サントリーウイスキー蒸溜所便り

閉じる

白州蒸溜所便り

「『白州の森』で働く仲間たち」!第三回は、フロアモルティングを担当する田中さんを紹介します

2025年11月26日

こんにちは。森川ユタカです。
白州蒸溜所で働く人たちのインタビューをリレー形式で繋いでいく、「『白州の森』で働く仲間たち」シリーズ。
第三回目は、白州蒸溜所の原料技術グループでフロアモルティングを担当する田中さんにインタビューしました。

2510_hd_001_re.jpg

田中さんと麦芽攪拌用スコップ(転攪機)の展示品


2024年から、白州蒸溜所ではより品質の高い"原酒のつくりこみ"を目指し、フロアモルティングを導入しました。フロアモルティングは、大麦をウイスキーの製造に必要な「麦芽」へと変化させる伝統的な製麦方法一つの方式です。まずは、田中さんにフロアモルティングの仕事について聞きました。

森川「フロアモルティングの仕事について、教えてください。」
田中「モルティングは、原料の大麦を発芽させ麦芽に変える作業です。フロアモルティングでは、大麦を水に浸した後、水を含んだ大麦を発芽室のフロアに広げ、空気に触れさせることで発芽を促します。均一に発芽するよう、時々転攪機で大麦を攪拌(かくはん)しています。数日かけてウイスキーづくりに適した状態で発芽を止めるため、乾燥させ、根を取り除くことで麦芽が出来上がります。」

2510_hd_002.jpg

発芽室で大麦を攪拌する様子

森川「田中さんがフロアモルティングの仕事で大切にしていることは何ですか?」
田中「五感を大切にしています。例えば、麦芽の色や艶を確認する際は、視覚を最大限に使います。大麦を広げた発芽室では嗅覚を使い、わずかな香りの変化を感じ取っています。麦芽の状態確認のために、かじって味を確かめることもありますよ。」
森川「それは、どんな味がするのか気になります(笑)。ちなみに、触覚を使うのはどのような場面ですか?」
田中「攪拌するときに足から伝わる感覚ですね。綺麗にならせているか、感覚を研ぎ澄ませて確認しています。攪拌する道具はかなり重く、フロアモルティングの仕事の中で最も体力を使う作業です。ですが、つくり手が麦芽と直接向き合うフロアモルティングにより、白州らしい品質の高い"原酒のつくりこみ"を目指せると考えています。」
森川「この麦芽から出来上がるウイスキーが楽しみですね。」

2510_hd_003.jpg

麦芽と仕込み水の混ぜ合わせを確認中

田中さんは、入社23年目のベテランです。これまでに携わってきた仕事についても聞きました。

森川「入社してからこれまで、どのような仕事をしてきたのでしょうか?」
田中「入社当初は梓の森工場(現・サントリー 栃木 梓の森工場)に配属され、さまざまな酒類の製造に携わりました。その後、2016年に白州蒸溜所に異動となり、熟成を担当する貯蔵・ブレンドグループに配属されました。」
森川「他の工場でも経験を積まれていたのですね!」
田中「はい。その経験はウイスキーづくりにも活きています。他のお酒の製造方法や特長をウイスキーづくりに置き換えて考えることで、工程ごとの注意点や対応の仕方を、より具体的に予測できるようになりました。」
森川「環境が変わっても経験が活きているのですね。貯蔵・ブレンドグループは、『白州の森』の仲間たちから原酒を受け取る側でしたが、現在は原料技術グループとして麦芽を送り出す側となっていますよね。原料技術グループに異動して、どのような変化がありましたか?」
田中「まず感じたのは『つながり』です。ものづくりの流れの中で、自分の仕事がどこにつながっているのか、どんな意味があるのかを改めて考えるきっかけになりました。私たちの部署は、お客様と直接関わることはありません。でも、前後の工程を担当する仲間たちを『お客様』と意識しながら仕事に取り組んでいます。原料やお酒を大切に扱い、『何とかしてくれる』ではなく、次の工程の担当者に失礼がないように受け渡すことを心がけています。」
森川「その考えが、丁寧な仕事に繋がるのですね。」
田中「はい。効率だけではなくて、思いやりの気持ちを乗せて繋げていく。それこそ、人の手によるものづくりの良さだと思っています。この想いは、後輩にも伝えていきたいですね。」

2510_hd_004.jpg

「白州の森」の鮮やかな緑

田中さんと「白州の森」を歩きながら、白州蒸溜所の魅力を聞きました。

田中「やはり一番の魅力は四季の移り変わりですね。貯蔵庫の空気や香りは、夏と冬で全く違います。白州蒸溜所には貯蔵庫が18棟ありますが、標高の低い場所ではみぞれが降っていても、登っていくと徐々に雪へと変わるようなこともあります。白州蒸溜所で働いていると、天気にも敏感になり、最近は雲の動きも気になって観察しています。」
森川「フロアモルティングの発芽室には、あえて窓を取り入れたと聞きました。天気の確認もしやすそうですね。」
田中「そうなんです。実は、学生時代に窓がない部屋で作業をして、心が閉ざされたような感覚になった記憶があります(笑)。窓があることで、森の中でものづくりをしていることを実感し、リフレッシュすることができますね。」

2510_hd_005.jpg

田中さんのお気に入りはシングルモルトウイスキー「白州」の水割り

フロアモルティングの仕事と、「白州の森」への想いを語ってくれた田中さん。そんな田中さんのお気に入りは、シングルモルトウイスキー「白州」の水割りです。

森川「『白州』の水割りをゆっくり飲むのが日々の愉しみということですが、おすすめのマリアージュがあれば、ぜひ教えてください!」
田中「あまり料理はしないのですが、簡単に作れる『焼きナス』や『しめ鯖のマリネ』がおすすめです。」

2510_hd_006_re.jpg

「焼きナス」(左)と「しめ鯖のマリネ」(右)

森川「どちらもとってもおいしそうですね。こだわりのポイントはありますか?」
田中「『しめ鯖のマリネ』には、ぜひレモンを合わせてみてください。『白州』の爽やかな風味とよく合います。『焼きナス』は、ポン酢や醤油など、シンプルな味付けがおすすめです。あっさりしているので『白州』本来の味わいを邪魔せず、じっくりと愉しめますよ。」
森川「さっそく試してみたくなりました!」

最後に、このシリーズのバトンを渡したい『白州の森』の仲間を紹介してもらいました。

田中「緑地管理をしている事務グループはどうでしょうか?『白州の森』に植えられている様々な植物の植栽を担当していますので、『白州の森』にまつわる面白い話を聞くことができると思います。」

ということで、次回は、事務グループの名取さんにインタビューします。お楽しみに!

【お知らせ】ご来場には事前予約が必要です。「白州蒸溜所ものづくりツアー」と「Story of the HAKUSHU」は抽選制です。詳細につきましては、白州蒸溜所のサイトをご確認いただき、ご予約のうえご来場ください。
★白州蒸溜所のサイトはこちら




★アンケートはこちらから

最後までお答えいただいた方には、オリジナル壁紙をプレゼント!

白州蒸溜所便り 最新記事