2025年10月10日
#979 テビタ タタフ 『満員のスタジアムでラグビーを』
フランスでの2シーズンを体験し、日本に、サンゴリアスに帰ってきたタタフ選手。元気な笑顔で、日本語で、インタビューに応えてくれました。(取材日:2025年9月下旬)
◆自分の強みのフィジカルで行く
――2年ぶりのスピリッツ・オブ・サンゴリアスですね。身体も大きくなり過ぎず良い状態ですか?
そうですね。フランスでは普通に食べていましたが、試合回数が日本よりも多いですね。2倍くらい試合数があります。
――そうすると、身体も締まってくるんですか?
普通にしていたら、向こうでは体重が落ちていきます。
――そういう意味でもフランスに行った甲斐がありましたか?
そうですね。フランスのチームからオファーがあって、自分も日本を出て違う国のラグビーでチャレンジしたかったんです。
――フランス1年目はかなり活躍していましたね
自分の強みを出したら、そういう結果になりました。
――日本以上にパフォーマンスが出せていたんじゃないですか?
そうですかね(笑)。
――日本での最後のインタビューで「どんどん前に行きたい。相手が来てもとにかく進みたい。でもたまに相手が来ると逸れてしまう」と言っていましたが、フランスではどんどん前に行っていたんですね
フランスではどこに逃げても、みんな身体が大きいので、フィジカルで勝負するしかないんです。そしてフィジカルでも勝てていたと思います。
――なぜそんなに強くなったんですか?
分からないです(笑)。とにかく自分の強みのフィジカルでいくこと。そして試合の時に発揮するという感じです。
◆123kg
――コンディショニングが良かったんですね
良かったです。練習後のリカバリーなどですね。向こうの練習は楽ではありませんが、キツい練習を短い時間でやるという感じでした。試合が終わった翌週の練習は、1日目はリカバリーと少し身体を動かします。あとはウォーキングでサインプレーの確認をする。その翌日は、前日にやったサインプレーをジョグギングでやります。3日目にはスピードとフィジカルトレーニングが入ってきて、それを短い時間でやって、終わりです。4日目はオフで、5日目にはチームランチをして試合を迎えます。
――では、本当にハードは練習は1日だけなんですね
はい、そうです。
――それで試合数が多いのが、タタフ選手に合っていたということですか?
はい、そうですね。
――フランスでは体重は何キロくらいでしたか?
123kgくらいですね。向こうのラグビーは、リヨンみたいにスピーディにたくさん走るという感じではなく、スピーディな時もありますがゆっくりなことが多いですね。それでフィジカル勝負をするというラグビーです。
――2年目は怪我をしたんですか?
2年目は日本代表で怪我をしてチームに戻って、治ってシーズンインしたんですが、試合でまた怪我してしまい、手術をしました。
――2年目は何試合出場したんですか?
5試合くらいですかね。シーズン終盤もあまり状態が良くなくて、練習に入ってまた痛くなってということもありました。
――今はどうですか?
今はぜんぜん大丈夫です。フランスでの状態と比べたらとても良いですよ。痛みもありません。
◆40歳くらいまでやりたい
――フランスに行く前にまた日本に戻ってきたいと言っていましたが、フランスでの2年でやりたいことは出来ましたか?
自分のチャレンジであるフィジカルも出せたと思います。
――フランスから日本に持ち帰ってきたものは何ですか?
フィジカルのところは日本でも出していきたいですね。
――今年29歳ですが、若い頃と変わりませんか?
ラグビーに関しては変わらないですね。
――普段の生活の中では歳を取ったと感じることがあるんですか?
次は30歳ですからね。でも、ラグビーは40歳くらいまでやりたいですね。
――フランスで改めてラグビーは面白いと思ったところはどこですか?
お客さんが満員のスタジアムでラグビーをすることが面白いと思いましたね。プレーしていてサインプレーのコールが聞こえないんですよ。本当に大きい声で言わないと聞こえないんです。フランスに行って本当にびっくりしました。こんなに人が集まるのかって。
――日本でもその状況にしたいですね
本当にしたいですね。満員のお客さんでコールが聞こえない状況を味わいたいです。
◆サンゴリアスで優勝したい
――フランスに行く前から日本で優勝したいと言っていましたが、なかなか優勝できません。フランスで見ていてどんな気持ちでしたか?
落ち込んでいました(笑)。何してんの?どうしたの?って。たまにみんなと連絡を取ったり、インスタグラムで見たりしていました。
――サンゴリアスに帰ってきてどうですか?
楽しいですし、また戻って来られて嬉しかったですね。
――フランスに行く時とはメンバーも変わりましたね
前と違って、今は新しいメンバーが多いですね。前に一緒にプレーしたメンバーの方が少ないですね。
――今シーズンは行けそうですか?
行けると思います。
――今シーズンこんなことをやりたいなどの目標は?
いちばんはサンゴリアスで優勝したいということです。最初に入った時も優勝できていないので優勝したいです。あとは自分の強みを出してチームに貢献したいです。
――フランスに行く前から、またサンゴリアスに戻るつもりだったんですか?
その時はまだ考えていませんでした。1年目の時にボルドーが契約更新の話をしてきて、そこでどうするかを考えました。リーグワンのルールも変わると聞いたので、それも考えましたし、日本でラグビーをやって引退したら、日本でラグビー関係の仕事をしたいと思っているので、もう1年やって日本に帰ろうと思いました。
◆早く帰りたいくらい可愛い
――奥さんは日本人ですか?
日本人です。
――家での会話は日本語ですか?
日本語です。普通に日本語(笑)。
――奥さんもフランスに連れて行って一緒に日本に戻ってきたんですか?
途中からフランスに来ました。
――奥さんはフランスを楽しんでいましたか?
楽しんでいましたが、フランスも分からず、初めて海外での生活だったので、家にいることが多かったですね。でも練習終わりに一緒に出掛けたりもしました。
――お子さんは?
子どももいます。いま4ヶ月です。一緒に寝ていて、僕が横を向いたら何か当たって、危うく押しつぶしちゃうところでした(笑)。男の子です。可愛いです。練習が終わったら早く帰りたいくらい可愛いです(笑)。
――タタフ選手のご両親は?
喜んでいます。子どもにも会いました。日本に帰ってきて、ちょっとオフがあったので、その間に両親のところに子どもと一緒に帰りました。両親から「孫を置いていって」と言われました(笑)。
――日本代表についてはどうですか?
もう一度、桜のジャージを着て、日本のラグビーを見せたいと思っています。
――パパになりましたもんね
はい、頑張らないと(笑)。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]