2025年12月26日
#990 安田 昂平 『やったろう』
デビュー戦のファーストタッチでファーストトライを成し遂げた安田選手。なによりもチームメイトたちが、自分のこと以上に喜んでいる笑顔が印象的でした。(取材日:2025年12月下旬)

◆緊張していた
――トヨタヴェルブリッツ戦、ファーストタッチ、ファーストトライ、おめでとうございます!チームメイトみんなも盛り上がってましたね
ありがとうございます。緊張していたんですけれど、ファーストタッチで良いボールが来たので、取り切れて良かったというのが率直な感想です。
――試合に出たらトライを取ってやろうと思っていましたか?
はい、もちろん。「やったろう」って思っていましたが、後半の最初の20分くらいで出るのかなと思っていたら、試合の内容がタイトだったので、「出場はあるかな、ないかな」と少し気持ちがグラついていました(笑)。けれど、試合に出たら「やったろう」って思っていました。
――どのタイミングまで緊張していましたか?
初めはまったく緊張していなくて、後半20分の時も緊張はしなかったんですけれど、亮土さん(中村)が出て、健太さん(福田)も出て、バックスでもフォワードでも僕が残り1人になって、その時にちょっと緊張しました。

――緊張していたとは言え、ステップでディフェンスをかわしてトライを取りましたが、冷静に見ることが出来ていたんですか?
幹也さん(髙本)からめっちゃ良いパスが来ていたので、パスが浮いている最中に内側から猛スピードで来ている相手選手が見えました。「これはヤバいな」と思って、相手のことが視野に入っていたので、止まることが出来ました。
――ディフェンスに意識を向けるとボールを落としたりすることもありますが、そこは大丈夫なんですか?
それもあると思います(笑)。
――常に内側も意識するようにしているんですか?
意識しているというよりは、ずっとウイングをやっているので癖じゃないですけれど、必然的に目に入りましたね。
――試合後のチームメイトの盛り上がりもありましたが、その後も友人やご家族などから連絡はありましたか?
そうですね。僕の周りはあまりラグビーを見ている人がいないんです(笑)。両親もラグビーをやっていたわけでもなく、兄もラグビーをやっているわけではないので、「おめでとう」というメッセージは来ましたが、サンゴリアスのインスタグラムであげていただいた動画が拡散されたのを見て、それで連絡をくれたようです。家族は分かってくれていると思うんですが、僕の友だちや周りの人は「なんかやったんだな」くらいの感じだと思います。

◆勢いをつけ、流れを変える
――プレシーズンから良い調子で来ていたと思いますが、デビューは自分がイメージしていた通りのタイミングでしたか?
あわよくば「開幕戦で出られたら良いな」という感覚ではありました。チームとして開幕戦は固く行くとは聞いていたので、その中でメンバーに選ばれれば良いなとは思っていましたが、それはありませんでした。第2節のホスト開幕戦の時には出たかったんですけれど、初めはメンバーに入っていなくて、直前でいろいろとメンバー変更がありましたが、年内の3戦のうちのどれかには出られたら良いなと思っていました。
――そのターゲットはクリアして、この後の目標は?
もちろんスタメンに定着したいという思いはありますが、まずはフィニッシャーとしてリザーブからの出場機会が増えると思うので、チームに勢いをつけられるような、流れを変えられるようなインパクトのあるリザーブになれたら良いなと思っています。あと11番や14番でスタメンで出られたら、しっかりとスタメンの役割を全うしたいと思っています。
――調子自体は上がっていますか?
上がっていると思います。
――ということは、過去のラグビー人生の中で最高の状態ということですか?
はい。サンゴリアスに来て周りのレベルも上がってきて、昨シーズンではSSS(トリプルエス/試合メンバー外のグループ)で、言い方は良くないかもしれませんが、リーグワンに出場するメンバーの選手たちとはずっと練習が出来ていなくて、トレーニングマッチでも試合メンバーの選手とは一緒に試合が出来ていませんでした。今シーズンのプレシーズンはそういうグループはなく、みんな同じトレーニングをするので、その緊張感だったり、会場での注目度だったりが変わってきて、いろいろな面で高いレベルでプレー出来たことが、今に効いているのかなと思います。

◆大きくなろう
――今の課題は何ですか?
まだフィジカル面で身体が細くて、ウイングは外国人選手が多いので、当たり負けしてしまうところがあると思います。
――強くなりたいという意識が高いと思うんですが、それはどこから来ていますか?
ラグビーは関係ないんですけれど、男として生物的に強くなりたいなと(笑)。
――生物的にはまだ弱いと思っているんですか?
そうですね、細いので。
――細いのは昔からですか?
昔からです。それで大きくなろうとしています。
――それはトレーニングですか?食事ですか?
両方ですね。けれど、ウエイトトレーニングの割合の方が大きいかもしれません。
――ホームページのプロフィールのマイブーム・趣味のところに「楽しくお酒を飲む事」と書いていますが、それも大人の男になりたいみたいなことなんですか?
いや、そういうわけではないですけど(笑)。仕事でも飲む機会が多いので、必然的に好きになったという感じです。
――あと面白いと思ったのが、今いちばん欲しいものに「素敵な石」と書いていますね
パワーストーンって良いっていうじゃないですか(笑)。僕の部屋にずっと綺麗な石が置いてあって、母親が好きなんですが僕も小さい頃は集めていて、趣味というわけではなかったんですけれど、それがずっと期間が空いていて、社会人になって今欲しいものと言われた時に、ふと思い出したんです。何か良い石があればと思って書きました。

◆写真を一緒に撮ろうや
――試合が終わった後に尾﨑晟也選手とふたりで写真を撮っていましたが、学ぶべき先輩ですか?
学ぶべき先輩ですね。僕がラグビーをやってきた中で、とても素晴らしいと思うウイングですね。
――練習でもいろいろと教えてもらっているんですか?
はい、めちゃくちゃ。僕は結構、感覚でやっちゃうんですけれど、そういう人間が考えてラグビーをすると「うわー」ってなっちゃうんですよ。だから身体に任せているんですけれど(笑)、晟也さん(尾﨑)はぜんぶが理にかなった動き方をしていて、タイミングだったりキックだったりランだったり、素晴らしいなって思いますね。
――考えすぎると「うわー」ってなるというのは、どんな感覚ですか?
考えちゃうと、遅れちゃう感覚ですね。
――そういうところのヒントをもらっているんですか?
練習をやっている時とかユニットで分かれている時とかは、頻繁に教えてもらいます。
――注意の仕方とか先の読み方とか?
そういう部分もそうですし、キックで上手くいっていなかったら、すぐにパッと正してくれるというか、教える能力がめちゃくちゃ高いと思います。
――育てようとしてくれている感じがしますね
そうですね、そう思ってくれているかはわからないですけれど(笑)。いろいろなことを教えてくれますし、すぐに実践できるようなアドバイスをしてくれるので、有難いです。
――第2節の後もありましたか?
あの試合はちょっと出てトライを取っただけなので、そんなにアドバイスはなかったんですけれど、「写真を一緒に撮ろうや」って言ってくれて、初キャップを取れた試合で一緒にプレーが出来て嬉しかったです。
◆ウイングとしてトライを取り切る
――今後の目標は?
このチームで日本一になることが目標なので、しっかりと試合に出続けて結果を残して、日本一に貢献できるようなシーズンにしたいと思っています。
――開幕2連勝で良いスタートを切ったと思うんですが、自分の中に日本一になるぞという盛り上がりはありますか?
いや、まだ特にないです(笑)。素晴らしいことなのは、わかっているんですが。
――トライはこれからも取っていきたいですか?
そうですね、ウイングとして、毎試合。
――これからファンの皆さんに注目して欲しいところは?
ウイングとしてトライを取り切るところと、ランニングだったりハイボールには自信があるので、そういう部分を見ていただければと思います。
――ラグビー人生で最高の状態で、今ラグビーをしていていちばん楽しい時は?
トライを取った時と、試合に勝利した時にみんなが喜んで、最後にチームソングを歌っている時です。
――トヨタ戦ではすべて達成しましたね
はい。それを毎試合続けて出来るのが、理想だと思っています。

(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]