SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2025年12月19日

#989 イザヤ プニヴァイ 『いちばんのセンターになりたい』

ここ2シーズン、ほぼ試合に出続けているプニヴァイ選手。今期開幕戦でもアグレッシブさを発揮した、そのプレーの源に迫りました。(取材日:2025年12月中旬)

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◆取り返さなければ

――開幕戦のリコー戦、キックチャージをした瞬間を目の当たりにして、強力なアグレッシブさを感じましたが、自分自身では?

(日本語で)ありがとうございます(笑)。まず良く言ってくださり、ありがとうございます。試合の中で良かったところのひとつではあると思います。特にあの一瞬のところでは、トライを取ることと同じくらい良かったと思いますが、その前のキックのところで良くないところがあったので、取り返さなければという気持ちがありました。それがあぁいうプレーに繋がったと思います。

――チャージを見事に決めた経験は、これまで結構ありますか?

初めてではなかったです。どの試合で出来たかは分かりませんが、初めてではないですね。弾いたりとかは何回かありますが、クリーンチャージは少ないですね。今回、試合の序盤で同じ10番の選手にチャージに行ったけれども外したので、最後にチャージできて良かったです(笑)。

――後半、相当息が上がっているシーンもありましたが、ハードワークし続けたということでしょうか

昨シーズン以来の、ちゃんとした80分間のプレーでした。良いか悪いか分かりませんが、プレシーズンでは40分以上は試合に出ていなかったので、まず80分間をやり通して、自分のスタンダードを80分間出そうということを意識していました。

――昨シーズンはフル出場が多かったと思いますが、今シーズンもフィットネス的には不安はありませんか?

今回80分間プレーしたことで、また自信がついたところではあります。でまた昨シーズンと同じような感覚に、今週戻ってきているかなと。プレシーズンでは、少し怪我があって、メンタル的な部分もありますが、出場時間や試合数に影響がありました。その後しっかりと練習にも取り組めて、今回80分間プレー出来たので、ここから良い形に持って行ければと思っています。そして80分間試合に出続けること以上に、ひとつひとつのプレーをアグレッシブにということを目指しています。

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◆我慢強く繋がって戦い続ける

――この開幕戦はチームにとって、とても大事な試合だったと思いますが、チームの雰囲気はどうでしたか?

開幕戦は常に大事ですし、昨シーズンとは全く違う形でした。昨シーズンのスタートの仕方はシーズンを通して大きく影響しました。今シーズン最初の試合で勝利を掴めたということは、大きな変化だと思いますし、月曜日にクラブハウスに戻ってきた時のみんなの表情やエナジーがとても良かったので、このエネルギーをシーズンを通して持って行けるんじゃないかなと思います。

――グラウンドに出てプレーをしてみて、昨シーズンと違うと感じる部分はありましたか?

最後の15分、20分くらいまでは、あまり変わりはなかったと思います。昨シーズンの開幕戦はこっちが点を取ったら相手も点を取ってを繰り返しましたが、今シーズンも特に前半は似たような感じで、後半の15分、20分くらいまでは取り合いの形になりました。でも、僕らがしっかりと我慢強く繋がって、試合に勝つには最後の80分まで戦い続けることが大事と、みんながわかっていました。

――今シーズンはなぜそこで我慢が出来たと思いますか?

コアになる大事な選手たち、リーダー陣が同じということもあると思いますし、それに攻撃においてチャレンジするということに自信もありましたし、自分たちのサイクルを遂行する自信がありました。昨シーズンの開幕戦はパナソニックからプレッシャーを感じて自分たちの殻にこもってしまって、最後のパスやスペースに対してのキックを、少し恐れてしまったところがあったと思います。昨シーズンは僕らが求めているラグビーの形を、80分間通して出来なかったと思います。

今シーズンは長年ずっとここにいる人もプレシーズンにもいて、しっかりとみんなで繋がっているという雰囲気があります。そこはひとりひとり信じてやることが大事ですし、今後もし上手くいかない時には、どれだけ自分たちを信じて出来るかだと思います。

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◆楽しいからやっている

――良いリーダー陣がいる中で、プニヴァイ選手もリーダーシップを発揮していますか?

全員がリーダーシップを出さないといけないと思いますし、僕はニュージーランドから来て、みんなとは少し違うラグビーの見方であったり、提供できるもの、貢献できることが皆と少し違うのかなと思います。ですので、そういう部分でも引っ張れると思います。

――ラグビーを楽しむという部分でも引っ張れるんじゃないですか?

それはラグビーにおいてはとても大事なところだと思っていて、ラグビーは楽しいからやっているんです。みんなラグビーを始めたきっかけは楽しいから、好きだからだと思いますが、引退した選手と話をすると、中には楽しめ切れなかったという人もいます。完璧を求めて結果にとてもこだわり、そこに注力してしまい、実際にキャリアを終えた時に、あまり楽しめなかったという人もいました。もちろん毎試合勝ちたいですし、毎週成長したいですし、でも楽しむということを忘れてしまうと、結果的にもっと難しくなると思います。

――それはもともとの性格ですか?それともどこかで気づいたことですか?

高校時代、ニュージーランドのU20などでやっている中で、プロとしてやろうとした時に、結果にすべてを注力してしまうと上手くい来ませんでした。最終的にはラグビーをするのは人なので、ラグビーだけがすべてではなくて、ラグビー以外の生活が僕らにはあって、自分がどういう人なのか、ラグビー以外のところでも何があるのかということが大事だと思います。それがわかることによってラグビーのことも楽しめるし、ラグビーだけがすべてではないということです。

――それはずっと前から考えていたことですか?

高校やU20の頃は、プロであることやラグビーだけを意識していましたが、その後になって、特にクルセイダーズの時に、そこがラグビーだけじゃなく人としての成長を促してくれる環境だったので、それから楽しむことを意識しました。

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◆ラグビーをするのが好きでチャレンジすることも好き

――「自分の身体の中でいちばん自信のあるパーツ=心」「ファンの皆さんは私たちの心臓の鼓動そのもの」というコメントがありますが、プニヴァイ選手にとって心とは何ですか?

やっぱりラグビーをするのが好きで、チャレンジすることも好きですし、サンゴリアスのスピリッツも正にそうですし、ファンにとってもとても大事なものでもあると思います。ファンの存在は大切で、こういう環境でラグビーが出来るというのは本当に光栄ですし、みんなからの期待でプレッシャーはありますが、それを自分のパフォーマンスをしなきゃと思ってプレーするのか、チームの歴史もあり、ファンのためにも自分たちのスピリッツを発揮することを光栄に思ってやるのかでは、違ってくると思います。

――なぜ心が大事だということに気がついたんですか?

言葉にすることは難しいのですが、やっぱり自分がどういう存在であるか、ということだと思います。このチームには良いハートを持った選手が多いので、どれだけみんなで頑張って前に行きたいのか、進んでいきたいのか、そして自分にも良いハートがあるのか。家族のためにとか、代表になりたいとか、ひとりひとり違った理由があると思いますが、しんどい状況になってもチームのために頑張れるハートが大切です。

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――楽しんだり優しかったり冷静だったり、でもプレーになるとアグレッシブになる。そういう心を持っているのは、ご両親の教育によるものですか?

今の自分があるのは、両親の影響が大きいと思います。父親はいちばんハードワークをする人ですし、ハードワークすればその分結果が得られるということを教えてもらいました。母親もハードワーカーで、子どもを5人も育てて、ハードワークするけれどそれだけに捉われるのではなく、感情や楽しむというところとのバランスですね。ちゃんとやることがあって、それを楽しんでいないのなら、なぜそれをやるのかという、そこのバランスだと思います。

――心のバランスを崩す時もありますか?

僕も完ぺきではないので、フィアンセには弱いです(笑)。

――それ以外はほぼバランスが取れているということですか?

感情的になっている時には、それを認識しています。ひとつひとつに真剣になり過ぎてしまっていたら、自分がどうなっているかに気づいて、自分を元に戻そうとしています。コーチ陣、チームメイト、両親、良い人たちに囲まれているので、仮に僕が踏み外しても助けてくれる人が周りにいます。

――将来は良いキャプテンになりそうですね

もし自分にそういう役割が回ってきたのであれば、そしてこんなに素晴らしいクラブでキャプテンを任されるようなことがあれば、自分の出せる最大限を出してしっかりと引っ張っていきたいと思います。

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◆トリプルスレッドの選手

――開幕戦でプレーして自分の良かったところと、改善すべき課題を教えてください

チャージに関してはなるべく早いタイミングで良いところに入って、そこは良かったところかなと思います。課題としては、コリジョンのところで、アタックでもディフェンスでも両方でもっと良いプレーが出来ると思います。開幕戦の試合よりもこれからもっと出来ると思っているので、それが次の自分のフォーカスになります。

――今シーズンの目標は?

昨シーズンも同じ目標を掲げていたんですが、リーグワンの中でいちばんのセンターになりたいですね。まずそれをするためには、サンゴリアスでいちばんのセンターにならないといけません。昨シーズンはそれが達成できなかったと思うので、今シーズンはそうなりたいと思います。大きい目標を立てることは良いことだと思いますが、しっかりと段階を踏んでいくことが大事だと思います。

――そうなるための自信のほどは?

そこは自信があります。もちろんシーズンは長いですが、改善点を直していかなければいけません。

――先ほど挙げた改善点を直せば、ナンバーワンのセンターになれますか?

それだけではないですね。今まで見てきたベストなセンターは、マア・ノヌーやソニービル・ウィリアムズなど、アタックの時にランもパスもキックも出来るというトリプルスレッドの選手。コンラッド・スミスはディフェンスでの賢さを持っていて、試合をしっかりと読んでプレーしています。代表クラスのセンターの選手もいるし、とても競争の激しいポジションで、チームで100試合に出場している選手もいます。ひとつを改善してなれるようなポジションではないですね。

――以前はキックを課題にしていましたが、キックは良くなってきましたか?

サンゴリアスに来た時には最初はまったく蹴れなくて、その時と比べたら成長はしたと思いますが、まだキックマスターにはなっていないと思います。

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――全てのレベルを上げたいという気持ちが伝わってきましたが、ファンの皆さんに、ここに注目して欲しいというポイントは?

僕が笑っているということは良いプレーをしているということだと思うので、笑顔ですかね(笑)。僕のチームでの役割はフィジカルを出すところなので、しっかりと声を張って、もちろんハードワークをするところもそうですね。

(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:木俣俊祐)
[写真:長尾亜紀]

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