森づくり最前線
獣害対策
植生保護柵と急斜面の土留めで
下生えの回復と、土砂流出の防止
ちょっと前までは考えられなかったことですが、いま、日本全国で、鹿や猿、イノシシなどが増えすぎ、さまざまな被害が出始めています。
そのうち、山や森にとって最も深刻なのが、鹿が、地面の草や笹など食べてしまうことによる影響です。
増えすぎた鹿は、かつて地表を覆っていた草や笹を食べつくし、土を剥き出しにしてしまいます。剥き出しになった土は、雨で流れやすくなり、急斜面では、土砂崩れが起こる危険性が高くなります。
生物多様性にも、悪影響が出ています。
山に鹿が食べない草──カリガネソウやフタリシズカなどしか生えていない場所も多くなりつつあります。食草を失ったチョウなどの昆虫類も減っています。
かつては、鹿がいなかった高山でも、希少な高山植物が絶滅の危機にさらされています。
植生保護柵と急斜面の土留め
各地のサントリー「天然水の森」では、土砂崩れの危険性の高い急斜面や、シカから守りたい植物が生えている場所に、植生保護柵を設置し、下生えの回復と、土壌流出の防止に努めています。