2026年6月 5日
#1017 尾﨑 泰雅 『どんどん乗っていけ』
ここまで全試合に出場している尾崎泰雅選手。質が高くかつ安定したプレーを見せている秘訣は?(取材日:2026年6月上旬)

◆左足でのキックは得意
――準決勝では負けましたが、フル出場でしたね
シンプルに、スティーラーズが強かったです。バックスに良い選手がたくさんいますし、フォワードも前に出られる選手がたくさんいるので、そこで自分たちが受けてしまい、相手の勢いに飲まれてしまいました。
――泰雅選手の50:22までは、食らいついていっていた感じでしたが
あの時間帯では、ディフェンスでも前に出続けるというテーマが、遂行できていたと思います。
――どの辺から勢いが変わったと感じましたか?
たぶんスティーラーズがやっていることはずっと変わっていないと思いますが、自分たちのちょっとしたタックルミスなどで、ズルズルと行かれてしまった場面が増えていったと思います。自分たちの精度の問題だと思います。
――タックルは自らのテーマとしていたと思いますが、自分自身のタックルについてはどうでしたか?
外されるシーンは多くはなかったと思いますが、内側が前に出られて、外が余っている状態が多かったと思います。そこのディフェンスでもしっかりと止められる選手になっていければ、これからチームの中でも大きな存在になれると思うので、そこは頑張っていきたいと思っています。
――50:22についてはどうですか?
空いていれば、いつでも狙える状態だと思います。左足でのキックは得意だと思っています。

◆常に高いスタンダードでアグレッシブに
――今シーズンではチームとして浮き沈みがあったかと思いますが、どう感じていましたか?
自分たちがやってきたことは間違っていないと思うので、浮き沈みはありましたけれど、チームとしては最終的にはとても良いチームが出来上がっていたと思います。決勝には進めませんでしたが、3位決定戦に進むので、昨シーズンより順位を上げることはできましたし、更にチームとしてのレベルも上がっているので、良い方向には進んでいると思います。
――昨シーズンよりもどこが良くなりましたか?
個人としては、プレーの波がなくなって、常に高いスタンダードでアグレッシブにできているのではと思います。そこが昨シーズンよりも、成長している部分だと思います。
――波がなくなったということは、精神的に引きずらなくなったということですか?
引きずらないのもそうですけれど、準備の段階でしっかりとできているので、マイナスに考えない、ミスをしても次と、という考えに変わったと思います。
――フィジカルの準備ではなくマインドの準備の方ですか?
マインドですね。メンタルの部分がだいぶ変わりました。週の初めにコーチ陣とミーティングをして、レビューして、次の試合に向けて月曜日、火曜日に頭をしっかりとフレッシュにできているので、そこでのコーチ陣とのコミュニケーションですね。

◆苦手なところをやり続けた
――プレーに迷いがないということですね
はい、自信がつきました。
――自信がついたのはなぜですか?
プレシーズンから苦手なところをやり続けたこともありますし、苦手なことを苦手なままで終わるのではなくて、苦手なことをやり続けることができるようになったからだと思います。
――苦手なプレーをやり続けたんですか?
プレーもそうですけれど、ラグビーにかける時間を増やしました。
――苦手な何を乗り越えたんですか?
今までしんどいこととかを逃げてきた人間で、これまではできるだけ楽をしたいという気持ちが強かったと思います(笑)。ラグビーの練習でも全体練習だけやっていれば良いやと思うタイプでしたが、それでは上には行けないとサンゴリアスに来て強く感じました。どう自分の苦手な部分を克服し、良いところをどう伸ばしていくかを考えて、みんなと一緒に練習してきたからだと思います。
――そこがサンゴリアスに入って変わったところですか?
そうですね。ラグビーに対する意識が変わりました。
――さらに毎年変わってきたんですか?
はい、毎年変わっています。
――今シーズンいちばん変わったところはどこですか?
下の年代の選手も結構入ってきて、年齢的には中堅の位置にいると思っているので、そこで下の見本になるような人間にならなければいけないですし、上の先輩たちが築いてきてくださったことを下の年代に教えていくのに、まず自分が変わらなければいけないと思いました。
――末っ子から長男になったみたいな感じですか?
そんな感じですけど、長男ではないですね(笑)。

◆違った嬉しさ
――2022シーズンから7試合2トライ、12試合3トライ、17試合8トライ、そして昨シーズンが12試合2トライ、今シーズンが20試合9トライと来ています。明らかに今シーズンはグンっと上がったと思いますが、ウイングというポジションも合っているということですか?
そこは多少あると思います。チームとしてサンゴリアスのアタッキングラグビーをやっていて、僕が最後にフィニッシュで仕留めるという形がチームとしてできているから、という部分もあると思います。
――実際にプレーしていて楽しいですか?
自分で取り切るということは嬉しいですし、みんなが頑張って繋いだボールを僕が最後にトライすることに、また違った嬉しさがあります。
――プレーの波をなくすには精神的に強くならないといけないと思いますが、どうやって強くしたんですか?
このままじゃダメだと思って、まず毎週のスケジュールで自分がまず何をするか、試合が終わった後に何が必要かをすぐにレビューして、次の週ではそれをなくすために何をしなければいけないか。その考え方が変わっていって、それが良い自分のパフォーマンスに繋がっていったと思います。
――それが準備の部分で、それだけ準備をすると自信に繋がりますか?
自信になります。今は自信があります。
――泰雅選手の持ち味として、相手が予想できないようなプレーをするところがあると思いますが、それについては?
自分の得意でもある大胆さに加え、丁寧さも今年できているので、判断能力、それが良いと思っています。
――課題はありますか?
そこの質を伸ばしていくことと、ディフェンスのところ、あとは試合中でも練習中でもリーダーシップを取ってやっていければ、更に成長できると思っています。

◆2人でトライを量産しよう
――日本代表は?
目指したいです。
――そこに向けては?
そこにいて相応しい選手になれるよう、まずはサンゴリアスで。今シーズンはもう優勝は目指せませんが、来シーズンこそは優勝して、そういう存在になれるよう頑張りたいです。
――お兄さん(尾崎晟也)からのアドバイスもありますか?
いや、アドバイスというよりも、一緒に練習の中で話します。
――兄弟で11番と14番で出ている時の感覚はどんなものですか?
一緒にラグビーができている嬉しさがあります。僕はセンターもやりますけれど、同じポジションで良いライバルでもあるので、一緒に試合に出る時には、2人でトライを量産しようという話をしています。お互いに頑張ろうという感じですね。
――安定しつつ大胆なプレーで質が高いということが理想ですか?
大胆かつ丁寧に、その質が高くて、そして更にアグレッシブが理想ですね。
――その理想に対して、現時点では何点くらいですか?
試合では、100点の時もあれば、以前までは50点以下の時もありました。今は100点を目指していますが、毎試合70点~90点と高い位置でできています。100点に近づけるように頑張っていますけれど、80点くらいでできているかなと思います。その中でも100点を目指していますが、下の70点を上げていく、絶対に70点以上、80点以上、そこがキープできているので良い状態だと思います。

◆アグレッシブに勝ちたい
――あまり調子が良くないと感じる時には、何を意識するんですか?
ひとつのミスに落ち込むんじゃなくて、すぐに切り替えて次のプレー、自分は次に何をしたら良いのかという考え方に変わったので、あまり気にしていないですね。
――調子が良い時にはどんどん上がっていく感じですか?
どんどん乗っていけと言う感じですね。
――そういう試合は今シーズンでどのくらいありましたか?
常にそういう状態を目指していますし、大体はそういう感じですね。そこでミスをしても、それ以下にはならないようにしています。
――試合を見ていると楽しそうにプレーしていますね
楽しいです。ボールを持って走るのが楽しいですし、みんながオッと思うプレーをした時は楽しいですね。
――みんながオッと思うプレーは自分でもオッと思うんですか?
いや、自分としては普通のことをやっている感覚です。
――3位決定戦に向けての意気込みは?
今シーズンで引退する選手もいますし、退団して違うチームに移る選手もいて、そういう選手と一緒にできることが最後になります。58人の選手でやってきたことも次の3位決定戦が最後になるので、23人のメンバーに選ばれたなら、最後にサンゴリアスのラグビー、プライドを見せられるのも23人だけなので、その想いをしっかりとぶつけて、必ずアグレッシブに勝ちたいですね。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]