SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2026年4月10日

#1009 宮﨑 達也 『インパクト』

今シーズン初めて先発した宮﨑選手。今後に向けて現状をどう捉え、何を目指したいと考えているのでしょうか?(取材日:2026年4月上旬)

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◆取り返すことが難しい

――三重ホンダヒート戦、久しぶりの先発でしたが出来はどうでしたか?

雨ということもあったので、フォワードの戦いになるということと、接戦になるということは最初から分かっていました。その中で自分としては、スクラムでも役割は果たせたかなと思うところもありますし、あとラインアウトは最初の1~2本はミスもありましたが、その後からは取れていたので、雨の試合にしてはコントロールができていたかなと思います。

――スクラムはどうでしたか?

練習でコーチ陣と話していても、そこは武器になるところと感じていたので、そこの良さを出せるようにと試合前にも話していました。実際に試合でペナルティーも取れましたし、結構良かったと思います。

――あとスティールもありましたね

そうですね。スティールについても、とくに練習をしているわけではないんですが、試合中で狙えるポイントがあれば毎試合狙っているので、それがあのタイミングで出せましたし、それがトライまで繋がったので、良かったと思います。

――自分の出来としては先発の期待には応えられたと思いますか?

でも、開始15分で3本トライを取られているので、そこは15人全員が責任を感じなければいけないと思います。雨の中で開始15分で3本取られるというのは、取り返すことが難しいので、そこは反省点ですね。

――実際にプレーしていて、どんな感じでしたか?

相手のフォワードは8人中7人が外国人選手でしたけれど、モールを含めてその重さはあったと思います。起点となったところが全てフォワードだったと思いますし、中盤でのモールの対策もできていなかったと思います。そこはコーチ陣もわかっていると思うので、すぐに修正するところだと思います。来週はスピアーズですし、スピアーズもフォワードに外国人選手が多くいます。中盤からでもモールを組んで攻めてくると思うので、そこはすぐに改善しなければなりませんし、改善されると思います。

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◆試合の中で調整しきれなかった

――"インパクトあるプレー"がテーマだと思いますが、今回それについては?

いつもフィニッシャーで入ることが多いので、20分とか30分でインパクトを残すプレーを心がけていますが、今回はスタートだったので、フィールドでのひとつひとつのプレー、そして自分の中ではスクラムがフォーカスポイントでした。最初の1本目で相手にペナルティーを取られましたが、スクラムの組み立てはできていたと思います。インパクトも大事でしたけれど、ヒート戦は組み立てのところの方が大きかったですね。

――途中から出場することと先発で出場することでは、自分の中でやり方が違いますか?

久しぶりの先発で、やってみないとわからない部分もあります。フィニッシャーからの出場だったら、それまでの流れを見ることができますよね。スタートから出場だと、その前にいろいろと分析もしてくれてミーティングもやりますけど、いざ始まってみないとわからないところもあります。スタートだと40~50分くらい出ることができるので、試合の中で修正をしながらやらなければいけないと思っています。

――最初の出だしのところで、練習とは違うところがあって、試合中に修正できなかったところはありましたか?

できなかったから、3本もトライを取られたんだと思います。そこから修正というか、こっちのスイッチが入りました。それがいけないところではあるんですけどね。そこからは敵陣にも入っていましたし、サンゴリアスのペースだったと思います。ただそこでのスコア力ですよね。アタックのチームなので3本取られても5本取ればいい話なんですけれど、試合の中で調整しきれなかった部分ではありましたね。

――センターラインのひとりとして、そこで調整するリーダーのひとりでもあるのでは?

僕の中では、僕のひとつのプレーで流れを変えることは難しいと思っていますが、スクラムで流れを変えることはできると思っています。そこで押してペナルティーを取れるとチームとしても気分が上がるので、そこは試合をしながら上手く組み立てができたんじゃないかなと思います。

――ここ数試合、オフェンスもディフェンスもあと一歩、という試合が続いていますね

ディフェンスもアタックも、スキルの部分があると思います。アタックでもインゴールに入る前に、いまディフェンスする側でわざとインゴールのエリアに入れてボールを置かせないヘルドアップを狙っているチームが多いので、そこでトライまでいけないと思えば我慢して、すぐに次に展開するのもスキルのひとつだと思います。逆にディフェンスではゴール前で1対1を絶対に作ってはいけないので、どうやって2、3人で止めるかというスキル、テクニックだと思います。

今後、プレーオフになったら1点差でも勝てばいい試合になるので、そこを磨くしかないですね。ただ先の試合を考えるよりも、本当に1試合1試合を集中して、1試合1試合にフォーカスしていくことだと思います。どこも簡単に勝てるチームではないですから。

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◆丁度いい挟まれ感

――前回の山本敦輝選手のインタビューで、2番とのコネクトの話がありました。スクラムが上手くいっている時は、プロップから押されているような感じなんですか?

そうですね。1番と3番がバラバラに組んでしまうと、コネクションがなくなって離れてしまうので、そこは自分が引き寄せる役割です。そこが固いコネクションの時には、強いですね。

――固くするコツはあるんですか?

自分から引き寄せることもそうですが、僕はそんなに力が強くないですし、腕も長くないので(笑)、事前に話をして立ち位置を変えてもらったり、「こうしてくれた方がやりやすい」となど1番と3番に先に言っておいて、逆に1番と3番からも要求してもらって、そこのコミュニケーションでやっています。

――1番と3番の力のバランスを取るということですね?

例えばヒート戦で言えば、1番が敦輝(山本)で3番に幹ちゃん(中野幹)がいて、敦輝にはいつも寄って来てと言っていますが、それが強すぎると幹ちゃんがズレるので、そうなったら「ちょっとこっちに来すぎ」って止めて、そこの丁度いい塩梅のところを僕がコントロールしています。横からの力が強すぎて真っすぐ押せない時があるので、そこはその都度調整しています。横からの力が強ければいいというものではないので、お互いに"丁度いい挟まれ感"があるんです。

――1番と3番に加えて後ろの選手とは?

はい、1列目よりも、最初はロックが合わなかったんです。1番と3番の肩を合わせると、ロックからすると僕のお尻が前に出ているようになってしまうので、ロックが真っすぐ入れないんです。だからロックには「僕のお尻は押さなくていい、1番と3番にだけフォーカスして」と伝えています。特にチームに入りたての頃は、そこに戸惑いました。――逆に言うと、後ろの力を意識せずに、両サイドに意識を集中すればいいんですね?

僕の場合はそうですね。まあ、僕はそういう形になったことがないのでわからないですが、後ろの力を使う方が安定はすると思います。例えば、コバケン(小林賢太)、ホリ(堀越康介)、TK(竹内柊平)が1列目だと、サイズ的には同じようになるので、全員のお尻の位置も同じ位置になります。だからロックとしても、そっちの方がやりやすいと思います(笑)。

ただ自分としては、他のフッカーよりもスペースがあるので、スクラムの中で好きなようにできます。低くなりやすいですし、方向も変えやすかったりします。まあ、そこは僕の感覚ですけどね。

――方向を変えるというのは、途中から押す方向を変えるということですか?

そうですね。ヒート戦でもありましたが、最初に「狙う方向はこっち」って決めていて、1~2本組んだところで、「この組み方だと相手の方がやりやすそうだ」と感じたので、1列目で話をして「今度はこっちの方向に行こうか」と話をしてやったら、そのスクラムでペナルティーを取れて、そこから良くなりました。

――かなり時間が限られた中で話すと思うんですが、すぐに変えられるんですね?

チームの方針として、「この方向に押す」というものがあるので、最初はそれを狙うんですが、相手に対してこっちの方が良いと思った時には、他の2人も同じようなことを考えていますね。ヒート戦はそんな感じでした。わかってくれていたので、変えることに対してすぐに「OK」と言ってくれました。

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◆フッカーでも自由にできる

――元スクラムハーフですが、スクラムハーフを続けていてもいけたんじゃないかと思うのですが

いや、無理です(笑)。

――中学校に入ったら周りが大きくて転向したと言っていましたが、スクラムハーフだったら、そこまで大きくなくても大丈夫ですよね?

そうなんですけれど、ハーフだったらどうなっていたんでしょうね。ある程度までは行けたかもしれないですね(笑)。

――転向した瞬間にフッカーの方が合っていると思いましたか?

まあ、中学なので、そこまでちゃんとフォワードという感じでもなくて、フッカーになった後もバックスのラインに入ってパスとかもしていました。中学校の先生も高校の先生も、そこは好きなようにやらせてくれました。「フォワードだから、こういうプレーをしろ」ということは言われなかったので、そこは有難かったですね。

――高校ではどうでしたか?

高校ではよりスクラムやラインアウトに重きを置いてやらなければいけなかったんですね。でも、面白かった。中学も高校も、それほど決められた形がなかったので、バックスと同じようなプレーをしていました(笑)。

――大学で「ちゃんとフッカーにならなければいけない」と思ったんですか?

そうですね。大学に入る時には、セットプレーやスクラムの知識がありませんでしたし、強くもなかったので、どこに進むのが良いかと考えて、セットプレーを大事にしている京都産業大学に進むことを決めました。京産でやった分、スクラムワークは今に繋がっていると思います。押しに行くマインドは持たなければいけませんし、「フォワードで勝たな意味ない。フォワードで勝てなかったらラグビーで勝てない」みたいな感じでした。その教えは、今の僕の中でも響いています。大学4年間はめっちゃ嫌でしたけど(笑)。

――バックスじゃなくフォワードが良いと思ったのはどの辺ですか?

高校、大学でフッカーとしてやっていて、今更バックスとは思わなかったですね。

――それはフッカーとしてのプライドがあったんですか?

それもありますね。フッカーが面白いポジションだと思っていましたし、高校、大学とスーパーラグビーやトップリーグを見ていて、2番でフロントローだけれど、1番と3番とは違うと思いましたし、バックローみたいな選手やバックスのようなパスをする選手もいました。堀江さん(翔太/現 埼玉パナソニックワイルドナイツ FWコーチ)とかもそうですよね。だから、フッカーでも結構「自由にできるな」って思いましたね。

――スクラムハーフの経験はラインアウトに活きていますか?

ハーフの経験は活きてないですね(笑)。でも、ボールを触ることは好きで、パスも好きだったので、その投げ方が変わっただけですからね。昔からパスは兄貴としょっちゅう練習していましたし、家の前で近所の兄ちゃんたちとパスしたりしていたので、下から投げるか上から投げるかの違いだけで、そういう意味では遠くはないかもしれないですね。

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◆どう自分を上手く使えるか

――現在7勝7敗の五分です。これからの戦い、自分自身の課題は何ですか?

課題もそうですが、チームから求められていることをやりきらなければいけません。スクラムワークは絶対にそうですし、スタートで入ってもフィニッシャーで入っても、そこはインパクトを出せるところです。特にフィニッシャーで入って、スクラムでペナルティーを取ったら士気も上がります。そこのスクラムワークのところと、フィジカルに戦えるかどうか。ヒートやスピアーズのようなフォワードに外国人が多いチームに対して、どう自分を上手く使えるかというところですね。

――1列目の3人が先発になったりリザーブになったり、そっくり入れ替わったりしていますが、やっている方としてはどうですか?

やりづらいということはないですし、それが効果的になっていると思います。例えばフロントローの中でも相性が良い選手があると思うので、そこで1番だけとか3番だけが変わるよりは1列目で変えた方がスクラムのコネクションは上がると思いますし、その方がフレッシュですよね。昨シーズンは1番だけとか2番だけとか変わる時もありましたが、フロントローは疲れていると思うので、そこで一気に変えた方が流れが変わりやすいかなと思います。

――目指すところは何ですか?

優勝は絶対に目指すところです。そのために、どれだけ勝ちたい気持ちを出せるかだと思います。ハングリーなところがなくなれば、サンゴリアスじゃないと思うので、やはりどれだけみんなが勝ちたいと思えるかですよね。簡単に負けているようではプライドも何もないので、プライドを持って勝ちたいと思うかだと思います。

――サンゴリアスに加わって、2年目から出て4試合、3年目8試合、4年目の今シーズン6試合。出場試合数については?

気持ちとしては、もちろん全試合に出たいですよね。今まで出場試合数はあまり気にしていなかったんですけれど、やっている以上はもちろん全試合に出場したいですし、全部の試合で2番のジャージを着たいです。ですがフィニッシャーとなったら、しっかりと自分の役割を果たしたいと思っています。

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◆ちゃんとしなきゃいけない

――2年目のブレイブルーパス戦がいちばん印象的とのことですが、それはなぜですか?

初めてサンゴリアスのジャージを着たシーズンでしたし、そしてそれまで5分くらいしか出場がなかったんですが、ブレイブルーパス戦で初めて20分くらい出場できて、そこでスクラムも良かったですし、トライも取って、僕のパスからコバケン(小林賢太)がゲインしたシーンもありました。自分の良さが初めて出せた試合だったと思います。

――それを超える試合はありますか?

難しいな・・・(笑)。その時から比べて、間違いなくスキルが上がっていますし、スクラムワークもスタンダードはその時の試合よりも上がっています。もうその時の試合は超えているかもしれないですね。その中で印象に残っているのが、その時のブレイブルーパス戦ということです。

――今シーズン中にその時を超える印象に残る試合を作って欲しいと思いますが、いかがでしょう

今シーズンは開幕戦でメンバーに入って、僕のパスでトライに繋がったので、その試合は印象に残っていますね。リーグワンになって開幕戦で試合をしたことがなかったですし。

――残りの試合でその試合を超えられそうですか?

超えるんじゃないですか(笑)。超えないとマズイと思っています。

――落ち着きが出たように感じますが、いかがでしょう?

おっさんになったんじゃないですかね(笑)、

――悪い意味じゃなくて、前は気を遣ってニコニコしていた印象でした。今はそういうところがなくて、素の自分を出しているように感じます

どうなんですかね。もう今年30歳ですから(笑)。年下の選手が多くなりました。チームに加わった時は年上の選手が多かったので、とりあえずニコニコしていたのかもしれません(笑)。ブスっとしているよりは愛嬌ある方が良いじゃないですか(笑)。僕らがちょうど真ん中くらいの世代になったので、ちゃんとしなきゃいけないところはありつつ、まだ先輩にご飯に連れて行ってもらっています(笑)。後輩をご飯に連れていくこともあります。

――それでちょっと落ち着いた感じが出ているのかもしれないですね

そうなんですかね。でもそれって、他の人に言ってもらわないと分からないことですよね。今後もそういうことを言ってください、自分で気づけていないので(笑)。

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(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

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