森づくり最前線
竹林問題
雑木林に侵入して樹々を枯らす拡大竹林を
本来の雑木林へ
最近、日本の山を見ると、「あれ、こんなに竹が多かったかな」と思うことはありませんか。いま、日本中で、竹がどんどん増えて、雑木林を枯らしています。
竹という植物は、毎年3メートルほどの地下茎を伸ばし、そこからタケノコを生やします。雑木林に隣接して放置竹林があると、竹は、雑木林の中にどんどん地下茎を伸ばして陣地を拡大していきます。
タケノコは、わずか2,3ヵ月で10数メートル、元気な竹の場合には、20数メートルの高さまで育ち、内側の雑木から光を奪って枯らしていきます。
こうして、雑木林は、次々に竹藪に変わっていってしまうのです。
しかも急斜面の竹林は、崖崩れの危険性を高めます。雑木林で崖崩れが起こりにくい秘密は、「根」にあります。
様々な樹種が混じり合う雑木林では、深くまっすぐに根を伸ばして、「杭」の役割を果たす木と、横に根を張り土を抑える「ネット」役の木が協力しあって、崖崩れを防いでくれているのです。
一方、竹の地下茎は、横に広がります。
つまり土を押さえるネットの働きには優れているのですが、「杭」の役割がありません。当然、大雨などの際にずり落ちる危険性が高くなるのです。
拡大竹林を本来の雑木林へ
サントリーでは、特に急斜面の竹藪を対象にした整備を行っています。
まだ雑木が生き残っている場所では、侵入した竹を全伐。
雑木が枯れてしまった場所では、ヘクタールあたり1万本以上になっている竹を、とりあえずは3千本ほどまで間伐して、自然に生えてくる広葉樹を育てたり、場合によっては植樹するなどして、もとの雑木林に戻していく活動をしています。