こども気温を知ろう 暑さから「いい日陰」
に逃げよう

熱中症対策では、水分補給に加えて、「暑さから逃げる」行動が大切です。
屋外の遊び場や通学路などでは、日陰に入ることがその一つの手段となりますが、
実はひとくちに日陰といっても、
地面の照り返しや周囲の環境などの条件によって、暑さの感じ方は変わります。
実際の検証結果をもとに、暑さから逃げるために役立つ
「いい日陰」のポイントを見ていきます。

検証実験

暑さから逃げられる「いい日陰」の条件を検証するために、
こどもたちの遊び場である公園内のさまざまな「日陰」の暑さ指数(WBGT)を、
こどもの高さで測定・比較しました。

検証結果

1日向と最も涼しい日陰では
4.2℃の差!

公園内の日向1カ所と日陰4カ所で暑さ指数を比較したところ、日向と最も涼しい日陰の間には4.2℃の差が確認されました。最も暑さ指数が低かったのは「大きなイチョウの木陰」で、樹高の高い木々が濃い日陰を長時間保つことに加え、周囲の植物による蒸散効果などが影響し、暑さ指数が低くなったと考えられます。

2実は、
日陰の効果にも差がある!

「遊具の下の小さな日陰」と「大きなイチョウの木陰」では暑さ指数に2.9℃の差がありました。周囲の地面(砂・小石)や遊具自体が熱を持つことで、日陰でも放射熱の影響を受けやすく、日陰の効果が低かったと推察されます。これらの結果から、暑さから逃げられる日陰を選ぶ際は、日陰の大きさ・濃さに加え、地面の素材や周囲に植物があるかなどに注目することが重要であることが示唆されます。

〔 実験概要 〕

日時
2025年6月30日(月)11:45〜14:10都内
場所
猿江恩賜公園(東京都江東区)
天気
晴後薄曇(はれのちうすぐもり)、
東京都心の最高気温33.2℃
概要
武蔵野大学教授・三坂育正先生の監修・立ち会いの下で実施した株式会社ウェザーマップとの共同実験です。公園内の日陰4カ所と日向1カ所にて、各地点の暑さ指数(WBGT)を黒球式熱中症指数計にて計測。熱中症指数計は、こどもの熱中症リスク軽減につながるような「いい日陰」の条件を検証する目的で、こどもの胸の高さとして地面から80cmの高さに設置。また、各地点の表面温度を赤外線サーモグラフィーにて撮影しました。

ー いい日陰のキーワード ー夏の「お・か・し」

三坂先生監修のもと、こどもが「いい日陰」を見つけるためのキーワードとして「夏の『お・か・し』」を作成しました。検証実験結果も参考に、暑熱リスクを下げる「いい日陰」の条件から、こどもが見分けやすく覚えやすい3つのポイントを選んでまとめたものです。

専門家コメント「いい日陰」を見つけて、
暑さからかしこく逃げよう!

まちなかの日陰・暑さの専門家

三坂(みさか) 育正(いくせい)先生
聞きました!

1.屋外では、“日陰に逃げること”が熱中症対策の第一歩

まちなかでは、日陰に入り日差しを避けることが重要です。実測データからも、日陰が連続する空間では、熱中症リスクを下げる効果が確認されています。

2.「いい日陰」の見分け方

直射日光をしっかり防げることに加え、日陰をつくる物の素材や足元の地面の表面温度が低く、放射熱の影響が少ない場所を選ぶことがポイントです。木陰やフラクタル構造の日よけ、芝生のある場所は、体感温度を下げやすい「いい日陰」といえます。地面の熱さは、やけどに注意しながら手で触れて確認することもできます。

3.日陰がない場合、家庭で
「いい日陰」をつくるには

日陰がない場所では、日傘やテントで「いい日陰」をつくることができます。遮蔽率が高く、熱くなりにくく、風通しのよいものを選び、体全体が日陰に入るように使うことが大事です。

三坂 育正先生 プロフィール

1967年福岡県生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、(株)竹中工務店技術研究所にて環境共生、ヒートアイランド対策に関する研究・プロジェクト支援業務を担当。2012年日本工業大学建築学部建築学科教授を経て、2023年より武蔵野大学工学部サステナビリティ学科教授(現職)。環境省「暑熱環境に対する適応策調査検討委員会」委員等を務める。2014年に「暑熱適応のまちづくり研究会(涼まち研)」を設立。日本ヒートアイランド学会会長。博士(工学)。