2026年3月20日
#1006 髙本 幹也 『アタックするマインドがみんなに』
間もなくサンゴリアス50キャップに到達する髙本選手。25歳の誕生日を迎えたばかりの10番に、成長のベースとなっている心境を訊きました。(取材日:2026年3月中旬)
◆考え方が変わりました
――東芝戦、キックが抜群に良かったですね
キックは元から得意でしたし、普段から練習もしていますので、試合で良いキックを蹴ることができたと思います。良かったと思います。
――これまではたまに悪い時もあったりしましたが
もちろんミスもあります(笑)。
――ゴールキックを蹴らなくなった分、プレーに集中できているんですか?
それもあるとは思うんですが、そこは切り離して考えています。
――再びゴールキックも蹴るようになりたいですか?
いずれはそうですね。行ける場面が来れば、蹴りたいと思っています。
――サンゴリアスに入ってからずっと試合に出ていて、今シーズンは1試合メンバー外になりましたが、今シーズン、成長している手応えは?
そうですね。昨シーズンも最後の方に調子を崩してしまって、リザーブに入ったりしました。今シーズンも最初は調子が悪いというか、あまり上手くいっていなくてメンバーから外れました。その時に考え方が変わりました。どこかでラグビーを楽しめていなかったなと思ったので、チームのやるべきことはあるんですが、その前にしっかりとラグビーを楽しんでやろうと思いました。
――それは発見ですね
発見です。
◆グラウンドに出て、見る
――そう思えて、どういうふうに楽しんでやれるようになったんですか?
スペースを見るのは得意な方なので、スペースに対して自分からアタックしていくということが、僕の中でのアグレッシブ・アタッキング・ラグビーであり、最近はそこが上手くいっています。そして負けたくないという気持ちで試合をしています。
――それは、いろんなチームの試合を見るということも、繋がっていますか?
そうですね。1週間通して相手の試合を見ますし、海外の試合も見ます。けれど、グラウンドに出て判断するのは自分なので、やっぱりグラウンドに出て、見ることがいちばんですね。
――今日は見えやすい、あるいは見えにくいということはあるんですか?
ありますね。今はそうでもないんですけれど、以前はミスが続くとネガティブになって、消極的なプレー選択をしたり、どんどん視野が狭くなってしまっていました。今シーズンはミスをしても、気にしないということではないですが、しっかりと気持ちを切り替えて、いま必要なこと、オプション選択やスペースを見て、アタックするようにしています。
――そういう時、もともとの性格的は保守的なんですか?挑戦的なんですか?
それこそメンバーから外れる前は、ミスしたりチームがプレッシャーを受けている時のプレー選択は。保守的でした。いまはミスをしていてもしていなくても、フラットに考えて、どちらの選択が正しいかを考えるようにしています。
◆僕のせい
――試合は10番が良ければ勝つことが多いですよね
9番、10番が良ければ勝つと言われますね。
――そのプレッシャーがあったから楽しめていなかったんじゃないですか?
それもあるかもしれませんね。もっと責任を持ってやった方が良かったと思います。
――責任をすべて背負い込んでしまった方が良かったと?
そっちの方が良かったんじゃないかなと思います。どこかで他人のせいにしたりしていたのかもしれません。そうではなくて、チームが負ければ僕のせい、アタックできなければ僕のせい、そういう気持ちで行った方が良いと思いましたし、後からここが良くなかったよね、アタックできなかったよねと言われるくらいだったら、思い切ってアタックしようと思います。
――開き直ったということですか?
それもそうですね。それに近いかもしれません。とにかくアタックして楽しもうという気持ちに、切り替わりました。
――楽しもうという気持ちはいつ以来ですか?
リーグワンに入って、ファースト・キャップの時はとても楽しかったんですけれど、やっぱり負ける試合もあって、そういうところから段々崩れていって、ラグビー自体は楽しくて練習も楽しかったですし試合も楽しかったんですけれど、100%楽しめていなかったなと、メンバーを外れた時に思いました。
――その時は相当考えたんですね
相当落ち込みましたね。
――そこから這い上がって開き直って、改めていまラグビーのどこが面白いですか?
やっぱり僕はアタックが好きなので、アタックする楽しさ。最近はチームのトライ数も増えていますし、ボールを動かしているところは間違えていないですし、アシストする回数も増えて、ボールタッチの回数も増えて、ラグビーを楽しめていると感じています。
◆引きずらない
――プレーを見ていて、パスもキックと同じくらい正確で、速さも増していて、磨きがかかっているように感じます
そうですね。パスとキックは割とミスしない方だと思います。磨きがかかっているように見えるのは、味方とのコミュニケーションが上手くいっているからだと思います。スキル自体はそこまで伸びたとは思っていないですね。
――開き直った10番が率いる、今のチームの状況はどうですか?
とても良いと思います。ずっとアグレッシブ・アタッキング・ラグビーを言われていますけれど、特にアタックするマインドがみんなにあって、それに対してみんなのスキルも追いついてきていると思うので、どこからでも攻めることができていると思います。
――その中で三菱重工相模原ダイナボアーズ戦の敗戦はどうだったんですか?
僕の10番からの視点で言えば、相手のラグビーテンポに合わせちゃったなと反省しています。
――受けてしまったということですか?
そうですね。それと僕たちは速いテンポが得意ですけれど、ゆっくり時間が流れてしまったということがありました。
――そこもかなり反省しましたか?
めちゃくちゃ反省しました。でも以前は負けた時は誰とも話したくないくらい悔しかったんですけれど、今は開き直ったわけじゃないですけれど、しっかりと反省して、次の試合に対して良い準備をする。引きずらないようにしています。

◆優勝できる手応え
――日本代表についてはどうですか?
もちろん日本代表に入りたいですし、ワールドカップにも出たいですし、目標はたくさんあります。
――いま自分が目標にしている姿と比べて、どの辺まで来ていますか?
自分が目標としている姿が、日本代表に合っているかは分かりませんが、リーグワンでチームを優勝させる10番になることが必要な条件なんじゃないかなと思っています。しっかりとリーグワンで優勝して、その後に日本代表に選出されて、ステップアップしていければ良いなと思っています。
――今シーズン、優勝への手応えは?
全チームと一通り試合をしたので、優勝できる手応えは、もちろんあります。
――そのためには何が大事になりますか?
やっぱりシンプルかもしれませんが、規律のところですかね。無駄なペナルティーをしない。あとは、ブレイクダウンをしっかりやることですかね。
――そこに対して10番としては、どんなことができますか?
ユタカさん(流大)とかケイノ(サム・ケイン)もそうですけれど、言ってくれる人がたくさんいるので、僕はどちらかと言えば、各個人に対してこういう動きをして欲しい、バックスだったらこういう動きをして欲しい、フォワードだったらもうちょっとこういうポジションにいてという話をします。
――逆に流選手からこういう10番で、という要求も来るんですか?
ゲームコントロールの部分でユタカさんから試合中にアドバイスをもらうこともたくさんあるので、それは試合中にちゃんと受け入れますし、試合が終わった後も何か気になることがあれば聞くようにしています。
――そこはやっぱり9番、10番ですか?
他の選手にも気になることがあれば聞くようにしています。

◆観え方が変わってきます
――人生の中で影響を受けた人物にハリー・ポッターとプロフィール欄に書いていますけれど、その理由は?
映画なんですけれど、ハリー・ポッターは3~4回観ています。それくらい好きです。めちゃくちゃ面白いなって思って書きました(笑)。
――どこが好きなんですか?
話が難しいんですよ。本で読んだ方が分かりやすいって周りの人は言うんですけれど、僕は本だと読めないので映画で観ています。1回目観た時と2回目観た時では、より内容が理解できて、観え方が変わってきます。それでハマりました。
――噛めば噛むほど味がするみたいな感じですか?
そうですね。めちゃくちゃ面白いです。
――映画はよく観るんですか?
よく観ます。他にはアクション映画とか、サスペンス、あと日本のドラマも観ますし、アニメも観ます。
――物語が好きなんですか?
物語ですかね。1時間10本みたいな連続ドラマみたいなものよりも、2時間1本の映画の方が好きですね。
――それはラグビーの試合でも、結果としてひとつの物語ができたりするんですか?
いや、それはないですね。テレビはあまり面白いと感じなくて見ないんですよ。それだったら自分の好きなものをサブスクで観ています。
――あとプロフィールでは、自分の身体の中で自信のあるパーツを「耳」にしていますね
この餃子耳です。自慢というわけではないんですが、身体のどこかで挙げるとすれば耳ですね。
――どうして餃子耳になっちゃったんですか?
大学1年生の時にタックル練習をし過ぎました。
――勲章みたいなものですか?
そうですね。タックル練習をたくさんした思い出です。
――餃子耳のことを聞かれたことはありますか?
ありますよ。バックスなのに何で?って。体質的にもなりやすいんだと思います。
◆思い切ったアタックとコントロール
――相変わらず練習量は多いんですか?
そうですね。チーム練習が終わった後も残っている方だと思います。
――それをやるためには体力も必要だと思いますが、体力的には何も問題ありませんか?
そうですね。身体は丈夫な方だと思います。
――残りのシーズンの目標は?
リーグ戦はあと7試合ですが、7試合と考えず、まず1試合1試合、1週間で良い準備をして、サンゴリアスの色を出しながら勝っていければ良いなと思います。
――サンゴリアスの色が出たと思う試合はどんな試合ですか?
思い切ってアタックしている時は勝てていると思うので、思い切ったアタックとそれをコントロールするのが10番の役割だと思うので、しっかりとコントロールして良い勝利に導ければと思っています。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]