2026年1月 9日
#992 中村 亮土 『やっぱり中村亮土って必要な選手だな』
年明け早々、今シーズン限りでの引退を発表した中村選手。最後のシーズンへ向けての意気込みを改めて聞きました。(取材日:2026年1月上旬)

◆しっかりやり切って終わりたい
――今シーズン限りでの引退をこのタイミングで発表したのはなぜですか?
シーズン前に自分の中で決断できたことと、ファンの方々や今までお世話になった人たちにも、早く知って欲しいという思いがあったので、このタイミングになりました。このタイミングで発表した方が、皆さんが試合を見に来られるかなと思いました。
――ここ何シーズンかは「いつ引退するか分からない」と言っていましたが、シーズン前に決めたのはなぜですか?
タイミングだったと言えばそれに尽きるんですが、次のステップアップがより明確になりました。35歳で引退することになりますが、30代のうちに経験しておきたいことがあったので、このタイミングになりました。
――30代はまだあと5年がありますし、ラグビーは引退したらできなくなってしまいますが、その点についての葛藤はありましたか?
いや、ないですね。ラグビーは辞めたら出来ないということはありますが、逆に人生は続くので、何か次に向けてやっていかないと、楽しい人生が送れないと思います。
――ラグビーはやり切ったということですか?
「やり切った」とは、今年の6月の決勝が終わった後に言いたいなと思います。まだ今シーズンをやり切っていないので、しっかりやり切ってから終わりたいと思っています。

◆上手くなろう、強くなろう
――今シーズンは好調だと思いますが、最後という思いも影響していますか?
自分の中でスッキリした部分はあると思います。ここ2、3年悩んでいたこともあったので、スッキリした気持ちがありますね。
――悩んでいたというのは、いつ辞めるかと言うことですか?
次のステージというか、何をしようかと。30代に入ってから考え始めていたので、その辺が今シーズンは割り切れて、ラグビーに集中できる部分もあります。本当にやり切るだけということになるので、そういう意味ではスッキリしています。
――スッキリすると、身体が動くし周りがよく見えるということはありませんか?
いやー、どうなんですかね。やっぱりマインドのところでスッキリしたのと、もう一度プレシーズンから地道なトレーニングを続けてきたこと、あとコーチやS&C、トレーナーにいろいろなところ、僕が成長する、向上する上で大切なところをサポートしてもらって、貪欲に上手くなろう、強くなろうと求めてきたところは、特に今シーズンは強かったですね。
――いつ辞めようが常に全力ということでしょうか?
プロである以上、それは常にあるべきだと思いますし、昨シーズンの結果が、僕のパフォーマンスもチームもよくありませんでした。今シーズンはもう一度、より自分にフォーカス向けて、いち選手として成長したいと思いましたし、トップの選手になりたいともう一度思ったので、そこは自分に目を向けてやっていました。
――今シーズンはプレシーズンマッチでの動きも良く、開幕してからもトライを取り、キックも頼りになっていて、自分としては絶好調ですか?
いや、特別なことはしていなくて、僕の感覚で言うと、もっと試合に出たいですし、もっとチームに貢献したいです。開幕からフィニッシャーの役割を任されて、時間が少ない中で自分の仕事をやり切るということがあったので、短い中で頑張ってはいましたけれど、正直、もっとやりたいという思いはあります。
――あくまでも、今シーズンで辞めようが貪欲であるということですね
ラグビーに関しては、辞めようが辞めまいが関係ないと、今までも常に思っていました。それがたまたま今シーズンで辞めるということです。

◆大きな人間に
――ホームページのプロフィールのラグビー選手になるために意識したこと、努力したことについて、「5年後、10年後の自分を想像しながら練習」と書いています。今もそれをイメージしているんですか?
ありますね。
――次に何をやるかはこの場ではなく、時が来たら改めて聞きたいと思いますが、中村選手は描いて実現していく、という生き方なんですね
そうですね。やっぱり目標はあります。目標というか、こういう人物、こういう人間になりたいという理想像があります。それに対して、1日1日自分に目を向けて、日々成長していくという感じです。
――現状ではどの辺までいっているんですか?例えば、まずラグビーでは?
成長が止まらないで、来てはいると思います。
――ファンはもっと成長を見たいですよ
はい、そうっすよね(笑)。
――人生で言えば、今は半分くらいですか?
ラグビーをやっていた中で、僕の人間性とか幹の部分は出来たと思うんですけれど、やっぱりラグビーをやっていて教えてもらったいろいろなことをベースにしつつ、また新しい刺激をもらいながら、人間としてもう一歩、もう二歩、大きな人間に成長したいと思っています。
――ラグビーのマインドやキャプテンシップなど、別のことをやる上でも相当使えるんじゃないですか?
使えると思います。ラグビーは本当に良いスポーツだと思っていて、だからラグビーに恩返ししたいですし、ラグビーで出来ることをやりたいと思っています。だからこそ一度離れてみる、選手を引退するということになります。

◆目を背けてはいけない負け
――今シーズンは第3節までを終え2勝1敗で、昨シーズンと比べるとかなり良いと思いますが、第3節ではサンゴリアス史上最多失点という試合でした。それについてはどうですか?
間違いなく自分たちが目を背けてはいけない負けだと思います。本当に今の現状であり、チームにとっては重い結果ですけれど、受け止めないといけないところですし、試合は続いていくので、そこにも目を向けながら逃げずに立ち向かいながら、自分たちの強みを忘れずにラグビーし続けること。あのような結果になりましたが、自分たちはあそこまで負けるチームじゃないですし、絶対に勝てる。そこは信じて、自信を持ってやっていかなければいけないと思います。
――新しい年を迎えて、みんなグラウンドに集まりました
もう切り替えていると思います。次の神戸戦に向けて、しっかりとみんなでフォーカスポイントを明確にしてやっています。
――目標は変わりませんか?
変わらないですね。
――個人的には?
チームに貢献し続けることですね。試合に出ないといけないと思っています。
――出来れば先発で?
長い方が良いと思います。時間はあればあるほど。

――成長し続ける姿は、あと十何試合で見ることができなくなってしまいます。ファンに人たちにはどこを見て欲しいですか?
やっぱりサンゴリアスのアグレッシブ・アタッキング・ラグビーをする中で、「やっぱり中村亮土って必要な選手だな」って思われる選手ではありたいですね。
――そういう選手はファンにとっては辞めて欲しくないですよね
そう思ってもらえるようなシーズンにしたいです。

(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]