SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2015年2月18日

#417 真壁 伸弥 『試合開始直後から攻め続ける』

キャプテン初年度は全勝での2冠、2年目はトップリーグ準優勝・日本選手権ベスト4を経て迎えた3年目。チームが初めてトップリーグプレーオフ進出を逸した最も苦しいシーズンの終盤戦に行ったインタビュー。真壁キャプテンの心境は?(取材日:2015年2月2日)

◆主体性を持って考える

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—— 今日はトップリーグの年間表彰式でしたが、表彰式に出てみてトップリーグのタイトルを獲れなかったことについてはどう感じますか?

トップリーグが終わって、チームのまとまりが凄く出てきていると感じています。それがワイルドカードトーナメントのリコー戦にも繋がりましたし、リコー戦への準備の段階で選手1人1人が主体性を持って準備出来ていたと思います。今のチーム状態になるまでに、少し時間がかかってしまいました。

—— 負けたことで気づいた部分があったんですか?

難しい部分ではありますが、チーム全員が同じ考えを持てていなかったんだと思います。与えられることだけじゃなくて、選手が主体性を持ってどうしなければいけないのかを考えられるようになってきたことが、リコー戦で出せたと思います。

トップリーグのセカンドステージで5勝2敗ながらも5位という結果に終わってしまいましたし、サントリーが勝ったヤマハが決勝まで進んだという悔しさがあり、選手の中で「本当に勝ちたい」という気持ちが出てきたんだと思います。

セカンドステージで神戸製鋼に負けて、その後の東芝戦では良いラグビーが出来て勝てたんですが、その後でも波があったと思います。

—— キャプテンとしてチームをまとめるのが難しかったと思いますが、何を一番大切にしていましたか?

改めて気づきましたが、私がキャプテンらしくチームを引っ張ろうとすると波が出てしまいますね。サントリーの場合は、誰がキャプテンをやっても問題がない状況を作った方が強いと思います。選手1人1人が考えて試合に向けて準備をして、練習からチームを引っ張っていこうとする状況になった時に、サントリーらしいプレーが出来るようになると思います。今シーズン、その準備が出来た初めての試合がリコー戦だったんじゃないかなと思います。

◆最初からアタックをし続ける

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—— チームが一体となったことで改めて感じるサントリーラグビーの良さは何ですか?

チーム全員が「サントリーのラグビーはこれだ」と理解して、試合開始直後から攻め続ける“勝つための姿勢”だと思います。

—— 2年連続2冠を獲った経験から、受けに回ってしまう状況はあったんですか?

最初から攻めるとは考えているんですが、相手に上手くやられて受けてしまった時に、「自分たちのラグビーのベースは何か」というところに立ち返って、またアタック出来る時のサントリーは強いと思います。けれど、一度受けに回った時に、そこばかりを考えてしまい、ずっと受けてしまう状況があったと思います。

—— キャプテンとして、サントリーが掲げる「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」とはどういうものだと思いますか?

最初からアタックをし続けるチームはサントリー以外いないと思います。トップリーグで優勝したパナソニックもディフェンスが主体で、ディフェンスで相手の穴を見つけて、ボールを奪った時に一気に攻めるというスタイルだと思います。

サントリーの場合は、最初からアタックを考え、ディフェンスをしている時も常にアタックと同じメンタルでプレーしています。攻めるという熱量が試合の最初からないと出来ないと思います。その中で、冷静に判断する選手が3人くらいいればいいと思います。

◆全員の「勝ちたい」という気持ち

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—— トップリーグが始まって初めてプレーオフ進出を逃したわけですが、逃した時はチームとしてもショックでしたか?

やはりショックでしたね。プレーオフを逃した2週間後の帝京大学との練習試合で負けましたし、クラブハウスでもチームとして同じ方向に向けていないと感じました。バイスキャプテンの晃征(小野)も同じことを感じていましたし、剛さん(有賀)も感じていたみたいです。そこで急きょ、まずはリーダーだけで集まってミーティングをして、「このままリコー戦に臨めば負ける」という話をしました。

ベテラン陣は、チームが1つにまとまることが出来れば、日本選手権で優勝する力があることは分かっていて、「どうやってチームを1つにまとめるか」を話し合って、選手だけのミーティングを開きました。

—— そのミーティングを開いたことの手応えは?

僕が感じている気持ちをストレートにみんなに伝えて、少しチームの雰囲気が変わったと感じたのがリコー戦でした。

—— リコー戦で一番良かったところはどこですか?

全員の「勝ちたい」という気持ちを1つにまとめることが出来たところだと思います。1つにまとまれば強いと改めて感じましたね。

—— 1つにまとめることが難しいんですね

本当に難しいですね。言葉だけじゃ、1つにまとめることは出来ないと思います。

◆一定のレベルを試合で出し続けたい

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—— 選手として、今シーズンの出来はどうですか?

選手としては年々レベルが上がっていると思っています。成長している部分は、波がなくなって一定のレベルを試合で出し続けられるようになったところだと思います。自分で自分の強みを分かっているので、その強みが更に良くなるように取り組めて、成長出来ていると思っていますし、日本代表でも通用している部分だと思います。

—— 成長しているというのは、日本代表での経験もあると思いますか?

やはり選手として日本代表を経験することは、成長することに大きな影響があると思います。

—— 日本代表が強くなってきていて、今の日本代表の良さは何だと思いますか?

自信を持ち始めていることと、サントリーと似ているんですが、何をしなければいけないのかが明確になっています。以前の代表では、毎試合ターゲットを変えたり、サインも変えたりして試合に臨んでいました。その方法は間違いではないと思うんですが、今の日本人のレベルでは出来ないラグビーだったと思います。

今の日本代表は、「日本人が世界と戦うためにこれで行く」というベーシックな部分が固められていて、それが出来る選手が日本代表に集まっていますし、実際に試合でも勝つことが出来ているので、チームとしての自信もついてきたと思います。

—— 真壁選手としても自信をつけてきましたか?

そうですね。これをやっていれば世界に通用するという自信を持つことが出来ました。やっぱりワールドカップで勝ちたいですし、不可能ではないと思っているので、今年のワールドカップを最大のターゲットにしています。

◆大久保直弥を男にしたい

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—— ワイルドカードを経て、日本選手権が始まりますね

いま振り返ると、リコー戦がフラストレーションもなく、すっきりと「サントリーのラグビーをやった」と思いますし、楽しい試合でしたね。

—— 日本選手権優勝までは4つ勝たなければいけませんね

1回戦の筑波大学戦は難しい試合になると思います。相手は大学生ですが、そこで「相手は大学生だから」という気持ちにならずに、サントリーのラグビーをやらなければ苦戦すると思いますし、それで勝ったとしても優勝することが難しくなると思います。大差で勝とうが、サントリーのラグビーをやって勝たなければ意味がありません。それが出来なければ、ファイナルラグビーでトップ4を相手にした時にもサントリーのラグビーが出せなくなると思います。

—— では、最後に日本選手権に向けて意気込みをお願いします

今シーズンもトップリーグのタイトルを獲れずに、大久保監督を男にすることが出来ませんでした。今度こそ日本選手権に勝って、大久保直弥を男にしたいと思います。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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