高さよりも、『お客さまの生活をもっと豊かにしたい』『新しい価値を生み出したい』という思いを持ち、自ら動けることです。そしてそれは、営業やマーケティング、製造など、サントリー全体に共通する求める人財像でもあります。
実際に活躍しているメンバー達は「オモロイこと」をどんどんやっています。あるメンバーは単身で海外の現場に赴き、現地の宣伝部門の担当者と直接議論を重ねながらAIを活用した広告ツールを開発し、数億円のコスト削減という成果を生み出しました。現場で五感を使い考え抜いて新しいことに挑戦する、こうした「やってみなはれ」をどんどん応援します。失敗しても構いません。挑戦するから失敗するわけで、失敗も含めていろんなことをやっている人のほうが、学習の総量も成長も大きい。

サントリーには長年かけて築いてきたリアルのアセットがあります。そして創業以来、「Growing for Good」————人として、企業として、そして社会のために成長し続けるというDNAが、私たちの根底に流れています。お客さまの生活に潤いと豊かさをもたらし、「人間の生命(いのち)の輝き」を、デジタルとAIという手段を使って、より広く、深く、速く実現していく。その変革の担い手として、ぜひ一緒にオモロイことをやっていきましょう。