2025年5月23日
#958 堀越 康介 『何かを変える』
リーグ戦8勝8敗2分、プレーオフ準々決勝で敗退した今シーズンのサンコ?リアス。キャプテンの堀越選手にシーズンを振り返ってもらいました。 (取材日:2025年5月下旬)
◆本当に悔しい
――プレーオフ準々決勝が終わり、シーズンが終わりました。今の心境は?
優勝を目指していたので、残念な気持ちがあります。
――優勝を目指すステージにも立てるかどうか分からないギリギリの戦いがずっと続き、最後にクリアしてプレーオフ初戦で敗退については?
シーズンを通して一貫性がなくて、なかなか波に乗ることがないシーズンでした。最後はプレーオフということはみんなの頭にはあったと思いますが、あえてそこに対してフォーカスし過ぎず、1試合1試合を戦おう、1試合1試合でしっかりと勝って行こう、というイメージを持ってやっていました。結果的に6位でしたが、プレーオフの舞台に立つ権利を得られたのは、みんなの努力かなと思います。準々決勝で負けて、本当に悔しいという気持ちだけです。
――よく「みんなで同じ絵を見る」と言いますが、なかなかその絵が描けなかった感じですか?
そうですね。あとはゲームが変わるところでの自分たちのミスや規律の部分、そういうところが最終的に毎試合あって、そこがシーズンにとても響いたんじゃないかなと思います。
――それは試合の始まりや後半が始まった時、そしてここで突き放せばというタイミングでそうだったということですか?
そうですね。ゲームの内容的にも、しっかりと我慢するというところで、自分たちの規律やミスで、結果的に相手に勢いを与えてしまった。セイムページでみんな同じ絵を見ていたとは思うんですが、そこの本当に大事な場面での認識が、少し足りない部分があったのかなと思います。
◆試合の準備の段階
――象徴的だったのが第12節のコベルコ神戸スティーラーズ戦、最後のラインアウトだったと思いますが、いかがでしょうか?
時間もない中で、いちばん獲得率が高いサインを出すべきだったと思いますし、ゲームの終わらせ方も、もっとみんなで話し合ってやるべきだったと思っています。
――それはあのラインアウトの直前ですか?それとも試合に臨む時ですか?
試合の準備の段階ですね。
――なかなか波に乗れないシーズン、キャプテンとしていちばん大変だったところはどこですか?
結果が出ていない時には大変でしたね。毎回言っていましたが、チームがしっかりとブレないことだけを意識してずっとやっていました。もちろんみんなが頑張って、勝ちたいという気持ちを出しながらやっていたと思いますが、そこでどうしても結果が出なかった時が、いちばん辛かったですね。
――チームがブレないようにということは、みんなが違う方向を向かないようにということですか?
はい、そうですね。
――開幕から4試合勝てなかったことで、勝たなければという試合がずっと続き、また最後もプレーオフへのプレッシャーもあったのではないですか?
最後の方はプレッシャーがかかる試合が多かったですし、プレーオフに行けるか行けないかというプレッシャーはかなりありました。ただ、どんなシーズンでも1試合1試合、勝ちに行っていますし、勝ちに行かなければいけないというプレッシャーがあるので、1戦1戦で死に物狂いでやっていました。
◆もっとパフォーマンスを上げられる
――シーズンを通して自分自身の出来はどうでしたか?
めちゃくちゃ良かったとは思っていないですね。
――どの辺が良くて、どの辺が良くなかったですか?
フォワードパックのところは、セットピースを中心に、ラインアウトの獲得率も良かったですし、チームの組み立てとしての起点は良い形で出来たと思います。タックルも、昨シーズンの課題になっていたところが良くなっていましたし、自分自身としては、もっとパフォーマンスを上げられると思っています。
――タックルで良くなったところは?
ディフェンスじゃないですかね。タックルの成功率が昨シーズン低かったので、今シーズンの自分の中で、ひとつの課題だと思って取り組みました。そこは良くなったんじゃないかなと思います。
――最後もう少しでトライを取り切れない場面もありましたね?
それはあったと思います。なかなかゴールラインを割れないというシーンが今シーズンは多かったと思います。そこは練習中から全員でフィニッシュを意識するしかないと思います。
――自分自身のキャリー面は?
昨シーズンはトライの数も多かったんですが、今シーズンはここぞという時のトライの嗅覚やコンタクトの強さが昨シーズンと比べると少し劣っていたので、そこはこれからも課題だと思います。
◆来シーズンに繋がる良いスクラム
――スクラムはどうでしたか?
全体的にシーズンを通してみたら、良いスクラムを組んでいて、途中から武器にしていこうと話し合っていました。最終戦ではスクラムで劣勢ではありましたけれど、本当に来シーズンに繋がる良いスクラムが組めていたんじゃないかなと思います。あとは新しい選手も入ってきたので、そこでも良い経験が積めたんじゃないかなと思います。
――ディフェンスとアタック、どちらが課題ですか?
守りですね。ディフェンスが課題だと思います。個々のタックルミスや、組織的なディフェンスでもコネクションがズレる瞬間が多かったので、その両方だと思います。個々のタックルと組織的なディフェンス、どれだけみんなが守ることが出来るかだと思います。
――それは練習を積むことで解決できるものですか?
はい、練習と、あとコミュニケーションなどいろいろありますけれど、いちばんは練習だと思います。
――ディフェンス以外は?
大きく言えばディフェンスじゃないですかね。僕らアタックでは点が取れますけれど、ディフェンスが出来ないとしんどいです。点を取っても取られるので。
――準々決勝のクボタスピアーズ戦ではディフェンスも良かったのでは?
ディフェンスは良かったですね。本当にシンプルなことだけ1週間ドライブして、それが試合に出たという感じでした。毎年言っていますが、シーズンの終盤になるにつれてディフェンスが良くなっていくんですよ。このディフェンスのイメージとかやってきたことをゼロに戻すのではなくて、プレシーズンからもう一度その状態で挑んだ方が良いと思います。そこはコーチ陣も分かっていると思いますし、僕らももっと意識して取り組まなければいけないと思います。
◆良かったねと言えるように
――今シーズンで良かった点は?
ブレイクダウンは良かったですよ。スティールで取られている回数は少なかったですし、インサイドの選手が速く行くというところや、そのサポートをみんなで意識しようとやってきたので、そこは絶対に来シーズンに繋がると思います。あとラインアウトが良かったですね。
――ラインアウトはなぜ良くなったんですか?
コーチのマーフ(ローリー・マーフィーアシスタントコーチ)も良かったですし、ホッコ(ハリー・ホッキングス)もドライブしてくれたので、そのふたりのおかげかなと思います。
――今シーズンの練習試合は最後の1試合以外はすべて勝って10勝1敗でしたね
シーズンが長くて、なかなか試合に出られない選手もいる中で、練習試合でみんなが頑張ってきた成果を出す場は、チームとしての士気も上がりましたし、良い影響があったんじゃいかなと思います。
――個人として今シーズンは大きな怪我もなかったですね
5~6週くらい怪我で少し離脱はありましたが、トレーナーと話をしながらやってきましたし、オフの日にピラティスをやったりしていて、そういうことがそれに繋がったんじゃないかなと思います。
――ファンの皆さんに来シーズン期待して欲しいところは?
本当にファンの皆さんが見たいのは勝つ姿だと思うので、僕らはそれをしっかりと見せられるように。今シーズンの結果があって、来シーズンでは良かったねと言えるように、また強いサンゴリアスをファンの皆さんに見せたいと思います。
――そのために必要なことは何ですか?
もちろん練習が大事です。そして変わるところは変わらないとダメなんじゃないでしょうか。みんな一生懸命やっていて、それで勝てなかったので、何かを変えることが必要だと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]