こどもの発汗能力は汗をかいているから安心、と思っていませんか。
こどもの発汗能力はまだ発達の途中といわれています。
その体の特徴と熱中症リスクの関係を専門家の解説とともに紹介します。
大阪国際大学 名誉教授/医学博士
井上 芳光さんに
聞きました!
井上 芳光先生 プロフィール
1981年大阪教育大学大学院修士課程(保健体育)修了、同年より神戸大学医学部衛生学講座助手、助教授、1997年より大阪国際大学人間科学部教授、2022年より大阪国際大学名誉教授。この間(1989~1991年)米国ペンシルベニア州立大学ノル生理学研究所にて客員教授。医学博士(神戸大学、1988年)。専門は温熱生理学で、特に発汗機能の発達・老化およびその性差のメカニズムを生理学的に探究している。
1.実は、こどもは
汗っかきではない!
「こどもは汗っかき」というイメージがありますが、実際には、思春期前のこどもは大人より汗腺のサイズが小さく、その働きも未熟なため、同じ体表面積当たりの発汗量は大人より少なく、6割程度しか汗をかけないことが研究で分かっています。
2.気温が高い環境では、こどもの体は熱がこもりやすい!
こどもは未熟な発汗能力を補うために、頭部や胴体などの皮膚に血液をより多く集め、体の表面から熱を外に逃がす生理的特性をもっています。しかし、猛暑日のような、気温が皮膚の温度より高い環境では、皮膚に血液を集めて体の表面から熱を逃がすことができず、発汗だけがその手段となるため、発汗能力が未熟なこどもは体に熱がこもりやすい状態になり、熱中症リスクが高まります。
3.「こども気温」下では、熱がこもるリスクが高まるため要注意
さらに、こどもは身長が低く、地面からの照り返しの影響を受けやすいため、大人より約7℃も温度が高い環境にさらされます。そのようなこども特有の暑熱環境である「こども気温」下においては、気温が皮膚温よりも高くなるケースが多く、熱がこもって熱中症になるリスクが高まるため、注意が必要です。大人以上に高温となる「こども気温」を意識し、本格的に暑くなる前の早い時期から、こどもの熱中症対策を行うことが重要です。