SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2026年9月 4日

#1032 下川 甲嗣 『1対1で絶対に勝つ』

ほぼ毎試合、フランカーに名を連ねる下川選手。そのフランカーの魅力と自分の目指すラグビーを、いろいろな角度から語ってくれました。(取材日:2026年7月下旬)

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◆サポートプレーの質

――昨シーズンは21試合中19試合に出場、自分として出来はどうでしたか?

チームが優勝できなかったので、最高の結果ではありませんでした。個人としては良かった部分もあれば、まだ足りないと思う部分の両方がありました。

――成長の手応えは?

成長はしていると思います。

――良かったと思えた部分はどこですか?

僕自身の強みやプレースタイルのところ、ワークレートの部分とブレイクダウンでの働き、ボールキャリーもそうですけれど、特にサポートプレーのところの質にこだわってやっているので、100点満点ではありませんが、その質や、チームとしてのアタックでテンポを出すためのスキルやプレーは、良かったんじゃないかなと思っています。

――質にこだわっているということですが、量に関してはどうですか?

そこは良いんじゃないかなと思っています。

――まだ足りていないと感じた部分は?

ずっと僕の課題であり、追い求めていかなければいけないところなんですけれど、フランカーというポジションである以上、求められるのは特にディフェンスでのドミネート率の部分です。チームに勢いをつくる、そしてボールをどこかで取り返すきっかけを作ることが出来るのが、フランカーというポジションの仕事の大切なひとつだと思います。その点で、もっと接点でドミネートする率を、今までよりも上げたいと思っています。

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◆軸を持っておく

――前回のインタビューでは一貫性が足りていないと言っていましたが、一貫性ついてはどうですか?

一貫性を手に入れたかと言われると、手に入れたと言い切れない部分はありますが、2024-25シーズンよりは成長していると思います。

――ホッキングス選手、竹内選手も一貫性が大切だし、まだ足りていないと言っていました

そこは僕も変わっていません。プレッシャーがかかる試合、2025-26シーズンで言えば上位3チームとやる試合は、他の試合よりもよりプレッシャーがかかりますし、そういう試合での一貫性という部分は、個人的にも足りないと感じました。チームとしても、ここは勝ち切りたいという試合で、自分たちのやりたいラグビーをゲームの中で失ってしまって、結果として立て直せずに80分が過ぎて負けてしまったということがありました。

――個人として一貫性を持つためには何が大切だと思いますか?

準備の段階で、試合でのプレッシャーを想定した練習をチームでつくることもそうですし、個人としても試合をイメージしながら練習してレベルを上げていくことが、一貫性を上げていくことに繋がるんじゃないかと思っています。

ゲームと全く同じ強度で練習することは難しいので、練習では極限までゲームに近いプレッシャーとインテンシティーでやるんですけれど、その他の部分でも個人でプレッシャーに惑わされないというか、相手がどう来ても自分はこうするというところ、そういう軸を持っておくことが、一貫性に繋がるんじゃないかと思います。

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◆テンポがとても大事

――先ほど質を上げるという話がありましたが、その中には技術的なレベルも含まれているんですか?

はい、そうですね。ひとつ例に挙げると、サンゴリアスのラグビーをやるためには、やはりテンポなんです。スピード感のあるアグレッシブ・アタッキング・ラグビーのアタックにはテンポ、ブレイクダウンのテンポがとても大事になります。いかに良いボールを良いテンポで出せるかが大事なところです。アタックのブレイクダウンに関してはアオさん(青木佑輔アシスタントコーチ)が練習からひとつひとつ見ていて、毎回レビューをもらえます。アタックのブレイクダウンでの技術的なことです。

――それは立ち位置や入り方、入ってからの技術的なことなどですか?

はい、そうです。例えば、フォワードのシェイプであれば、最初にボールをもらう人がいて、その人がボールキャリーして相手にぶつかるまでは、他の選手はオプションになっていなければいけません。パスをしたりしなかったりで、誰かがボールキャリーをするとなった瞬間から、選手それぞれに責任があります。

みんなそれぞれに責任があって、どれかひとつでも欠けるとサンゴリアスのテンポは出せません。相手によってはボールを取り返そうと狙ってくる選手もいます。

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――どの役割になるかわからないけれど、そのすべてを出来なければいけないということですね

そうです。しかも自分ではそのシチュエーションを選べないので、目の前で起こったことに対して対処しなければいけませんし、そのコンマ何秒の判断の遅れで、相手に先に入られてボールを取り返されたり、あるいはスローボールを作られてテンポをつくれなかったりします。本当にこの1年間で、このブレイクダウンの重要さ、特にサンゴリアスのラグビーをする上でのブレイクダウンの重要さを改めて感じました。

――ブレイクダウンに入る前のマインドセットは?

まずは1対1で絶対に勝つ、というマインドです。その気持ちがない状態で上手く対処しようとすると、相手に乗られたり、めくられたりするので、サポートプレーであれば、接点が起こった瞬間にまずは1対1で負けないことです。

――それは常に思っていなければ出来ないのではないですか?

常にそうですね。そこはチームのため、試合に勝つためには自然と湧き出るものだと思います。試合に出ている以上はチームを代表しているわけですし、責任があると思うので、何の言い訳もできない部分だと思います。ただブレイクダウンも気持ちだけで出来るものではないので、しっかりと選手同士が意思疎通できていなければいけないし、そこは根本になる部分です。

――それは日本代表でも同じですか?

多少形は違っても、どこのチームでも同じだと思います。ラグビーには絶対にブレイクダウンがあることで、そこに何人かかわるかはチームによって変わってくるかもしれませんが、根本は同じだと思います。

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◆フランカーは強度を決める

――フランカーというポジションは好きですか?

好きです。

――フランカーをやっていて面白いところはどこですか?

他のポジションでも言えることかもしれませんが、ボールにたくさん絡めますし、アタックでもディフェンスでもフランカーの仕事量、フィジカルのところでチームに勢いをもたらすことができますし、試合を優位に進めていく上で責任あるポジションだと思っているので、やっていて責任を感じますし、面白いところですね。

――ディフェンスもアタックもドライブするところに面白さがある?

はい、そうですね。スタンドオフにゲームを組み立てる役割があるとしたら、フランカーやバックローは強度を決めたりするというところです。

――ラグビー以外に他のスポーツの経験がないとのことですが、ラグビーではフランカー以外の経験は?

フランカー以外は、ナンバー8と中学ではバックスもやっていました。中学まではメインがバックスでした。当時、どんな感覚でやっていたか、もうあまり覚えていないです(笑)。もう完全にマインドがフォワードになってしまいました。

――この場面でこのバックスの気持ちはわかる、みたいなことはありませんか?

ぜんぜんないです。僕がバックスをやっていた時とは、ラグビーのスタイルも変わってしまっています。

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◆大きな役割を占めているのがフィールドの部分

――フォワードになるきっかけは何だったんですか?

高校の時に当時の監督に勧められたというか、「バックローをやってみないか」と言われました。

――高校になって身体が大きくなったんですか?

身長は185cmくらいありましたし、バックスをやっていくには走力やスピードが足りないと思っていました。もともと足が速い方じゃありませんでしたし、いつかはフォワードになるかもと思っていたので、いま思えばそのきっかけをもらえて、ありがたかったと思っています。

――フォワードにポジションを変えた時にはどう思っていましたか?

フォワードの方がチームに貢献できている感じはありました。

――すぐにフィットしたんですね

すぐにフィットと言うか、フォワードの方が思い切って出来そうだなと思いました。自分にとっても初めてのチャレンジでしたし、ある意味ミスを恐れずと言うか、そういう感じで出来ました。

――ミスを恐れずやって、あまりミスをせずにチャレンジを積み重ねてきたという感じですか?

いや、いろんなミスはあったと思います(笑)。

――フランカーの面白いところがよくわかりました

いま考えていたんですけれど、1列にはスクラムという大きな役割があります。ロックはフィールドもそうですけれど、ラインアウトが中心になりますよね。そうなると、バックローは大きな役割を占めているのがフィールドの部分で、チーム全体を見た時に、アタックのテンポや勢い、ディフェンスでのコンタクトの局面のインパクト、前に出る勢いなど、そういうところをつくることができる。そこがバックローに任されている部分であり、自分自身としてもそこをつくりたいと思っていますし、そういう部分でチームに貢献したいと思っているので、そこにとてもやりがいを感じますし、面白いと思っています。

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◆率先して体現

――その気持ちは日本代表でも変わりませんか?

変わりません。ポジションごとでミーティングをするとなっても、フロントローはスクラムにかける時間が多いですし、ラインアウトについてはコーラーがロックになることが多いので、ロックが時間をかけて話をします。バックローのミーティングをするとなったら、ブレイクダウンの話が中心になって、やっぱりそこなんだなって思います。

――そこが面白いわけですね

はい。むしろそこで仕事が出来ないとバックローとしての仕事が出来ている、責任を果たせているとは言えないので、チームでいちばん率先して体現しなければいけないと思っています。

――日本代表での自分自身の課題はありますか?

あります。そこはサンゴリアスでの課題と共通している部分が多いと思います。

――チームとしての手応えは?

自分たちがやりたいラグビー、超速ラグビーを掲げていますけれど、良いテンポで出来ている時は自分たちが目指しているアタックが出来ていると思います。そういった場面が昨年や一昨年に比べると増えてきているとプレーしていても感じますし、今年チームとしても結果として勝つということが、来年のワールドカップに向けて大事になります。その手応えは、ちょっとずつ掴み始めていると思います。

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◆選手しか出来ないこと

――サンゴリアスでの来シーズンの目標をお願いします

チームとしては優勝。絶対に優勝して、応援してくださるファンの皆さんと一緒に優勝の喜びを分かち合いたいと思います。それを掴み取ることは選手しか出来ないことなので、絶対に優勝したいという思いがあります。

――チームもまた変わりますね

チャンピオンになるために、チームがいろいろと変わっていくこともあると思いますし、メンバー争いも激しくなると思っています。しっかりと自分のプレースタイルはブラさずに、チームが勝つために出来ることを何でもやろうと思います。

――リーダーの役割は?

次が6シーズン目で中堅に入ってくるので、役職があろうがなかろうが、やらなければいけないと思っています。

――首が太くなりましたね?

測っていないので分からないです(笑)。首のトレーニングはしていませんが、毎日ラグビーをしているので、首も鍛えられていると思います。体重も増えました。

――そこに求めるものは強さですか?

強さですね。ただ、ゲームフィットネスが落ちてしまったら意味がないと思うので、そこにしっかりとフィットする身体を追い求めていきたいと思います。インターナショナルでやるためには、シンプルなパワーや筋量がまだまだ足りないと思うので、そこを追い求めています。

――まだまだ大きくなる可能性があり、まだまだ強くなりたいということですね

大きくなる可能性はあると思います。強くなりたいです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

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