2026年3月13日
#1005 ギデオン・ランプリング 『秘訣は自分だけのものに』
ニュージーランドからやってきたランプリング選手、愛称ギッズ。初出場で初トライを挙げたギッズの目指すものは?(取材日:2026年3月上旬)
◆とても嬉しい
――ファースト・キャップ、おめでとうございます
ありがとうございます(日本語で)。
――ファースト・キャップ、どんな気持ちですか?
僕も家族も、本当に誇りに思います。クオリティの高いチームで、チームを代表して試合に出られるということは、とても嬉しいことです。
――第2節ではメンバーに入りながらも直前で外れることになりましたね
急な故障で出られなかったことは本当に残念でした。けれど、そこから大事なことは、周りのメンバーのために、いちばんの準備をしてあげることだと思います。チーム・ファーストです。
――ファースト・トライを取った感想は?
最初の試合でトライが取れたことは嬉しいですが、あの時は素早く起き上がって、息を整えることに必死でしたので、あまり意識しませんでした。僕はあまりトライを取らないんですけどね(笑)。
◆みんながリスペクトしている
――初の海外で、日本を選んだ理由は?
海外に出て新しいスタイルのラグビーを経験したいと、ずっと思っていましたし、新しい文化、新しいライフスタイルを経験したいとも思っていました。日本はニュージーランドに近いですし、決断して日本に来られたことは嬉しいことです。日本には本当に良い人が多くて、日本の文化を学ぶことも楽しいです。
――日本がニュージーランドに近いというのは、文化、ラグビー、距離など、どういった部分で近いと感じていましたか?
まず距離的な部分で、フライト1本で帰れるところ。例えばフランスだと乗り換えがあります。サンゴリアスが前向きという話を聞いて、アーロン・クルーデンやダミアン・マッケンジーなどと話をした時に、「とても良いチームだよ」と教えてくれました。それで興味を持ち、僕もチームの一員としてプレーしたいと思いました。チーフスでプレーしている時ですね。
――実際に日本に来てみて、どうですか?
一瞬一瞬を楽しんでいます。完全に新しいライフスタイルで、日本の文化を学び、新しい人に出会い、新しいラグビースタイルを学んで、本当に楽しく過ごせていますし、これからの残りのシーズンも楽しみです。
――日本に来て良かったところはどこですか?
日本の文化で本当に良いなと思うのは、みんながリスペクトしているところです。周りのことをしっかりと気にする、気に掛ける。ニュージーランドとはまた違ったものを感じます。
◆ハードワーク
――ニュージーランドにはリスペクトの文化はないんですか?
ノーノ―、それは違います(笑)。日本は本当に礼儀正しくて、ニュージーランドにも良い人はたくさんいますが、もっとカジュアルで、逆にカジュアル過ぎる時もあります。とても違った文化ですけれど、そういう文化を経験できていることは素晴らしいことだと思います。
――ホームページのプロフィールに「狩りが好き」、「のんびりしている」とあって、自然の中で自由に育ってきたような印象を受けました。子どものころはどんなでしたか?
子どもの頃は、靴を履かずに自転車に乗ってみんなと公園に遊びに行ったりしていました。東京みたいな大都市で、人が多いところにいたわけではありません。ニュージーランドには自然が多いので、狩りはよく行われていることなんです。ニュージーランドのハミルトンという都市で育ったので、都会ですが大きさは府中市のひとつの駅の周辺ぐらいです。
――ラグビーを始めたのは、お父さんがラグビーをやっていたとか?
父親はクラブレベルでしたが、ラグビーをやっていましたし、やっぱりニュージーランドの子どもたちは全員がラグビーをやっています。子どもの頃はラグビーをすることが本当に大好きで、チームメイトと思い出を作ること、新しい友だちを作ること、相手と試合をして仲間意識やラグビーがもたらしてくれるものが、本当に好きなんです。
――ラグビーが自分に合っていると思ったのは?
ここまで来ることができたのは、何かしらの強みがあったからだとは思います(笑)。フィジカルに、強く走りこんでハードにタックルするということが僕の特徴です。
――プロフィールでも「ハードワークして、その過程を楽しむ」と書いていますね
月曜日から土曜日までのビルドアップの過程、1週間やってきたハードワークを、土曜日の試合でチームメイトと色をつけてやるような感じです。それをチームメイトと達成して試合を終えて、そしてチームメイトとビールを飲んで1週間のハードワークを祝って、また次の1週間でハードワークする。
――サントリーを選んで良かったですね
ザ・プレミアム・モルツが好きです(笑)。
◆誇りに思う
――子どもの頃からラグビーをやってきて、どのタイミングでプロになろうと思ったんですか?
高校の最終学年の時に、高校代表に選ばれました。そこから火が灯ったかのように、「これが自分のキャリアになるんじゃないか」と思いました。
――ずっとセンターですか?
僕としては12番が好きですが、チームが求めているポジションであれば、どこでもプレーします。
――日本のドラゴンボールが好きなんですね
ニュージーランドにいる時からよく見ていました。兄弟とともに良い思い出があります。
――好きなキャラクターは?
全てのキャラクターが好きです。久しく見ていないですけれど、兄弟と一緒に見て楽しくて、いま振り返えると良い思い出です。いちばん好きなのはベジータです。
――兄弟は何人ですか?
2人です。兄と弟がいてみんなラグビーをしていましたが、兄はもうプレーしていません。弟はニュージーランドのブルーズでプレーしています。
――結婚はしていますか?
はい、結婚しています。子どもはまだいません。
――家族は日本でのデビューを喜んでくれましたか?
はい、喜んでくれました。両親は「おめでとう」と言っていました。あとは「よくやったね。誇りに思うよ」と言ってくれました。父親はオーストラリアにいて、母親はニウエという小さな島にいるんですが、たぶん試合は見ることができていないと思います。
◆サンゴリアスのテンポ
――ファースト・キャップの試合を振り返って、自分のプレーで良かったところはどこですか?
自分にとってもチームにとっても結構タフな試合で、ひとつはトライラインにボールを置けたこと、そしてチームとしてみんながハードワークしたことによって、そのトライに繋がったと思います。僕は幸運にもボールを置くだけの役だったと思います。
――課題はありますか?
はい、日本のテンポ、特にサンゴリアスのテンポ、アグレッシブ・アタッキング・ラグビー、そしてオフ・ザ・ボールのところでのハードワーク。やはりハードワークして良いポジショニングにいる、スピードを活かして素早い動きをする、そこがメインの課題だと思います。
――その課題を克服するためには?
いまS&Cの見山さん(範泰)とエクストラ・コンディショニングをやっていて、それで自分のコンディショニングを上げていっています。そうすればフィールドで自分のスピードが出せるようになると思います。故障からは強くなって戻ってきた感じです。
――まだまだ上がるということですね
イエス。本当に日本で初めて試合に出場したわけですが、ここから毎試合成長していきたいと思います。
◆フィジカル
――今シーズンの目標は?
良い影響を毎試合生み出せるように、そして80分間続けて出せるようにすること、それが個人の目標ですね。自分の強みを最大限出して、仕事して、それでチームを助けたいと思います。
――最大の強みは?
サイズ、フィジカルのところです。それはアタックでもディフェンスでも両方です。そこが僕の強みだと思いますし、さらに伸ばしていきたいと思っています。
――もう少し先の目標は?
サンゴリアスにいて、今はカテゴリーBの選手ですが、将来はカテゴリーAになって、日本代表の選考対象の選手になりたいと思っています。ただ、先のことばかり考えず、まず1日1日、週ごとにやるべきことをやっていくことが大事だと思っています。
――チームメイトに元オールブラックス(ニュージーランド代表)のサム・ケイン選手がいますが、オールブラックスは目指さないんですか?
それは僕の目標ではありません。日本に来て自分のベストを尽くして、最大限できることをやって、行けるところまで行きたいと思っています。
――サム・ケイン選手はどんな先輩ですか?
とても良い人で、僕やトラスキー(ケレイブ・トラスク)など、日本に来たばかりの選手を見てくれて、このチームに落ち着くように面倒を見てくれています。
――学ぶ部分は?
先輩の選手たちから学ぶことは多くて、特に高いレベルでプレーしてきた選手たちなので、彼らが持っている秘訣などを教えてもらっています。
――その秘訣を会得したら教えてくださいね
それは教えられないですね(笑)。自分だけのものにしておきたいので(笑)。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:木俣俊祐)
[写真:長尾亜紀]