SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2015年1月21日

#413 小澤 直輝 『バックローのように動けるフッカーでいたい』

ポジションチェンジをしてフッカーに定着した小澤直輝選手。目に見えて体も大きくなり、ただ大きくなるだけではなく、筋肉の比率がかなり高いと聞きました。成長途上にある4年目の小澤選手の抱負を聞きました。(取材日:2015年1月6日)

◆走れなければ差別化出来ない

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—— 現在の調子はどうですか?

体の調子はすごく良いです。フッカーに転向したので、体を大きくしました。体脂肪率も10%を切るくらいだと思います。

—— 体を大きくするためのポイントは?

しっかりとトレーニングをすることはもちろんですが、僕の場合は、ちゃんと食べないとどんどん体重が落ちてしまうので、こまめに食べるようにしています。食べるものも重要で、大学時代から気にはしていましたが、サントリーに入って、より意識するようになりました。クラブハウスではバランスの良い食事を提供してくれるので、普段からバランスの良い食事を心掛けるようにしています。

—— クラブハウス以外での食事はどうしているんですか?

朝は会社に行く途中に定食などを食べて、昼はお弁当か定食を食べるようにしています。定食の場合は野菜などもあり、バランスの良い食事を摂れますが、お弁当の場合は、お弁当1つだとどうしても栄養が偏ってしまうので、お弁当にプラスして野菜と100%ジュースなどを摂るようにしています。

—— 体が大きくなっていくことに面白さを感じますか?

体が大きくなることに対してと言うよりは、体重にしても体の調子にしても体の動きの調子が良い時があって、そういう時には面白さを感じます。これでも体脂肪率は1%くらい増えているんですが、僕の場合はまだ経験も少ないので、走れなければ他のフッカーとの差別化が出来ないと思っています。バックローのように動けるフッカーでいたいと思っているので、脂肪で体を大きくする方法は取りたくないですね。

◆たまにすごく動ける時が発生する

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—— その「調子が良い時」というのは増えていますか?

1年目の時はあまり分かっていませんでしたが、どうしてもシーズンが長いので、その長いシーズンで一番体の良い状態をキープし続けることは難しいと、最近になって感じています。その中で、波があっても高い水準でなければいけないということと、その高い状態にどのタイミングで持ってくるかが重要だと思っています。

それをコントロールするのが難しいことで、高い水準をキープするために努めることは、日頃のトレーニングで出来ることですが、その中で「今ものすごく調子が良い」と感じる状態に持っていくことを自分で作り出すことが難しいんです。ただ自分の中で「ものすごく調子が良い状態」がどういう状態かは分かっています。

—— その「ものすごく調子が良い状態」はどういう時ですか?

特に練習中に感じるんですが、体が思っている以上に動くようになりますし、スピードがいつもよりも速く感じます。今の段階では、常に高い水準を保つことに関しては毎日変わらないように努めていますが、その中でたまにすごく動ける時が発生するので、それをコントロール出来るようになればと思っています。

—— 頻繁に発生するようになっていますか?

1年目や2年目の時には、その状態すら分かっていませんでしたね。自分のコンディショニングに目を向けるようになってから、気づくようになったと思います。1年目の時には練習があるから早く寝なきゃいけないということしか考えていなかったと思いますが、今はコンディショニングのためにどう行動するかを考えるように変わりました。

新しいポジションになったことで、やらなければいけないことが増えたこともありますし、足りない部分もたくさんあるんですが、それ以外の部分であるコンディショニングや普段の生活などについて意識することは変わらないので、新たに増えたことで精一杯ということはありません。

◆いつもの形を常に出せるように

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—— 新しいポジションになって、出来るようになった部分と、まだ足りない部分はどこですか?

セカンドステージに入って感じるのは、どのチームもファーストステージよりもセットプレーのプレッシャーが強くなっていて、そういう中でもアオさん(青木佑輔)のスローの精度やスクラムコントロールを見ていると、自分との差を感じます。

僕自身も最初の頃よりはスキルの部分も成長出来ていますが、シーズンが深まるにつれて相手のプレッシャーも強くなってくるので、今までは目指すポイントに投げれば良かったものが、タイミングまで合わせなければいけなくなっています。スクラムについても、相手によって組み方も違いますし、コントロールしなければいけないことが多くなります。

—— 今シーズンはラインアウトがキープ出来ない試合がありましたが、そういう時にはどう修正しようとするんですか?

まずはコーラー(コールを出す人)とコミュニケーションを頻繁に取ることと、あとコールに関してはコーラー任せにしないで、周りの選手がコーラーに情報を伝えることをチーム全体で行うようになってきています。スロワー(投げる人)は素直に言われた場所に投げるだけの状況になるようにしています。

僕の調子が良くない時には、いつものスローの形が出来ていなくて、例えば投げ終わった後に手が下がり過ぎてしまったり、頭を通るボールの位置が低かったり、投げた後に動いてしまったりします。いつもの形を常に出せるように、練習でも試合でも取り組んでいます。

—— いつもの形が出せなくなってしまう原因は何ですか?

相手からのプレッシャーと技術的な部分だと思います。自分の調子が良い時の形は出来ているんですが、それを常に練習でも試合でも出せるように、スタンダードを高めていかなければいけないと思っています。

—— フッカーをやり始めた時にイメージしていたフッカー像までになれていますか?

サントリーの試合の映像を見ても、他のチームの試合の映像を見ても、フッカーとしてはまだまだですね。

◆考えて良くないプレーを無くす

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—— 今シーズンはずっと出場していましたが、セカンドステージ第6節のNTTコミュニケーションズ戦には、リザーブに入りながらも出場はなかったですね

出たかったです。

—— ポジションを変える前はあまり試合に出場する機会がありませんでしたが、ポジションが変わったことで多くの試合に出場出来るようになったことについては、どこが感覚的に違いますか?

プレーの波が大きいとチームとしては使いにくいと思います。今はその波の大きさが小さくなってきているので、メンバーに選んでもらっているんだと思います。あとは考えてプレーをするようになっています。

—— どういうきっかけで考えてプレーするようになりましたか?

昨シーズンくらいから考えてプレー出来るようになったと思います。その前までは、がむしゃらにトレーニングをしていて、そういう時でも間違いなく調子が良い状態になる時はあったんです。ただ、それだとプレーの波が大きくて、自分の良いところばかり出せる試合もあれば、全く良いところを出せずに終わった試合もありました。考えてプレーすることによって良くないプレーを無くすようにしています。

—— それは自分で気がついたんですか?

考えていなかった時に、先輩から指摘してもらいましたし、良い選手の映像や自分の映像を見て、改善出来るポイントを見つけて、考えてプレーするようになっていきました。

—— ポジションを変えて良かったと思っていますか?

確実に試合に出るチャンスが広がったので、良かったと思っています。

—— 目指すところは日本一のフッカーですか?

そうですね。サントリーでチャレンジすることによって、どんどんステップアップしていけると思っているので、チャレンジするだけです。

—— フッカーというポジションは合っていますか?

フッカーというポジションだけにはまって考えたことはないんですが、フォワードというポジションには合っていると思います。フォワードの他のポジションを考えているというわけではなくて、セットプレー以外の部分では、バックローの選手と同じパフォーマンスを出していきたいと思っています。

フッカーというポジションはやることが多いので難しいんですが、チャレンジするにはすごく良いポジションだと思います。

◆前に出られるプレー

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—— シーズン終盤となりましたが、今シーズンの目標は?

常に試合のメンバーに選ばれ、その中でサントリーが勝つことが目標です。

—— 中長期の目標はありますか?

体のサイズがバックローの中では小さい方で、今の日本代表を見ても外国人選手であったり、体が大きい選手ばかりだと思います。トップリーグでプレーするからには、チャンスがあれば日本代表を目指すべきだと思っていますし、僕もトップリーグでプレーする1人なので、そのためにポジションを変えました。

—— ファンの人に注目してもらいたいポイントはありますか?

今はトップリーグも体が大きい選手ばかりで、真正面から当たってもなかなか前に出ることは難しくなっています。アジリティーの部分で、相手から半歩ずらすことで前に出られると思いますし、そういうプレーが続く時は僕の調子が良い時なので、そういうプレーを見てもらいたいと思います。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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