SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2025年10月 3日

#978 堀越 康介 歴代キャプテンが語るサンゴリアス史『もっと上に行きたい』

特別編"HISTORY OF SUNGOLIATH"21代目キャプテン 堀越康介
3年連続でキャプテンを務め、そのうち2年間は単独キャプテンだった堀越選手。サンゴリアス第21代キャプテンとしての心意気、活動、そしてその結果を振り返ってもらいました。(取材日:2025年9月中旬)

Horikoshi_01.JPG

◆立ち続けることがいちばんのリーダーシップ

――ホッとした顔にも見えますが、何か物足りないような顔にも見えます。3年間、キャプテンを務めて来て、今の心境は?

キャプテンという責任あるポジションから離れたことによって、より自分のことにフォーカスできる時間が増えていると感じています。

――それは自分にとって新しい感じなんですか?

キャプテンをやる前はそういう感じでいたんですけれど、キャプテンになった時にはチームのこともそうですし、チームの勝ち負けによって何をしなければいけないのかという準備の部分において、大変な3年間ではあったので、そういうところから離れた分、自分のことに、という感じです。

――次のシーズンは良いシーズンになる予感はありますか?

まだ新チームが始まって間もないですけれど、もちろんです。

――キャプテン2年目の時にはフルで出場して、昨シーズンも間の4試合抜けただけで、以前よりも出場試合数が増えていると思います。キャプテンになって良かったと思うことは?

怪我をしなくなったということが、いちばんだと思います。キャプテンとしてグラウンドに立ち続けなければいけない、立ち続けることがいちばんのリーダーシップだと思っていたので、ケアの部分、食事、練習に向けての準備のやり方など、少しずつ変えながらやったことが良かったんじゃないかなと思います。

――キャプテンになるということはそういう新しいことにチャレンジする機会でもあるんですか?

そうですね。やっぱり自分の中から芽生えてくる想いもあります。このチームに対するリスペクトが自分のすべてに表れてくる、キャプテンはそういうポジションだと思います。キャプテンをやることによって芽生えたことはありますね。

Horikoshi_02.JPG

◆100%を出せていた

――試合に出続けるコンディションを維持し続けながら、自分が思う身体を張ったプレーは出来ていましたか?

その時その時では100%を出せていたと思います。チームから求められているパフォーマンスも出せていたと思いますし、自分の成長に繋がるようなシーズンを送れていたと思います。けれど、もっと選手として上に行きたいという気持ちもありますし、もっと上に行けるという自信もあるので、今シーズンはそこにコミットしていきたいですし、チームが優勝するために、僕のパフォーマンスが重要になってくると思いながら今シーズンをやっていきたいです。

――昨シーズン出場できなかった4試合は1勝3敗で、その直前に3連勝していたタイミングでしたね

とても申し訳ないなと思います。チームとして勢いに乗っている時でしたし、序盤で躓いて、「ここから行くぞ」というタイミングでした。みんな自信があって、それが結果として現れてきた時に僕が離脱して、僕が離脱したから1勝3敗というチームではないと思いますが、そこは外から見ていて申し訳ないという気持ちと、そこに立てていない自分が不甲斐ないという気持ちがありました。

――スタンドから見ていた時の心境は?

一緒に戦っている気持ちではいましたけれど、本当にちょっとしたところで上手くいかないこともありましたし、みんなメンタル的にキツかったと思うので、メンタルの部分で三菱重工相模原戦はやられてしまったと思います。

――メンタル的にキツかったのは?

相手の方がハングリーな感じがしましたね。その敗戦からチームとして「マインドセットを180度変えなければいけない」とリーダーたちで話をして、「みんなが自分たちの大事なところを、また大事にして戦っていこう」と。そこは泥臭さだったり、ハングリーさだったり、「絶対に何が何でも勝つ」という勝ちに執着する気持ちだったり、そういうことを大事にしようと話しました。

Horikoshi_03.JPG

◆みんなを同じ方向に向かせる

――キャプテンを3年間やりましたが、毎シーズン体制が違いました。その違ったことは、何か勉強になったことはありましたか?

キャプテン2人体制の時は、直人(齋藤)と僕も若かったですし、ちょっと譲り合いじゃないですけれど、遠慮した部分があって、最後は僕が引っ張りながらやっていて、そこのちょっとした難しさはありましたね。2年目、3年目はそういうこともなく出来たと思います。

――やっていて自分を出せた方だと思いますか?

1年目よりも2年目、2年目よりも3年目の方が出せたと思います。

――改めて、キャプテンの役割は何だと思いますか?

チームの中には良いリーダーシップを取れる選手がたくさんいるので、そういう人たちの意見とかコーチの意見とか、意見をひとつにまとめて、みんなを同じ方向に向かせることが大事なんじゃないですかね。

――上手くまとめられましたか?

最終的にはギュッとまとまりますよ。毎回。

――それはいつのタイミングでまとまるんですか?

1週間かけてですね。最初にテーマや今週やることを言われるんですけれど、1週間かけて詰めていって、最後の試合前日になったら、「これをやろう」とひとつのテーマが明確になっているという感じはありました。

――個人のプレーのミスはどうカバーしていくべきなんですか?

個人の問題にもなってきますが、練習でやったことしか試合では出ないので、練習からどれだけみんなで意識しながらやっていくかというところだと思います。出来ていなかったら指摘したりもします。

Horikoshi_04.JPG

◆これから活きていく

――キャプテンをやって掴んだものは何ですか?

何も掴んでいないですね。トロフィーと言えればカッコ良かったですけどね(笑)。その経験はここから活きていくんじゃないですかね。このチームでキャプテンとして50試合以上出ていて、良い試合も悪い試合もたくさんありましたが、これから活きていくと思います。あと、試合中に焦らなくなりましたね。

――キャプテンはみんなに一度は経験した方が良いと薦めたいですか?

いや、ぜんぜん薦めないですね(笑)。薦めるべきポジションではないと思います。なりたくてなれるポジションじゃないと思いますし、みんなからの信頼とかやってきた実績とかが、みんなを納得させる選手じゃなきゃいけないと思います。だから、お薦めするとかはないですね。ただ、本当にリーダーシップがある若手とかには、今のうちからこういう考えとか、こういう取り組みをやっておいた方が良いよというアドバイスは出来るかもしれません。それが間接的に薦めていると言われればそうかもしれませんが(笑)。

――東京サンゴリアスにはそれまでリーダーシップを取ってきた選手がたくさん入ってきているので、そういう意味では誰がキャプテンになっても良いんじゃないでしょうか

そうですね。全員にチャンスがあると思いますし、本当にその通りだと思います。誰でもキャプテンになれるチャンスはあると思います。

――キャプテンをやっていていちばん嬉しかったことは何ですか?

それは勝った時で、チームメイトが喜んでいる時です。勝って、みんなと分かち合って、ロッカーとかでみんなと喜ぶ時間がいちばんですね。嬉しいというよりもホッとするという感じですかね。だから、また頑張ろうというエネルギーが湧く瞬間でしたね。

――悩んだ時にはどうしていましたか?

とりあえずお酒を飲んで(笑)。本当に昔みたいに悩まなくなりましたね。ぜんぶ自分で背負ってしまうタイプだったので、そうならないために事前にお願いするところはお願いして、分散させるようにしていました。絶対に僕ひとりでは無理ですし、役割を分散して、自分のところは自分でやるという感じでした。悩んだ時には飲んで、バーッとノートに書いて、それをミーティングで言って明確にするというだけですね。それしかなかったです。

Horikoshi_05.JPG

――キャプテンのやりがいは?

それも勝った時じゃないですかね。

――自分なりの新しいキャプテンのやり方みたいなものはありますか?

それこそ役割を任せるところとか、あとは変わらないですね。このチームではパフォーマンスがいちばん大事だと思っているので、いつも以上にパフォーマンスを出す、とにかく。そこだけだと思います。

――パフォーマンスを出すというモチベーションは、いち選手よりもキャプテンという立場の方があったんですね?

そうですね。キャプテンをやっている時には、グラウンドに出られればパフォーマンスを出せるという自信があって、それで実際にパフォーマンスを出せた場面も多々あったと思うので、そこはありました。

(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

■サントリー歴代主将
2024年~堀越康介(21代)
2023年 堀越康介/齋藤直人(20代)
2021年~中村亮土(19代)
2020年 流大/マット・ギタウ/ショーン・マクマーン(18代)
2016年~流大(17代)
2012年~真壁伸弥(16代)
2010年~竹本隼太郎(15代)
2009年 佐々木隆道(14代)
2006年~山下大悟(13代)
2005年~田中澄憲(12代)
2003年~早野貴大(11代)
2000年~大久保直弥(10代)
1999年 坂田正彰(9代)
1995年~永友洋司(8代)
1992年~清宮克幸(7代)
1991年 甲野晃弘(6代)
1989年~土田雅人(5代)
1987年~梶原敏補(4代)
1985年~小西義光(3代)
1982年~浜本剛志(2代)
1980年~稲垣純一(初代)

(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

一覧へ