【2026年最新動向】企業が取り組むべき熱中症予防とは?ガイドラインを踏まえた予防の基本と実践方法

近年の猛暑は年々深刻さを増し、職場における熱中症リスクも確実に高まっています。熱中症は炎天下の屋外作業だけでなく、高温多湿な室内でも発症する可能性があり、さらに寝不足や二日酔いなど健康状態によって発症しやすくなります。
実際に職場での熱中症災害は増加傾向にあり、厚生労働省の2025年(12月末速報値)のデータによれば、職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は1,681人に達しています。このような背景から、労働安全衛生規則の改正によって事業者には具体的な対策が求められるようになりました。個人任せの予防だけではなく、企業として現場の環境整備や仕組みづくりを進める必要性が高まっています。本記事では、職場で実践できる熱中症予防の基本から具体策までをわかりやすく解説します。

職場の熱中症予防の基本

2025年には職場における熱中症の重篤化防止を目的に法改正が実施され、熱中症対策が義務化されました。これに続き、2026年に向けては厚生労働省が有識者による検討会を設置し、予防策のさらなる強化について議論を進めています。検討会では、既存の「職場における熱中症予防基本対策要綱」をベースに、企業が取り組むべき具体的な予防策を整理したガイドラインの見直しが検討されています。
こうした動きを踏まえ、企業には従来以上に実効性のある対策が求められています。ここでは、企業がまず押さえるべき熱中症予防の“基本”をわかりやすく解説します。

安全衛生管理体制の構築

企業における熱中症対策は、まずは安全衛生管理体制を整え、そのうえで作業環境管理・作業管理・健康管理・労働衛生教育を組み合わせて実施することで、リスクを組織的に低減できます。
安全衛生管理体制とは、熱中症の早期発見と重篤化防止を目的に、組織として対応できる仕組みを整えることです。現場で迷わず行動できるよう、作業中の観察体制を整え、異変時の対応手順や役割分担を文書化し、関係者に周知しておくことが重要です。また、緊急時の通報、報告フローを明確にし、搬送先医療機関を事前に確認しておくことで、緊急時にも迅速な対応が可能になります。

作業環境管理

作業環境管理は、気温・湿度・放射熱・気流といった暑熱要因を把握し、設備や運用によって熱中症リスクを低減する取り組みです。熱中症リスクの評価には暑さ指数(WBGT)が用いられ、一定以上の環境下では企業として対策を講じることが求められます。環境を可視化し、改善策を計画的に実施することで、従業員の負担を構造的に軽減できます。

【対応例】
・WBGTの測定と管理基準の設定
・冷房、換気、除湿、遮へいによる温熱環境の改善
・直射日光や照り返しの抑制措置
・涼しい休憩所や冷却物品の整備
暑さ指数(WBGT)は、熱中症の発生リスクを評価する指標です。法令ではWBGT28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間以上の作業が見込まれる場合、「熱中症のおそれのある作業」とされ、企業には体制整備や対応手順の作成、関係者への周知などの対策が求められています。暑さ指数について詳しくは以下の記事をご参照ください。

熱中症警戒アラートと暑さ指数(WBGT)とは?職場での熱中症を防ぐための活用ポイント

作業管理

熱中症予防における作業管理は、作業時間や休憩、作業強度など働き方を調整し、暑さによる体への負担を抑えるための対策です。暑熱条件に応じた作業計画を定め、無理なく安全に作業を継続できる運用ルールを整備することが重要です。特に暑熱順化(体が暑さに慣れること)の期間確保や巡視体制の強化は、事故防止の観点から有効とされています。

【対応例】
・作業時間の短縮と休憩時間の確保
・暑熱順化の計画実施
・水分・塩分の補給
・通気性の良い服装の着用などルール化と確認
・プレクーリング(活動前に深部体温を下げること)の実施
・作業中の巡視、単独作業の回避、バディ制の導入
・ウェアラブルデバイスを用いたリスク管理

健康管理

熱中症予防における健康管理は、従業員ごとの体調や既往歴を把握し、個別のリスク要因を踏まえて対策を講じる仕組みです。寝不足や飲酒後、基礎疾患のある状態では熱中症の発症リスクが高まるため、作業前の体調確認や健診結果の活用が重要になります。個々の状態に応じた配慮を行うことで、発症を防ぐことにつながります。

【対応例】
・作業前の体調確認(睡眠・飲酒・食事)
・健診結果や既往歴に基づく配慮
・発汗や体温調節に影響する薬剤への注意喚起
・体温計、体重計などによる健康状態確認

労働衛生教育

労働衛生教育は、従業員が熱中症の危険性を理解し、適切な予防行動や初期対応を取れるようにするための基盤です。症状の見分け方や救急処置を共有することで、現場全体の対応力が高まります。教育は一度実施して終わりではなく、役職や職種に応じて継続的に行うことが重要です。また、緊急連絡体制の周知も不可欠です。

【対応例】
・衛生管理者、作業者別の教育実施
・症状、予防、救急処置、事例の共有
・緊急連絡網の整備と周知

職場の熱中症予防の実践方法

ここからは、前章で示した基本方針のうち「作業管理」に焦点を当て、現場で実際に運用する際の具体策として紹介します。作業管理は、熱中症の直接的な要因を防ぎやすく、企業として効果を実感しやすい取り組みであり、「暑さ対策」と「水分・塩分補給」の両面から進めることが重要です。

熱中症予防の実践①:暑さ対策

暑さ対策は、作業環境に応じて具体的な工夫を積み重ねることで効果が高まります。室内では温湿度の管理や空調性能の確保、屋外では日射の回避や休憩環境の整備など、従業員が体温を上げすぎない仕組みづくりが重要です。ここでは、環境別に企業が実践できる対策を紹介します。

室内で働く場合

《温湿度管理と空調改善》
室温や湿度を適切に保つことは、暑さによる体への負担を抑える取り組みの基本となります。また、設備の活用だけでなく、空気の循環や設備状態の維持も重要になります。
・エアコンや扇風機、遮熱カーテンなどで室温を調整する
・空調の定期メンテナンスや増設、サーキュレーターで空気の循環を改善する

《休憩場所の整備と改善》
作業環境を改善しても、体温上昇は避けられません。確実に体を冷やせる場所を確保することが重要です。
・休憩所の冷房性能や広さ、利用人数の適正管理
・冷却タオルや冷感ボディシートなどの冷却物品を備える
・水分補給手段の確保(冷えた飲み物を購入できる自動販売機などの設置)

屋外で働く場合

《日射・暑さを避ける工夫》
直射日光を避けるだけでも体温上昇は抑えられます。作業場所そのものに対策を施すことが有効です。
・シェードやテントなどで日陰を確保する
・ドライミストの散布を活用する
・通気性の高い作業服や冷却ベスト、ヘルメット用ファンを支給する(火花が出る作業では使用不可)

《休憩環境の整備》
屋外作業では、確実に体を冷やせる休憩場所の確保が重要です。
・作業場近くに空調付き休憩所を設ける
・自動販売機などで冷たい飲み物を常備する
・冷却タオルなどで体を冷やせる環境を整える
・休憩所確保が難しい場合は車内休憩も検討する

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熱中症予防の実践②:水分・塩分補給

熱中症予防では、暑さ対策と並んで水分・塩分補給の徹底が不可欠です。労働安全衛生規則第617条では、「事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない」と定められています。これは「水分補給を推奨する」という努力義務ではなく、発汗が見込まれる環境では、事業者があらかじめ補給できる環境を整える責任があることを示すものです。したがって、水や塩分を常備するだけでなく、確実に補給できる運用ルールを設けることが重要になります。

熱中症予防に最適な水分・塩分補給方法

水分補給は喉が渇く前から始めることが大切です。なぜなら、喉が渇いたと自覚するときには、すでに脱水が始まっていることがあるからです。
始業前から補給を行い、作業中も定期的に補給できる仕組みを整えます。昼休みや終業直後の水分補給も徹底します。作業中の飲み忘れを防ぐため、タイマーやアラームで時間を知らせるなど補給のタイミングを可視化することも有効です。
作業場所のWBGT値が基準値を超える場合、少なくとも0.1~0.2%の食塩水、ナトリウム40~80mg/100mlのスポーツドリンクや経口補水液などを、20~30分ごとにカップ1~2杯程度補給することが望ましいとされています(作業の強度などによって、必要な補給量は異なります)。なお、大量に発汗すると体内の塩分も消失するため、水分補給の際は塩分を同時に補給する必要があり、スポーツドリンクや塩分を含む飲料を活用することが重要です。
また、こうした水分・塩分補給を確実に行うためには、現場で必要な飲料をすぐに摂取できる環境づくりも欠かせません。

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まとめ

熱中症は気温の高さだけでなく、作業環境や体調、働き方によって発症リスクが大きく左右されます。そのため企業には、環境整備や作業管理、健康管理、教育を組み合わせた組織的な対策が求められます。なかでも、水分・塩分補給を確実に行える仕組みづくりは、現場で実効性の高い予防策のひとつです。従業員が無理なく補給できる環境を整えることは、安全確保だけでなく生産性の維持にもつながります。

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監修ドクター紹介

田中 完(たなか・ひろし)先生

KOMET産業医センター 統括指導医
株式会社 HJ Link-do 代表取締役
医療法人 Link-do 総長

名古屋徳洲会総合病院・救急総合診療科勤務、製鉄会社専属産業医を経て2022年実践的産業医育成を行う神栖産業医トレーニングセンターを開設。2023年に小規模事業所にも手厚い産業保健サービスを提供することを目的に産業医DX、産業医支援(SaaS)を提供する株式会社を設立。
製鉄会社産業医のころより熱中症対策に力を入れ、2016年以降中央労働災害防止協会・熱中症予防対策の講師を務める。その他、熱中症対策ウエアラブル装置のベンチャー企業のアドバイザーを兼務。

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