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SPIRITS OF SUNGLIATH

#514 ジョー ウィーラー 『ゴールデンタイム』

新人外国人選手でいながら早くもチームにフィットして、フォワードの中心選手のひとりとして活躍しているジョー・ウィーラー選手。根っからの明るさと、とても熱い情熱を感じるインタビューとなりました。(取材日:2016年12月1日)

◆ラグビーの楽しさを伝える

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—— 将来は、喋る仕事をしたいという思いがあるそうですね

ハハハハッ(笑)!スーパーラグビーのハイランダーズで選手としてプレーする以外で、メディア関係の仕事もしていて、とても面白いですし、ラグビーはシリアスなことだけじゃなく、楽しむ部分もあるということを伝えられたらと思い取り組んでいました。

ハイランダーズでそういう仕事をすることになったきっかけとしては、もともと明るい性格ですし、そういうことをしたいという気持ちがありました。それに他の選手と自分との違いは、自分の気持ちを正直に話すので、それが面白い方向へと繋がっていくということがあります。

“ハイランダーズTV”を任された時は「好きなことをして良いよ」と言われたので、ラグビーにフォーカスした内容ではなく、ラグビー以外の部分で選手たちの性格の部分を出せるような企画を考えたんです。それを見た人が楽しんでくれて、僕だけじゃなくそれに出たチームメイトも凄く有名になって、アイディアとしては良かったと思っています。

—— ハイランダーズTVをやっている時は、何に一番気を付けているんですか?

ニュージーランドではみんながラグビーを大切に考えていますし、真剣に取り組んでいるんですが、グラウンド以外の部分でラグビーに関わっている人のパーソナリティが伝わるように、ラグビー以外に焦点を当てることを心がけていました。

—— ラグビーに関わっている人の人間性を見せることで、ラグビーの良さが伝わると考えたんですね

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そうです。メディアを通して選手たちの性格を引き出すことによって、ラグビーの楽しさを伝えられると考えたんです。

例えば、フミアキ(田中史朗)には英語レッスンをやったりしました。それを見た人は、日本人である彼に対してそういう場で英語レッスンをすることは、彼に恥ずかしい思いをさせようとしたと感じたかもしれませんが、実は英語を勉強したくて彼が言い出したことだったんです。

—— ウィーラー選手自ら日本語を上達させ、ワールドカップに向けてぜひ日本語でそういう番組をやってもらいたいです

日本語をもっと勉強しないといけないですね(笑)。

—— 自分自身にインタビューをしてパーソナルティの部分を引き出したならば、どういう部分が出てくると思いますか?

楽しい人であったり、楽しみたいと思っている人はとても仲良くなれると思います。もちろん真剣に取り組まなければいけない時は真剣にやりますし、ラグビーのことを本気で考えていますが、ラグビーのベストな部分はチームスピリットの部分だと思っています。プロフェッショナルなラグビー選手でいられることは自分のキャリアの中でも嬉しいことですし、それを他の部分でもしっかりと楽しんでいくことが大事だと思います。

◆父親はフルバック

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—— そのキャラクターはどうやって生まれたんですか?

兄弟も楽しい人ばかりですし、父親も楽しいことが大好きなんですが、それを狙ってやるんじゃなくて天然でやってしまうような人です。祖父も楽しい人だったので、そういう血を引いているんだと思います。祖父の家に行った時にはふざけて鍋を頭の上に乗せたりして、いつも笑っていました(笑)。競争も激しかったんですが、その中でお互いが楽しんで冗談を言い合ったりしていましたね。

弟はプロのクリケット選手ですし、兄もクリケットで良い選手で、僕もずっとクリケットをやっていて、19歳以下のニュージーランド代表にも選ばれたことがありました。だから、クリケットになると兄弟で凄く競争していましたが、ケンカではいつも僕が勝っていました。兄弟は身長が180cmくらいで、僕は当時から2mくらいあったので(笑)。

—— ラグビーをやっているのはウィーラー選手だけですか?

父親が、晃征(小野)と同じクライストチャーチボーイズ高校でラグビーをやっていました。父親はロックではなくフルバックでプレーしていて、プレミアで150試合くらい出場していましたし、カンタベリーやサウスランドでもプレーしていました。

—— ウィーラー選手がラグビーをやって、お父さんは喜んだんじゃないですか?

ラグビーに情熱を注いでいたので喜んでくれましたね。ニュージーランド人の血にラグビーが好きということが組み込まれているので、父親もそのうちの一人ですね。

—— ラグビーに関してお父さんから得たことは何ですか?

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10歳頃にラグビーを始めて、家の裏庭でハイボールキャッチをやったり、スクリューパスについても利き手の方は上手に投げられたんですが、反対側はあまり上手ではなかったので、とても厳しく言われました。周りには両方の向きで同じ長さのパスが出来る人はあまりいなかったので、そこは本当に感謝しています。

あと、キックもたくさんやりました。試合では僕は蹴りませんが、キックやキャッチ、パスなど、ベーシックスキルをたくさん学びました

—— 当時はラグビーのどこに面白さを感じていましたか?

全員が同じビジョンを見て、それがひとつのチームになって、みんなが同じところを目指していくという部分です。その中で自分の仕事をしっかりとやって、目標とするチームの成功に向かってみんなで向かっていくという部分が素晴らしいと思いました。

僕は本当に負けるのが大嫌いです。ラグビーの楽しい部分と競争の部分がある中で、チームには色々な性格の人がいて、それも含めてひとつになった時に良いチームが出来上がるんです。そして、そのチームに参加している自分がいるということが楽しいと感じますし、ラグビーからは色々なことを学べるんです。

◆世界的に有名な選手がいる中でラグビーをやる

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—— クリケットとラグビーが選択できたと思いますが、いつ頃ラグビーをやっていくと決めたんですか?

高校を出て18歳の時にタズマンラグビーユニオンからオファーがあり、そこでクリケットはリタイアしました。もしかしたら当時はラグビーよりもクリケットの方が上手かったかもしれませんが、パッションの部分ではラグビーの方が大きかったんです。それにチームとしても、ラグビーの方が自分の求めているものがあったんです。クリケットもチームスポーツなんですが、個人としての力の方が強いスポーツだと感じていました。

—— ラグビーでトップ選手としての手ごたえを掴んだのはいつ頃ですか?

20歳くらいの時にクルセイダーズにテストとして参加することがありました。3週間くらいでしたが、そこで自覚が芽生えたと思います。トップチームに行くためにはもの凄いハードワークをしなければいけませんが、ラグビー選手は夢の仕事でしたし、やるしかないという思いで取り組んでいました。

それが現実的になったのが、2010年に学校などを回ってラグビーを推進するような活動をしている時に、クルセイダーズから「契約をしないか?」という電話をもらって、周りからは「たくさんの犠牲を払わなければそこにはたどり着けない」と言われていたので、周りのみんなが本当に喜んでくれましたね。

—— 自分自身をチャレンジャーだと思いますか?

絶対にそうだと思います。今は体が大きいと思われるかと思いますが、体を大きくすることに苦戦して、ニュージーランドでラグビーをやることは難しいと感じることもありました。各年代のニュージーランド代表にも選ばれませんでしたし、「体が小さいからダメだ」とも言われたので、そういう人たちを見返したいという思いで頑張っていましたね。

—— スーパーラグビーでプレーすることによって、ラグビーの新たな魅力などを感じることはありましたか?

フィジカルの部分でも最高峰ですし、世界的に有名な選手がたくさんいる中でラグビーをやる環境にいられることがとても素晴らしいことだと思いました。クルセイダーズに3年間いましたが、同じポジションにワールドクラスの選手がたくさんいて、出場する機会自体はあまり多くはありませんでした。その中でもたくさんのことを学びました。

◆チームに価値を、選手たちに価値を

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—— ラグビー人生の中で、今はどの辺りにいると思いますか?

良い質問ですね。自分の中で、いまベストなラグビーをやっていると思います。ここ2年くらいを考えても、スーパーラグビーやマオリ・オールブラックスでプレーしましたが、いまの自分のプレーに満足しています。テレビで言えば、ゴールデンタイムの一番いい時間帯だと思います(笑)。

ニュージーランドの選手はみんなオールブラックスを目指してラグビーをしているので、サントリーに来るという判断は簡単なものではありませんでした。自分の中で惜しいところまでは行ったと思っていますが、なかなかオールブラックスまではたどり着けませんでしたね。

ただ、海外のチームに行くということは、そのチームに価値を与えなければいけませんし、そのチームの選手たちに価値を与えられるような選手でなければいけないと考えていたので、自分の中でパフォーマンスが落ちた時に海外に行くという気持ちはありませんでした。その中でもサントリーは、またハイランダーズに戻ってプレーしても良いと言ってくれているので、本当に嬉しく思っています。

—— 日本のラグビーはどうですか?

日本に来てから暑すぎて大変でした(笑)。ニュージーランドの真冬の環境から来て、サントリーでの最初の試合は気温が32℃で湿度が100%近い環境の中での試合だったので、本当に大変でした。

あと日本は試合のスピードが速くてタフですし、いつも足にタックルをされるので、これまでとは違うフットワークを身につけなければいけないと感じています。ただ、ボールがたくさん動く試合はとても楽しいですし、サントリーからオファーがあった時にサントリーの試合の映像をたくさん見ましたが、それを見てとてもエキサイティングな気持ちになりました。

—— サントリーのラグビーにすぐにフィットしたように感じますが、コツなどはあったんですか?

チームが何をしたいのか、どういうアタックディフェンスを目標にしているのかなど、システムを理解できれば、フィットすることは難しいことではありません。そして、そのシステムの中で自分の役割をしっかりとやるだけです。

◆安定したラインアウトでボールをキープ

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—— 今の目標は何ですか?

ラインアウトで大事な役割を任されている中で、良く出来ている部分はありますが、まだミスがあったり安定しない部分があったりします。ただ、サントリーはとてもポテンシャルがあるチームなので、これからチャンピオンになっていける可能性はあると思いますし、毎試合で安定したラインアウトでボールをキープしていくことが大事だと思っています。

—— 子どもはいますか?

子どもはいませんが、フィアンセも日本に来ています。2人とも日本での生活は初めてですし、2014年にマオリ・オールブラックスが日本で試合をして、僕もそのスコッドには入っていたんですが、怪我で日本に来ることが出来ず、日本に来ることも初めてでした。

日本の文化や人々が素晴らしくて、日本で生活することもスムーズだったので、日本が大好きになりました。僕は日本語をほとんど話せないのに、他の人が英語で会話をしてくれようとしますし、食べ物も本当に美味しいですね。仕事をしながらも旅行をしているような感覚があります(笑)。

—— オールブラックスへの夢はまだありますか?

もうないですね。機会があれば、もちろんノーとは言いませんが(笑)、そういう機会が起こるとは思えません。ニュージーランド人であれば、機会があればオールブラックスなりたいという思いは常にあると思いますが、出来る限りのことを全てやって、それでもオールブラックスにはなれなかったので、自分にはそういうチャンスがなかったと思って、海外にチャレンジしようと思ったんです。もしかしたら将来は日本代表としてプレーしているかもしれませんね(笑)。

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(通訳:吉水奈翁/インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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