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SPIRITS OF SUNGLIATH

#615 中村 亮土 『みんなが1%ずつ努力できれば』

準決勝戦後の記者会見で、記者に「中村亮土選手は?」と問い掛けられた沢木監督から、「この5年間でいちばん良い状態だったけれど、足の不調のため出られなかった」と説明があった中村亮土選手。その無念の思いを胸に、ファイナルラグビーに臨むサントリーの状態や、今シーズンを振り返っての自分自身を語ってもらいました。(取材日:2018年12月上旬)

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◆チームに対してどれだけの思いがあるか

――いよいよトップリーグ決勝まで来ましたね

日本代表が終わってサントリーに帰って来た週から、徐々にチームに入り始めたんですけど、それくらいからチームがグッと引き締まった、「あ、このシーズンに入ったな」というのがみんなのプレーを見て、みんなの緊張感を見て思いましたし、仕上がって来たと感じました。この前のクボタの試合もそんなに上手くはいかなかったですが雰囲気はめちゃくちゃ良くて、2点差がどうという話ではなくてみんな切り替えた気持ちでヤマハ戦の週の練習に入っていたので、ファイナルゲームに来たなという感じがしますね。

――連覇している過去2年と比べて今の状態はどうですか?

昨シーズンは試合の内容でようやくこの時期が来たな、みんな調子が上がって来たなと思っていました。今回は練習の中で感じて、クボタの試合も良くなかったけどなんか良い雰囲気になってきたなと感じたので、試合の結果ではないところで感じますね。

――2年勝ち続けて3年目も勝ち続ける難しさは?

本当に難しいですね。サントリーはこれまでトップリーグで3年連続優勝したことがないというのが分かると言うか、とても難しいことなんだなと感じます。昨シーズンの流れや勢いのままで来てはいけない、変わらないといけない、と言っていても、実際踏み込めないところがあるという難しさがあると思います。個人的な話で言うと、今年サンウルブズに初めて入って新鮮な気持ちでシーズン初めを迎えたので、新しいシーズンという気持ちの切り替えが比較的に簡単だったんですけど、春からやっている選手たちは本当に難しいモチベーションだったと思います。

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――それがようやく最後まで来たぞという感じですか?

そんな感じがしますね。

――準決勝ヤマハ戦はスタンドから見ていてどうでしたか?

上手くいかない時間帯もありましたけれど、それを含めて勝ちきれたというのは、やっぱり力がある証拠だと思います。ここまで来たら何が起こるか分からないので、まず決勝の舞台に進めたというところで、チームの成長を感じました。

――チームが更に良くなって来ているというのは、スタンドから見ていても感じましたか?

そうですね、とくにディフェンスの部分。そして後半始まってすぐのアタックとか、結構長いフェーズが続いたキツい時に、チーム力が問われるんですけど、それが良かったかなと思います。チームに対してどれだけの思いがあるか、そういう中でのプレーなので、そこがゲームに現れた部分だったので、良かったと思います。

――どんな思いで決勝戦を迎えますか?

チームは見るからに仕上がっていますし、良いゲームメイカーもいて、良いボールキャリアもいて、バランスの取れた良いチームだと思います。チャンスはあると思うので、しっかりもう一度チームとして1週間いい準備をして、最後は笑って終われるように、みんなが1%ずつ努力できればと思います。

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◆コミュニケーションの質が良くなった

――今シーズン、サントリーの中で自分が良くなったと思うところは?

実は今シーズンはサントリーであまりやっていないんですが、日本代表の11月のツアーでも少なからずサントリーでやってきたことが活きていたので、フィジカルのところも、キャッチパスのところも、本当にサントリーでずっとやってきたことが、今ようやく試合でできるようになってきたという感じです。

――キャッチパスのところとは?

細かいんですけど、パスのタイミングやプレッシャーがある中で正確にパスできるかというところです。1つのパスで、自分のチームのラインを崩すようなことがなくなりました。

――そこは自分でも手応えを感じているところなんですね

そうですね。周りともコミュニケーションをとってフィットしてきたし、シンプルにできるようになりました。

――シンプルにできるようになったのはなぜですか?

練習量とコミュニケーションが良くなってきたのかなと思います。練習は毎回していたので、それをいかに試合で出せるかというところでは、コミュニケーションが本当に大事だと思います。

――それは具体的に試合中のコミュニケーションですか?

試合中です。止まっている時も、実際に動きながらパスをもらう時も、パスをする時も。

――シーズンを重ねる毎に試合中に声を出している機会が多くなってきたということですか?

それもあるし、的確なコミュニケーションがとれるようになってきているし、良い判断もできるようになってきていると思います。

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――それは経験値からですか?

自信だと思います。あとは、試合をどう組み立てるか、この時間にはこうするということを自分の中で考えながらやっているので、それも良くなっている要因だと思います。

――自分に対する自信ですか?

なんかクリアになっているんです。こういう時はこうする、これはこうする、と自分で判断基準がクリアになっているんです。

――なぜクリアに?

ずっと考えていたからです。こうしたらこうした方が良いなというのを考えながらやっていたので、年を重ねる毎に経験値も含めてクリアになってきました。そうやって考えたことをチームメイトと共有してコミュニケーションをとりながらやっていたので、お互いがクリアになって、それでチェーンで繋がって1つのプレーが生まれるみたいな感じです。

――相手がどういう組み合わせでもそうなんですね

はい、コミュニケーションの質が良くなったんだと思います。

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◆良いタックルが入る時

――コミュニケーションの質が良くなったということですが、それは日本代表でも活きていますか?

そうですね。僕の中でも、それも僕の強みになってきたのかもしれないです。大袈裟な話かもしれないですけど、僕が入ったことでコミュニケーションが上がって、上手くラグビーができるようになったというようになっていきたいなと思います。パイプ役というか、タックルはしないけれど、そのラインをオーガナイズしている人がいて、その一人が僕だったみたいなのが理想というか、そういうところまで行きたいですね。

ディフェンスで言うとフォワードが内側いて、外側に足が速いウイングがいて、その間に中堅の自分がいて、そのチェーンを繋げられるようなポジション。あとは、自分のいる方のゾーンでは絶対抜かれないように、どんな状況でもちょっとした穴を埋めていくような仕事ができるようになってきたなと思います。

――相当周りが見えるようになりましたか?

予測はしています。相手の立ち位置や動きやキャラクターによって、こういうのが来そうだなとイメージして、コミュニケーションをとっています。プレーの内容までは言えないので、「こうきたらこうして」と言いながらボールが動いている時に話しています。

――そうやっている中で今一番面白いところはどこですか?

やっぱりタックルですかね。自分が思っている通りに持っていけて良いタックルが入る時です。引き寄せてみたいなイメージとか、支配した感じが面白いです。

――それは試合の中で結構な回数あるものですか?

罠をかけている手前で自分のところに来なかったりするので、そんなに多くはないですけど、やっぱりディフェンスは面白いですね。タックルにフォーカスしたら1つのプレーになってしまいますが、連動しているディフェンスが面白い。だから、僕のサイドでは絶対に抜かせないようにしようと思っています。分かれない時もありますけれど、基本的にセンター2人は分かれるんです。絶対にこっちでは抜かせないようにって頑張ります。

――自分も頑張るし、コントロールもする?

基本はコントロールが多いかもしれないですね。

――それは海外のチームに対してもこだわっているところですか?

そうですね。ジャパンとサントリーではディフェンスのやり方が大幅に違うので変えなければいけないですけど、僕の考え方は一緒でやれているので、そこはブレずにできています。

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◆積み上げが活きた

――日本代表での手応えはどうですか?

僕個人として捉えた時に、今までにないくらい良い経験ができました。エディーさん(ジョーンズ/前日本代表ヘッドコーチ)の時もそうでしたが、何回もツアーに付いて行くけどそこでの経験はなかなかできなかったことが結構あったので、今回に関しては今までとは違ったツアーで終われたなという感じです。

――そういう結果を残せたのはなぜだと思いますか?

それこそ積み重ねだと思うんですが、去年は11月の世界選抜との1試合しか出られなくて本当に苦しくて、でもその中でチームのために動いて、また自分の成長のために動いていたことが、今回のツアーに繋がったと思います。スタッフの評価にしても、僕自身のモチベーションにしても、精神的なところにしても、そこからの積み上げが活きたなという感じがします。

――自分が出られなくても「チームのために」というのはどういう精神状態でしたか?

そのチームが好きというのは、あったかもしれないです。なかなか自分の気持ちを抑えられず、隠しきれずに今までやってきていましたが、少し視野を広く見ることができてきたのかなと思います。

――それはなぜですか?

今を見ていないと思います。今が一番大事なんですけれど、そこに執着していない感じです。

――目の前のことに一喜一憂していない感じですね?

そうですね。今のターゲットを2019年のワールドカップに向けてというところに置いているので、そこに向けて自分がどういうプランでやっていくかと考えた時に、そういう考えになれたのかなと思います。

――「チームが好き」と思えた根本には何があるんですか?

認めてくれている人がいるということかもしれないです。チームメイトでもスタッフでも、期待して認めてくれている人がいるから、その人たちに応えようという気持ちです。

――今の代表チームはチームとしてかなり良い状態ですか?

とても良いまとまりのあるチームだと思います。若手とベテランが一体となって、変な壁がないので、みんなが誰とでも自然にコミュニケーションとれる環境です。自分たちが良いチームを作りたいと一人ひとりが思っているから、それが自然にできているんだと思います。大事なのはチームが一体となって1つの目標に向かってというところをみんなが理解しているので、みんなの1%の努力が、まとまりのあるチームへと繋がっているんじゃないかなと思います。

――みんなの経験値が上がってきたということですか?

過ごす時間も多いが故に、お互いのことを知ることができます。日本にいたらバラバラになってしまいますが、海外ではチームとして動くので、ラグビー以外のところでもコミュニケーションがとれて、とても良くなっていると思います。

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◆1つ1つの質を高める

――2019年を見据えた視点で見て自分のプレーにはどんな評価をしますか?

正直このくらいはできると思っていました。今回の遠征で周りからは評価をいただいたんですけれど、自分の中ではこのくらいできると思っていて、まだ求めているところまで達していないので、そこに向けてまだまだ伸び代あるなと思えた11月のツアーでした。

――精神的なところに加えプレーで良くなったところは?

より良くなったというか、改めて自分の良さはフィジカルなプレーができるところで、上手くボールを捌けたり、周りとのコネクションを保ちながらできたりすることが強みだなと改めて思いました。

――そのフィジカルは海外の強豪チームにも対抗できますか?

はい、できますね。今まではやったことがないのでどのくらい強いのかも分からなかったですし、自分の強みはフィジカルで「日本ではそうですね」と言えましたけど、今回のツアーで自信を持って言えるくらい「やれた」というのはあります。

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――今後さらにここを伸ばしたいというポイントはどこですか?

ジャパンで言うとボールのハンドリングというか、球際のところであったり、オフロードであったり、そういう細かいプレーや、ちょっとしたキックをプレッシャーの中でどれだけ正確にできるかというところだと思います。

――それは技術的にということですか?

そうですね。練習と経験値も大事なので、練習していくしかないですし、出来るようになると思います。今回トップリーグ後もサンウルブズに呼ばれて半年くらい行かせてもらうので、これからその時間は作れるかなと思います。

――2019年の目標は何ですか?

ワールドカップで12番を背負ってベスト8までいきます。

――そのためにやらなければいけないことは何ですか?

これまでやっていたプレーの質を高める、その1つに限ります。やることはサントリーでもテストマッチでも、ワールドカップでも、変わらないので1つ1つの質を高めるだけです。

――トップリーグそして日本選手権のチャンピオンになって、そのチームから代表にという思いもありますか?

それはもちろんあります。日本代表でプレーしていても、サントリーサンゴリアスというプライドを持ってやっているので、どこに行こうがどこで戦おうが、自分のプライドを懸けてやりたいなと思います。そしてサントリーから日本代表に入って一緒に戦える選手は、本当に多いと思います。楽しみです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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