2025年9月 5日
#974 小川 寛大 『一発で倒し切るタックル』
横浜キヤノンイーグルスから移籍してきた小川選手。プロップらしい雰囲気とインタビューを通して感じるポジティブな姿勢に期待が高まります。(取材日:2025年8月下旬)
◆スクラムには自信を持っている
――これまでサンゴリアスから横浜キヤノンイーグルスへの移籍は多いですが、イーグルスからサンゴリアスへの移籍は初めてですね
その話を元サンゴリアスの駿太さん(中村)と祝原さん(涼介)としたことがあるんですが、たぶんこれまでイーグルスからサンゴリアスに入った選手はいないと思います。
――その決断をした理由は何ですか?
もともと高いレベルでラグビーが出来るチャンスがあれば、どんどんチャレンジしたいと思っていたので、サンゴリアスからその話があった時には、すぐに決めました。
――サンゴリアスからは自分のどこが評価されていると思いますか?
自分の強みはセットプレー。特にスクラムには自信を持っているので、そこを評価していただいたと思っています。
◆ジャージが届いていた
――ラグビーはいつから始めたんですか?
小学3年生から、ラグビースクールで始めました。
――なぜそのラグビースクールに入ったんですか?
ラグビーを始めたきっかけとして、父親が同志社大学でラグビーをやっていました。
――いい選手だったんですか?
どうですかね。同級生はいい選手がいたみたいです。
――そのお父さんに言われてラグビースクールに入った?
そうですね、気がついたら。最初はやらされていたという感覚でした。
――家にもラグビーボールがあったりしましたか?
いや、無かったんですけれど、通学していた学校の近くの中学校でラグビースクールをやっていて、そこでたまたま体験でやってみたんですけれど、次の週にはそのスクールのジャージが家にありました(笑)。自分がやると言う前に、もうジャージが届いていました。
◆パワープレーが面白かった
――ラグビーをやり始めてどうでしたか?
そのスクールはラグビーが上手くなるというよりも、楽しむことを大事にしているチームだったので、結構楽しかったですね。
――身体は大きかったんですか?
大きい方ではありました。身体が大きい分、パワープレーが多かったと思います。それが面白かったですね。
――それは今でも変わらないんじゃないですか?
そうですね、そこも自分の強みに出来ていると思います。
――そこからラグビーを続けて、本格的にラグビーをやると決めたのはいつ頃ですか?
大学を卒業するタイミングで、ラグビーをやりたいという気持ちよりも関西に帰って就職したいという気持ちがあって、それで2年間はJR西日本に就職していました。JR西日本にもラグビー部があって、そこでラグビーもやりながら仕事をしていました。仕事の状況次第ですけれど、週に2回練習が出来るか出来ないかという感じでしたね。その時に大学の同期、いま三菱重工相模原にいる津嘉山(廉人)とかが同期だったんですけれど、日本代表の候補くらいまでいっていました。同じ環境でやっていたメンバーがそこまでやれていることに感化されて、自分にも可能性があるんじゃないかという気持ちが芽生えてきました。大学を卒業するタイミングでは仕事を優先しましたが、ラグビーをやれるところまでやってみたい、チャレンジしたいという気持ちが強くなっていきました。
◆今は自信があります
――卒業するタイミングで仕事を優先したのはなぜだったんですか?
京都での友だちなどが好きでした。大学は流通経済大学なので4年間は茨城にいましたが、それ以外は京都にいましたね。
――京都に帰って、良かったんですね
良かったことは良かったんですが、周りがラグビーで活躍する姿を見るたびに、自分の中に後悔というか悔しいというか、そういう気持ちがあって、自分にもチャンスがあるならチャレンジしようと思いました。いろんな人に連絡して、最初は大学の監督に連絡をしたりして、そこからですね。
――それで横浜キヤノンイーグルスに入った?
そうですね。嬉しかったですね。
――実際に入ってみて、やれると思いましたか?
やっぱりレベルが高いので、最初はまったく。週に2回練習が出来るか出来ないかという状況だった自分が、そんなにすぐには通用しなくて、最後の方ではどんどん自分の強みを出せるようになっていたので、今は自信があります。
◆接点に自信
――強みは?
セットプレーとディフェンスなどでの接点には自信を持っています。一発で倒し切るタックルとかですね。
――イーグルスではキャップ1でしたが、試合に出た時は嬉しかったですか?
その試合では、先発予定だった選手が体調不良になって、自分がリザーブに上がってメンバーに入ったという試合だったので、嬉しさよりも緊張の方が大きかったですね。素直に出られたという気持ちではなかったですね。
――出来はどうでしたか?
いや、そんなに(笑)。ぜんぜん満足いっていないです。
――その後のチャンスはありましたか?
メンバー選考のタイミングで、チャンスはあると声を掛けてもらいましたが、それ以降は試合に出られませんでした。
――試合に出るためには何が課題だと思いますか?
フィットネスと、チームがやろうとする戦術への理解度の部分が不可欠だと思っています。
◆向いているポジションにつけた
――サンゴリアスに合流してどのくらい経ちましたか?
1ヶ月半くらいです。なので、まだ戦術的なことはやっていなくて、ベーシックなことを聞いたりやったりしかしていないので、これからですね。
――楽しみですか?
不安もあるんですけれど、楽しみでもあります。
――プロップの1番ですか?
自分は1番だけです。
――ずっと1番ですか?
大学2年まではロックやNo.8をやっていました。フロントローは6、7年目くらいですね。
――フロントローはどうですか?
それぞれ大変なポイントがありますね。自分も力は持っている方だと思うので、向いているポジションにつけたかなと思っています。
――面白さはどこですか?
スクラムで押せた時とかは嬉しいですね。あとはタックルで相手を倒した時ですね。
◆何とかなる
――新しいチームでの今シーズンの目標は?
個人としては、前のチームでぜんぜん試合に出られなくて悔しい思いをしたので、その経験を活かして、このチームではどんどん試合に出ていきたいですね。
――JR西日本での2年間があり、横浜キヤノンイーグルスで2年、そろそろ自分の力が発揮できるタイミングなんじゃないかと思いますが、自分ではどう思っていますか?
JR西日本での2年間を言い訳にするつもりもなくて、今まででいちばん良い自分に仕上げていって、それをしっかりと出せればチャンスがあると思っているので、その準備をしています。
――自分の性格は?
負けるとめちゃくちゃ悔しいので、負けず嫌いではあると思います。
――あまり悩んだりもしない方ですか?
悩みはしますが、何とかなると良い方向に思えますね。
――大人しく見えますが、試合ではどうですか?
静かな方かもしれないですね。声も出しますが、みんなが集まった中で喋るタイプかと言われると、喋るタイプではないですね。
――垣永選手や細木選手のように吠えるタイプではないんですね
そうですね。でも気持ちは分かります(笑)。吠えるくらい嬉しいです。
――緊張する方ですか?
する方ですが、別にメンタルが弱いとは思っていません。
◆目立たないところで手を抜かずやっているプレー
――どんな選手になって、試合でどんなプレーがしたいですか?
そんな特別なことは出来なくていいので、1番として仕事を全うできる選手になりたいです。
――仕事を全うしていると感じる時はどんな時ですか?
やっぱり派手なラインブレイクなど出来ない分、オーバーやサポートを徹底していたり、キックチェイスでしっかり走ったり、そういう目立たないところでも手を抜かずやっているプレーだと思っています。あとはスクラムで必ず押すとか、タックルで一発で仕留めるとか、そういうプレーが出来るプレーヤーになりたいです。
――次のシーズンが終わる時に、どうなっていると良いと思いますか?
スクラムを組む中で、1番は競争が激しいと思いますが、そこでひとつ頭が抜け出せるようなプレーヤーになっていたいです。
――いま改めて感じるラグビーの魅力は何ですか?
今で言えば、いろんなタイプの人間、いろんな性格、違う国の人とかと一緒にプレーして、勝った喜びはどこでも共通なので、それを分かち合えることがラグビーの魅力だと思っています。
――勝つ喜びを分かち合うために、サンゴリアスではどのようにチームに貢献したいですか?
自分が持っているもの全てを出して貢献していきたいと思っています。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]